8月の読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2809
ナイス数:69
ユビキタスの感想
★★★★☆あの『リング』を超える、との惹句があったが、期待のしすぎか。植物が地球生命の中心という視点は面白いが、ホラー小説として考えると残念ながらそこまでの恐怖は覚えなかった。
読了日:08月29日 著者:鈴木 光司
現代思想入門 (講談社現代新書 2653)の感想
★★★★☆現代思想というものとはなんだろう、という興味から読みはじめてみる。デリダ、ドゥルーズ、フーコーの3人の中ではフーコーの権力論が納得がいった。ここからまた繰り返し読み進めてみようかと思う。
読了日:08月26日 著者:千葉 雅也
台湾漫遊鉄道のふたり (単行本)の感想
★★★★☆昭和13年、日本が台湾を統治していた時代に日本人作家が台湾に1年滞在し、その時に通訳としてついてくれた若い女子との交流と齟齬を現代の台湾の作家が描く、という二重性を持った小説だ。ちょっと読んでいると当時の日本人作家が書いたものと勘違いしそうだ。統治する側の日本人とその彼女の通訳として日常生活まで面倒を見る現地の女性という、その差は作家の勘違いを気づくことができないまま同じような気持ちを抱いている自分がいることを気づかせてくれる。
読了日:08月23日 著者:楊 双子
教養主義の没落: 変わりゆくエリ-ト学生文化 (中公新書 1704)の感想
★★★★☆最近読まれているとのことで読んでみた。教養主義が旧制高校の伝統で東京帝国大学の文学部に入学した地方農村出身者により引き継がれてきたが、戦後のマス高等教育による中間大衆文化の広がりに加えて、農村の衰退により教養主義も薄れてきた、との見解だ。しかし副題にあるエリート学生文化という概念がいまはなくなってしまったと思うのだが、教養を重視するという考え方の現在地はどこにあるのだろうか。
読了日:08月17日 著者:竹内洋
沈む祖国を救うには (マガジンハウス新書)の感想
★★★★☆ここに書かれているものは氏のブログに掲載されているものが多かったが、まとまって読むと昨年の衆議院選挙、アメリカ大統領選という時事的な問題から、教育、農業の問題まで、危機感を述べている。アメリカ・ファースト現象はヨーロッパをはじめついに日本にもやってきたが、民主政治の面倒くささを私たちが我慢して継続できるのかを繰り返し述べているが、それはともにがんばろうと敢えて大声で呼びかけているように聞こえる。
読了日:08月13日 著者:内田樹
新版 「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (ちくま文庫か-57-2)の感想
★★★★★単行本刊行時から読もうと思っていたが機会を逃していた。文庫化されて読んでみた。まず20世紀の色覚検査については、小中高と受け、その度に嫌な思い、劣等感を味わされたことを思い出す。本書では色覚異常の検査の内容、検査の判定の妥当性、職業の制限等、歴史的経緯を踏まえ、中心的な存在である眼科医、学会での現状を鑑みながら問題点と改善への道筋を提言している。終章にあるゲノム検査、出世前検査、自閉スペクトラム症の問題は色覚異常の社会的立場に晒された人間にとって考えさせられる内容だった。
読了日:08月11日 著者:川端 裕人
翠雨の人の感想
★★★★☆「猿橋賞」という賞が優れた女性研究者に贈られるものというの受賞者が新聞に紹介されているので知っていたが、その賞の名前が冠されている猿橋氏がどのような人物であったのかを本書を読んで初めて知った。この戦後80年の8月に放射能汚染の検定に尽力した科学者の生涯を知るという大切な経験をさせてもらった。
読了日:08月10日 著者:伊与原 新
中央線随筆傑作選 (中公文庫 な 78-2)の感想
★★★★☆息子からの父の日プレ。職場が市ヶ谷だったが、京王線住人なので中央線は休日に吉祥寺と立川に行く程度だ。戦前から近年までさまざまな姿を見せてくれるこのアンソロジーは書かれた各駅を訪ねてみようと思わせてくれる。
読了日:08月03日 著者:南陀楼綾繁
大阪アースダイバーの感想
★★★★☆9月に大阪万博に行くことになり、積読本から引っ張り出してきた。大阪には仕事で何回か行ったことはあるが、仕事場所以外を歩いたことがなく、読みながら地図で場所を探しながら確認するという作業が必要だった。大阪は上町台地とその先の砂州でできた街であり、そこには海民と先住民との出会いから年が出来上がっていくという。古墳時代から聖徳太子のでは四天王寺、秀吉の大阪城と堺の千利休という歴史とは別の土地にまつわる歴史をさぐっている。ただ、漫才や吉本のところはこじつけ気味と感じたが大阪の人はどう思っただろう。
読了日:08月02日 著者:中沢 新一
読書メーター
読んだ本の数:9
読んだページ数:2809
ナイス数:69

★★★★☆あの『リング』を超える、との惹句があったが、期待のしすぎか。植物が地球生命の中心という視点は面白いが、ホラー小説として考えると残念ながらそこまでの恐怖は覚えなかった。
読了日:08月29日 著者:鈴木 光司

★★★★☆現代思想というものとはなんだろう、という興味から読みはじめてみる。デリダ、ドゥルーズ、フーコーの3人の中ではフーコーの権力論が納得がいった。ここからまた繰り返し読み進めてみようかと思う。
読了日:08月26日 著者:千葉 雅也

★★★★☆昭和13年、日本が台湾を統治していた時代に日本人作家が台湾に1年滞在し、その時に通訳としてついてくれた若い女子との交流と齟齬を現代の台湾の作家が描く、という二重性を持った小説だ。ちょっと読んでいると当時の日本人作家が書いたものと勘違いしそうだ。統治する側の日本人とその彼女の通訳として日常生活まで面倒を見る現地の女性という、その差は作家の勘違いを気づくことができないまま同じような気持ちを抱いている自分がいることを気づかせてくれる。
読了日:08月23日 著者:楊 双子

★★★★☆最近読まれているとのことで読んでみた。教養主義が旧制高校の伝統で東京帝国大学の文学部に入学した地方農村出身者により引き継がれてきたが、戦後のマス高等教育による中間大衆文化の広がりに加えて、農村の衰退により教養主義も薄れてきた、との見解だ。しかし副題にあるエリート学生文化という概念がいまはなくなってしまったと思うのだが、教養を重視するという考え方の現在地はどこにあるのだろうか。
読了日:08月17日 著者:竹内洋

★★★★☆ここに書かれているものは氏のブログに掲載されているものが多かったが、まとまって読むと昨年の衆議院選挙、アメリカ大統領選という時事的な問題から、教育、農業の問題まで、危機感を述べている。アメリカ・ファースト現象はヨーロッパをはじめついに日本にもやってきたが、民主政治の面倒くささを私たちが我慢して継続できるのかを繰り返し述べているが、それはともにがんばろうと敢えて大声で呼びかけているように聞こえる。
読了日:08月13日 著者:内田樹

★★★★★単行本刊行時から読もうと思っていたが機会を逃していた。文庫化されて読んでみた。まず20世紀の色覚検査については、小中高と受け、その度に嫌な思い、劣等感を味わされたことを思い出す。本書では色覚異常の検査の内容、検査の判定の妥当性、職業の制限等、歴史的経緯を踏まえ、中心的な存在である眼科医、学会での現状を鑑みながら問題点と改善への道筋を提言している。終章にあるゲノム検査、出世前検査、自閉スペクトラム症の問題は色覚異常の社会的立場に晒された人間にとって考えさせられる内容だった。
読了日:08月11日 著者:川端 裕人

★★★★☆「猿橋賞」という賞が優れた女性研究者に贈られるものというの受賞者が新聞に紹介されているので知っていたが、その賞の名前が冠されている猿橋氏がどのような人物であったのかを本書を読んで初めて知った。この戦後80年の8月に放射能汚染の検定に尽力した科学者の生涯を知るという大切な経験をさせてもらった。
読了日:08月10日 著者:伊与原 新

★★★★☆息子からの父の日プレ。職場が市ヶ谷だったが、京王線住人なので中央線は休日に吉祥寺と立川に行く程度だ。戦前から近年までさまざまな姿を見せてくれるこのアンソロジーは書かれた各駅を訪ねてみようと思わせてくれる。
読了日:08月03日 著者:南陀楼綾繁

★★★★☆9月に大阪万博に行くことになり、積読本から引っ張り出してきた。大阪には仕事で何回か行ったことはあるが、仕事場所以外を歩いたことがなく、読みながら地図で場所を探しながら確認するという作業が必要だった。大阪は上町台地とその先の砂州でできた街であり、そこには海民と先住民との出会いから年が出来上がっていくという。古墳時代から聖徳太子のでは四天王寺、秀吉の大阪城と堺の千利休という歴史とは別の土地にまつわる歴史をさぐっている。ただ、漫才や吉本のところはこじつけ気味と感じたが大阪の人はどう思っただろう。
読了日:08月02日 著者:中沢 新一
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