温故知新~温新知故?

音楽ネタが多いだろうけど、ネタのキーワードは、古きを訪ねて新しきを知ると同時に新しきを訪ねて古きを知るも!!

「バイアス社会」を生き延びる 中野信子著 読了 〜人間にはバイアスがつきものであり、集団の基準も変わる。その中では、戦うのではなく、まずは生き延びることが何より大事〜

2023-11-25 15:11:49 | 
この本は、いつもと違い広告かなんかで見て、「バイアス社会」という言葉と中野信子という著者の名前で借りた気がする。
10代の若者向けの本だというのは、借りて読み出して初めて知った。大人の読者向けではない内容。すぐに読めてしまう。
いくつか、心に残ったところを以下に紹介。今回はキーワードとまでは言えなかった。
ーこのように、美味しいか、美味しくないかといった主観的な判断基準はもともと人間の脳には備わっているのに、絶対的な正しさや真実を判別する機能は脳に埋め込まれていない。これは一体何を意味しているのでしょうか。適応(生存していく上で条件となる環境の状態に合ったやり方)としては、「正しさ」には意味がないと考えるのが自然です。
ーこのように私たちが人間の集団の結束を高めようとするとき、実はよく使われる感情があります。それは「美しさ」です。
ーそこで、私が考えるもっとも実用的な方法は、デレでもバイアスを持っているということを理解した上で、今この場ではどれが自分にとっていい選択なのか、自分がダメージを受けない方法をどれか考えることです。
ーこうした社会の変化と無関係ではないと思われるのが、印象に残る短いフレーズで断定的にものを言うリーダーが世界中で支持されている現象です。
ー多くの人に選ばれるのは、よりわかりやすいもの、自分の信じたいもの、脳にとって楽なもの。
ーその違和感がどこからきているのかと考えてみると、「陰徳陽報」という言葉を私は想起するのです。〜つまり、徳を積まないと「バチが当たる」。〜
ーこの本で私が繰り返しお伝えしてきたのは、人間にはバイアスがつきものであって、集団の基準もどんどん変わっていく。その中では、戦うのではなく、まずは生き延びることが何より大事である、ということです。

最後の若者に対して、無闇に本音で反論するのではなく、その場で結果的に自分に有利な発言にとどめておくのは、決して間違っていないと言うことを言いたいのだと感じた。そう言う意味では、この本の前に読んだ、科学のトリセツの著者本村さんとは、正反対なのかと思う。
科学のトリセツ 元村有希子著 読了 〜ある程度評判はいいようだが、トリセツにはなっていないし、間違った理解をしてしまうリスクが大きいと思う〜
確かに、この著者の言うように、現在、対立構造を短いフレーズで描くコメンテーター、政治家が蔓延っている気がする。しかも、これは人間という生物の本質的な機能から起きている現象だと言う。私も同感です。しかし、難しくても、これに抗わないといけないのではないかと思う。

あなたは誰のメガネで世界を見ているのか

ネットニュースでは「日本は世界に愛され尊敬され続ける最高の国」という気分のいい記事から、「少子高齢化が進み、競争力低下が止まらない日本はもう終わり」という、読めば不安が押し寄せるものまでさまざまだ。
円安が進めば「円安が日本を滅ぼす」という絶望的な記事が並ぶ一方で、「円安はチャンスになる」という記事もまれに登場する。
一体どれが本当なのか。あるいは、どれも本当ではないのか。

情報を処理するとき、人間の脳は論理的に正しいものより、わかりやすいものや都合のいいものを選んでしまう傾向がある。その結果、特定の人物や物事に対する偏見や間違った思い込み、ときには差別的な感情を強くしてしまうことがある。

そんな思考の偏りや思い込み=「バイアス」は世界に溢れていて、自分の脳で思考する限り、誰もが「自分バイアス」から逃れることができない。つまり、誰の意見であっても、どこからの情報であっても、何らかのバイアスがかかっていることを知った上で、物事と向き合うことが重要なのだ。
誰かのメガネをかけさせられたまま、つまり、誰かの思考バイアスに覆われたまま不自由な人生を送ることを避けて穏やかに生き延びる戦略を、脳科学の知見から語る。