温故知新~温新知故?

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隠居すごろく 西條奈加著 読了 〜著者は江戸時代の庶民の生活に詳しいようだ。隠居を楽しみたい〜

2022-08-17 16:24:20 | 
この本も朝日新聞の書評で知って、今の私の年齢がご隠居に相応しいので気になって、図書館で借り、3、4日で読み終えた。350ページくらいあったんだけど、100ページくらいから次の展開が楽しみとなり、面白くなって、一気に読めた。
下の朝日新聞の評を見て面白そうと思ったのだろう。「何歳からでも人は変われる」というのは、異論有りだが、孫の行動をきっかけに、いろいろな出来事が次々に起きて、展開が面白い。また、私は昔、江戸時代の庶民の生活ぶりについて興味があり、石川英輔さんや、法政の総長の田中優子さんの江戸時代に関する本をいくつか読み漁った。その経験から、江戸時代の庶民の生活ぶりが描かれているのも興味深く読んだ。江戸時代は、庶民は、今のまさにSNSと似た「連」というコミュニティを作って、平和を大いに楽しんでいた時代だ。(浮世絵はこの連から生まれたらしい。)そのような簡単な江戸時代の知識を持っている私としては、この作者である西條奈加氏の知識や調査力はすごいと感心する。
西條奈加「隠居すごろく」 何歳からでも人は変われる Share  老舗糸問屋の店主・徳兵衛は還暦を機に息子に身代を譲り、念願だった隠居生活を始める。隠居家に引っ越し、好きなことをして暮らすつもりだった。  しかしこれまで商売一辺倒だった徳兵衛には趣味がない。退屈をもてあましていたところにやってきたのが八歳の孫の千代太だ。だが喜んだのも束(つか)の間、徳兵衛は動物嫌いなのに、千代太は汚い犬や猫を可哀想だからと拾ってくる。情けをかけるなら人間相手にしろと叱ったら、今度は貧乏な子どもたちを連れてくるようになり……。  ここから徳兵衛の隠居生活は彼が予想もしていなかった方に転がっていくのだが、その様子が実に痛快。仕事をとったら何も残らない、孫との接し方もわからないことに気づき、頑固で恐れられた老人があたふたする様子には思わず頰が緩む。
私は作者の西条奈加氏はこれを読む前に何の知識もなかったが、以下のサイトでは西条奈加氏に関して、いろいろ紹介してくださっている。また、本の内容、どんな出来事が起こるかも詳しく描かれている。
というわけで、本書『隠居すごろく』である。前置きが長くてすみません。「公明新聞」(二〇一七年六月一日~二〇一八年五月三一日)に連載され、二〇一九年三月にKADOKAWAから刊行された長編だ。『無暁の鈴』とほぼ同時期に書かれた作品であることに、たったいま気がついた。これもまた、西條奈加の一つの方向を示す長編で、まったく楽しい。  主人公は、嶋屋徳兵衛。巣鴨町に店をかまえる糸問屋の六代目だったが、 「わしはこのたび、嶋屋六代目の主の座を退いて、隠居することにした」  と宣言するところから始まる小説である。
これを読んでもわかると思うけど、特別小説になりそうな大きな出来事が起こるわけではない。わたしたちの日常でも起きそうなことだ。でも、予想外の展開だというところが面白い。私は、読んでいて仕事にも役立つような人間関係や、職場での人の育て方などの参考になりそうな出来事や記述があると感じて興味深かった。西条奈加氏の他の作品は是非読みたくなった。
その他、下のアマゾンの評も紹介します。
5つ星のうち5.0 豊かな暮らしとは何だろう 2022年3月29日に日本でレビュー済み Amazonで購入 当初思い描いていた悠々自適な隠居生活からどんどんかけ離れていくにもかかわらず、現役の頃よりも商売の楽しさや人との関わりが深く強くなることで、家族からも多少煙たがられていた主人公の人生が、より色鮮やかに充実していく様子がとても魅力あふれる文章でつづられています。時代小説でありながら、心温まるファンタジー要素も感じられ、小学校高学年くらいの読書好きの子にも安心して薦められます。 小説の終わり方に好き好きはあると思いますが、私はとても心満たされて読み終えました。主人公は隠居後、お金では贖えない豊かな暮らしを送ることができたのだと思いました。
展開が面白くて、一気の読んでしまった面白い本でした。