梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

歌舞伎座のつい最近

2009年01月11日 | 芝居
松もとれ、歌舞伎座は9日『トンボ道場開き』、今日11日『鏡開き』の振る舞いお汁粉。
恒例行事が続けて行われました。
道場開きは、女形に籍を移してからは参加しておりませんので、詳しくご報告する資格を持ちませんので、歌舞伎美人での特集を御覧下さいませ。
お汁粉は、楽屋棟1階の流し場にコンロを設置して、その場で作ってくれるんですけど、紅白の白玉と切り餅が入ってとっても美味しいのです! おかわりしたいんだけど、皆さん召し上がるわけですから、我慢ガマン…。

初春公演も3分の1が終わったわけですね。

お陰様で、昼夜2演目での後見も、だいぶ落ち着いてまいりました。少しずつ生まれてきた余裕を、新たな課題の克服にむけて努力致したいと思います。

短文にて失礼いたします。

梅之の10年・下

2009年01月10日 | 芝居
平成15年

 1月松竹座  『将軍江戸を去る』新門の子分
        『娘道成寺』所化
 2月歌舞伎座 『千本桜(通し)』
         「大物浦」雑兵
         「吉野山」花四天
         「小金吾討死」黒四天
 3月国立劇場 『実朝』実朝の小姓
        『斑雪白骨城』町人
 4月歌舞伎座 『国姓爺合戦』官人・下官
 5月薬師寺  【玄奘三蔵法会】師匠の三蔵法師役出演に同行
   NHKホール【古典芸能鑑賞会】『娘道成寺」』所化
 6月国立劇場 『与話情浮名横櫛』「赤間別荘」赤間の子分
   品川プリンス 【世界ガス会議レセプション】『連獅子』後シテの子獅子
 7月歌舞伎座 『加賀鳶』鳶の者・捕手
        『四谷怪談忠臣蔵』
         「発端」
         「討入」塩冶浪士
 8月歌舞伎座 『義賢最期』軍兵
        『野田版 鼠小僧』劇中の捕手・捕手・お白州の見物人
 9月歌舞伎座 『喜撰』所化
10月御園座  『二月堂』法師
        『一條大蔵卿』腰元
        『大津絵道成寺』槍奴
11月演舞場  『宮本武蔵』池田輝政の小姓・吉岡の門人・群衆の男
12月お休み

平成16年

 1月松竹座  『八犬伝』花四天
        『土蜘』裃後見(頼光)
 2月歌舞伎座 『三人吉三』捕手
 3月歌舞伎座 『達陀』練行衆
        『千本桜・小金吾討死』捕手
 4月金丸座  『再桜遇清水』参詣人・奴・捕手
        『お祭り』若い者(お獅子)
 5月歌舞伎座 『暫』仕丁
 6月博多座  『寿猩々』着付後見(猩々)
        『金閣寺』力者
        『其小唄夢廓』駕篭屋
 7月巡業   『落人』花四天
 8月国立劇場 【合同公演】
         『双面水照月』法界坊と野分姫の霊
         『源氏店』和泉屋若い者藤助
 9月巡業   『落人』花四天
10月歌舞伎座 『寿猩々』着付後見(猩々)
        『井伊大老』火事装束の若侍
11月歌舞伎座 『箙の梅』平家の武士
        『お祭り』若い者
12月南座   『箱根霊験誓仇討』
        『助六』廓の若い者

平成17年

 1月国立劇場 『御ひいき勧進帳』
         「色手綱恋の関札」軍兵
         「芋洗い勧進帳」番卒
 2月柝の会  『歌舞伎に親しむ』解説
        『傾城阿波の鳴門 どんどろ』尼妙天
        『棒しばり』大名
 3月歌舞伎座 『俊寛』船頭
 4月歌舞伎座 『浮名横櫛』「見染め」貝拾いの浜女
        『籠釣瓶』九重付き振袖新造
 5月歌舞伎座 『芝居前』猿若座の出方
        『野田版 研辰の討たれ』お化け提灯・参詣の男
 6月歌舞伎座 『三五大切』若い者
        『教草吉原雀』着付後見(鳥売りの男実は鳥の精)
 7月巡業   『吉野山』花四天
        『浮名横櫛』「見染め」黒戸の子分清六
 8月国立劇場 【合同公演】
         『十種香』花作りの蓑作実は武田勝頼
         『奥庭』後見(八重垣姫)
 9月柝の会  『歌舞伎に親しむ』「景清」平景清
        『櫓のお七』下女およし
        『松王下屋敷』御台所園生の前
10月国立劇場 『貞操花鳥羽恋塚』仕丁
11月歌舞伎座 『熊谷陣屋』軍兵
        『鞍馬山誉鷹』花四天
12月南座   『五斗三番叟』雀踊りの奴
        『京人形』大工

平成18年

 1月歌舞伎座 『鶴壽千歳』後見
        『藤十郎の恋』大道具方
 2月博多座  『女伊達』若い者
        『大津絵道成寺』槍奴
 3月国立劇場 【第18期歌舞伎俳優研修発表会】
         『修禅寺物語』修禅寺の僧
 4月歌舞伎座 『沓手鳥弧城落月』関東方武士
        『関八州繋馬』軍兵
        『井伊大老』侍女
 5月歌舞伎座 『外郎売』振袖新造
        『権三と助十』長屋の女房
        『黒手組助六』振袖新造
 6月歌舞伎座 『藤戸』裃後見(佐々木高綱)
        『荒川の佐吉』見物の男
        『暗闇の丑松』若い者
 7月国立劇場 『毛谷村』忍びの浪人直方源八
 8月国立劇場 【藤間会】
         『屋島官女』武者右源太
         『大望月』着付後見(望月秋長)
         『土蜘蛛』着付後見(蜘蛛の精)
        【合同公演】
         『修禅寺物語』源頼家
 9月歌舞伎座 『六歌仙 業平』後見(業平)
        『籠釣瓶花街酔醒』九重付き振袖新造
10月国立劇場 【40周年記念式典】
         『石橋』裃後見(雌獅子の精)
        【芸術祭 弁慶二態】
         『勧進帳』裃後見(富樫)
        『元禄忠臣蔵 第1部』
         「第二の使者」申し次ぎの侍
         「最後の大評定」大石の若党・諸士
11月国立劇場 『元禄忠臣蔵 第2部』
         「伏見鐘木町」廓の若い者
12月歌舞伎座 『嫗山姥』花四天
        『将門』力者
        『勢獅子』後見(鳶頭鶴吉)

平成19年

 1月歌舞伎座 『松竹梅』「松の巻」着付後見(在原業平)
        『勧進帳』裃後見(富樫)
        『金閣寺』捕手
 2月歌舞伎座 『忠臣蔵(通し)』
         「大序」大名
         「落人」着付後見(勘平)
         「七段目」若い者
 3月歌舞伎座 『義経千本桜(通し)』
         「四の切」腰元(この月より籍を女形に移す)
 4月歌舞伎座 『頼朝の死』申し次ぎの侍女
        『男女道成寺』所化
 5月歌舞伎座 『勧進帳』裃後見(義経)
        『女暫』女奴
        『め組の喧嘩』島崎楼抱え女郎おきみ
 6月歌舞伎座 『妹背山婦女庭訓』<小松原>の腰元
 7月国立劇場 『歌舞伎のみかた』<先代萩>乳母政岡
 8月日本橋劇場【一心會】
         『操り三番叟』三番叟
         『茶壺』目代
         『船弁慶』片岡八郎
   国立劇場 【音の会】
         『仮名手本忠臣蔵 九段目』仲居
        【合同公演】
         『乗合船恵方万歳』鳥追いおせん
         『勧進帳』後見(富樫)
   日本橋劇場【苫舟の会】
         『卯月夢醒死神譚』人力車夫
 9月巡業   『番町皿屋敷』茶屋娘
10月国立劇場 『平家女護島』<清盛館>の腰元
        『昔語黄鳥墳』腰元胡蝶/吹替えの源之助
11月歌舞伎座 『種蒔三番叟』後見(三番叟)
12月南座   『将軍江戸を去る』美濃部の母

平成20年

 1月歌舞伎座 『猩々』裃後見
        『助六』揚巻付き振袖新造
 2月歌舞伎座 『忠臣蔵七段目』仲居
        『鏡獅子』裃後見
 3月歌舞伎座 『春の寿』「萬歳」着付後見(萬歳)
        『吉田屋』仲居
   国立劇場 【三津緒の会】
         『海士』着付後見(房前の大臣)
 4月御園座  『源太勘当』腰元
        『大川の隠居』長谷川家の女中
        『閻魔と政頼』裃後見(赤鬼)
        『浮名横櫛』貝拾いの女
 5月歌舞伎座 『青砥稿花紅彩画』「初瀬寺」腰元
 6月博多座  『娘道成寺』所化
        『髪結新三』通行の女
 7月巡業   『神田祭』着付後見(鳶頭梅吉)
 8月歌舞伎座 【囃子の会】
         『鶴亀』着付後見
   国立劇場 【音の会】 
         『弁慶上使』義経の室卿の君
        【合同公演】
         『勢獅子』芸者おひろ
 9月巡業   『葛の葉』吹替えの葛の葉
        『勧進帳』裃後見(富樫)
10月国立劇場 『大老』井伊家上屋敷の侍女・下屋敷の侍女
11月歌舞伎座 『吉田屋』仲居
   国立劇場 【勘次の会】
         『山姥』後見(怪童丸)
12月歌舞伎座 『高時』侍女露芝
        『籠釣瓶』九重付き振袖新造


梅之の10年・上

2009年01月09日 | 芝居
平成10年

 5月歌舞伎座 『野晒悟助』提婆の子分
        『お祭り佐七』祭りの花四天
 6月国立劇場 『歌舞伎のみかた』「鳥居前」軍兵
        『葛の葉』「道行」の奴
 7月国立劇場 『歌舞伎のみかた』捕手
 8月国立劇場 【稚魚の会】
         『車引』仕丁
         『越後獅子』角兵衛獅子
         『文七元結』女郎待人
 9月歌舞伎座 『二条城の清正』家来
        『二月堂』僧
10月御園座  『吉野山』花四天
        『助六』振袖新造
11月松竹座  『花桐いろは』見物人・巡礼の男
        『一本刀土俵入』土地の男
        『一條大蔵卿』腰元
        『お土砂』捕手
12月歌舞伎座 『国姓爺合戦』下官・大明兵士

平成11年

 1月歌舞伎座 『河内山』近習
 2月歌舞伎座 『将軍江戸を去る』彰義隊・見送りの町人
        『盛綱陣屋』盛綱の臣
 3月松竹座  『忠臣蔵(上方式通し)』
         「七段目」太鼓持
         「十一段目」浪士
 4月歌舞伎座 『五斗三番叟』雀踊りの奴・竹田奴
        『曾根崎心中』見物人
 5月NHKホール【古典芸能鑑賞会】
         『鳴神』所化
 6月歌舞伎座 『夏祭』祭りの男
        『伊勢音頭』踊り子
 7月国立劇場 『石切梶原』黒衣(梶原)のみ
 8月国立劇場 【音の会】
         『引窓』お幸
 9月歌舞伎座 『名月八幡祭』祭の若い者
        『石川五右衛門』此下の近習
10月金丸座  『将門』力者
        『落人』花四天
   姫路城  『白鷺城異聞』黒衣(前田利家)のみ
11月巡業   『文七元結』女郎花香
12月歌舞伎座 『吉例曽我』軍兵
        『勢獅子』若い者
        『籠釣瓶』九重付き若い者
   NHKホール【紅白歌合戦】白組ショー
          DA PUMP「歌舞伎五人男」にカラミで出演(shinobuと立廻り)
         
平成12年

 1月国立劇場 『鳴神』所化
        『将門』力者
 2月お休み
 3月近松座  『吉野山』花四天
 4月歌舞伎座 『俊寛』船頭
        『一條大蔵卿』腰元
 5月松竹座  『勢獅子』若い者
        『籠釣瓶』八ッ橋付き振袖新造
 6月博多座  『河内山』近習
        『俊寛』船頭
 7月歌舞伎座 『鎌髭』花四天
 8月国立劇場 【合同公演】
         『団子売』杵造
         『魚屋宗五郎』磯辺の中間
 9月歌舞伎座 『桔梗旗揚』春長の家来
        『妹背山御殿』花四天
   国立劇場 【藤間会】
         『団子売』着付後見(杵造)
10月御園座  『寺子屋』捕手
11月歌舞伎座 『孤城落月』関東方武士
        『逆艪』船頭(2日目より骨折で休演)
12月お休み

平成13年

 1月国立劇場 『奥州安達原』黒衣のみ
 2月松竹座  『車引』仕丁
        『盲長屋』町人
 3月国立劇場 『新世紀累』捕手・参詣人・捕手
 4月歌舞伎座 『頼朝の死』町人
        『幡随院長兵衛』村山座の出方
        『千本桜大物浦』知盛にかかる武士
 5月松竹座  『敷島物語』吹替えの十三郎
 6月国立劇場 『歌舞伎のみかた』「双蝶々・難波裏」の駕篭
 7月巡業   『雨の五郎』若い者
        『落人』花四天
 8月歌舞伎座 『御浜御殿』腰元
        『化競丑満鐘』捕手
        『勢獅子』若い者
        『野田版 研辰の討たれ』お化け提灯
        (千穐楽のみ参詣人で出演)
 9月歌舞伎座 『俄獅子』若い者
        『陣門』吹き替えの敦盛
        『女殺油地獄』参詣人
10月国立劇場 『天下茶屋』
11月巡業   『勧進帳』裃後見(富樫)
12月国立劇場 『三人吉三』駕篭・捕手
   国立劇場 【第2回 伝統歌舞伎保存会研修発表会】
         『吉野山』早見の藤太

平成14年

 1月歌舞伎座 『鞘當』茶屋廻り
 2月歌舞伎座 『菅原伝授(通し)』
         「加茂堤」仕丁
         「筆法伝授」警護の侍
         「車引」仕丁
 3月国立劇場 【第16期歌舞伎俳優研修修了発表会】
         『小金吾の立廻り』主馬小金吾
 4月歌舞伎座 『将門』力者
        『阿古屋の琴責め』近習
        『孤城落月』裸武者にかかる武士
 5月南座   『金閣寺』力者
 6月博多座  『頼朝の死』町人
        『石切梶原』梶原方供侍
        『車引』仕丁
 7月お休み
 8月歌舞伎座 『播州皿屋敷』家人・供侍
        『浮かれ心中』伊勢屋の若い者定吉
 9月歌舞伎座 『佐々木高綱』佐々木の家来
        『怪異談牡丹灯籠』山賊
        『籠釣瓶』九重付き振袖新造
        『女夫狐』着付後見(塚本狐の精)
10月御園座  『京人形』大工
        『土蜘』裃後見(頼光)
11月国立劇場 『忠臣蔵(上方式通し)』
         「三段目」大名
         「四段目」諸士
         「七段目」太鼓持
         「十一段目」浪士
12月国立劇場 『彦山権現 通し)』 
         「一味斎屋敷」捕手
         「杉坂墓所」山賊
 

ご縁というものはあるもので

2009年01月08日 | 芝居
朝、楽屋の非常階段をのぼってスッ転び、向こう脛をイヤというほど打ってしまいました。筋トレも追いつかない老化現象…。

さて…。
度々申し上げておりますように、今月は『鏡獅子』で、松嶋屋(孝太郎)さんのご子息、千之助さんのお手伝いをさせて頂いておりますが、千之助さんとのご縁はこれが初めてではございませんで、平成16年11月歌舞伎座におきましての初舞台の狂言『松栄祝嶋台 お祭り』以来なのでございます。

いつもの『お祭り』を、千之助さんの初舞台のために華やかな構成にしておりましたが、花道から元気に登場、劇中口上ののち、後半の立廻りにおきまして、獅子舞のお獅子の中から再登場する場面がございましたが、このときのお獅子の前足がワタクシだったわけでして…。

お獅子が出る立廻りではよく使われるゴロ返りという動きを使いまして、あらかじめお獅子の前足と後ろ足の間に入っていた千之助さんが、獅子の中から出てくる様を、新たな俳優の《誕生》のイメージとして見せる趣向でございました。
獅子のゴロ返り自体は、何度も経験させていただいておりましたのですが、中にもうお一人入っていらっしゃるということで、安全で綺麗な返り方を見つけるまでが試行錯誤でしたが、大変勉強になり、またよき思い出ともなっています。

あれから4年余。ずいぶん大きくなられました! 再びお舞台に携わらせて頂き、有難い気持ちでいっぱいです。どうかつつがなく、胡蝶のお役を勤め上げられますよう!

申し訳ございません

2009年01月07日 | 芝居
『鏡獅子』で、舞台中央の“二畳台”を上手に移動するとき、自分の袴の片方の裾も一緒に持ち上げてしまい、なんともお恥ずかしい限りです。情けない! 大いに反省!! そして「こんなことも起こりうるのか!」と、ひとつ学習…。

さて…。
初芝居も5日目が終了。だんだんと、今月の疲れ方に慣れてきました。
昼間には筋力トレーニングを後輩と一緒にやりはじめたり。
2月の『蘭平物狂』に向けてやる気満々のみんなに無理矢理混じってる感じ? いやいや、最近ホントに気持ちに体がついていかなくて…。

三日坊主にならなきゃいいケド…。



鳴く声に幾夜寝覚めん…

2009年01月06日 | 芝居
『俊寛』の終盤、海女千鳥の乗船を再度嘆願したものの、ついに聞き入れない瀬尾に対して、俊寛の怒りの刃が突き刺さるそのとき、枯れ芦の蔭から鳴きながら飛び立つ二羽の千鳥…。
ただならぬ事変がおきたことを、鳥の驚きで示す、素晴らしい演出だと思います。

ご覧頂いた方はお察し頂けると存じますが、人力で操作しております。演技のキッカケに合わせなくてはならない大事な役目は、役者が担当することがほとんどです。
一昨年の国立劇場での上演のおり、終演後の舞台裏で“お休み”していたのを撮った写真がありましたので、今回はそれを掲載させていただきました。

ピピッ、ピピッという鳴き声も、千鳥笛を使って出しています。上手下手で鳴き交わすことで、海原、浜辺の空間の広さが感じられますね。波音もかぶさり、まさに海辺の情景!

ほどけないでね

2009年01月05日 | 芝居
『鏡獅子』が終わりますと一気に緊張がとけるせいか、体も気持ちもグタ~っとしてしまいまして、今月はちゃんとしたブログ更新ができるのかしらと不安になってきました。
もう少し、舞台が落ち着くまで、短文で失礼いたします。

自分のなら簡単にできることが、他人に対しては難しい…。
ネクタイや靴ひも、ボタンがけなどでそう感じるコトはございませんか?
『祝初春式三番叟』で、まさにそういう思いをいたしております。

師匠演じる三番叟の、烏帽子のかけかえです。
最初は“侍烏帽子”をかぶっておりますが、途中舞台上で黒の“剣先烏帽子”に変えるおりに、シンの後見であられる加賀屋(松江)さんと、私の附け後見と二人で介錯をいたします。
一番気をつけるのが、顎下で紐を結ぶとき、そして結んだ“輪”の部分を顔の横に挟み込むとき。
烏帽子の紐なんて、自分は『車引』の仕丁などで、さんざんやってきてるんだけど…。
イザ師匠に対して勤めてみますと、思う以上に時間がかかるものですね。
舞台稽古の時は手が震えてしまったし…。
素早くやらなければならないものではございませんが、やはり手際よく、サッとできたほうが気持ちがよいものです。

だんだん慣れてはまいりましたが、まだまだ!
平常心、平常心…。

初芝居、はじまりました!

2009年01月03日 | 芝居
歌舞伎座<寿 初春大歌舞伎>、目出度く初日を迎えることができました。

今月は『祝初春式三番叟』と『鏡獅子』の後見のみの出演となりますが、それゆえに緊張もひとしおというものです。
とくに『三番叟』は、ひとつの“儀式”といってもよいくらいの重さ、格の高さがある演目ですから、心のもち方から気をつけねばなりませんのが、世俗の垢にまみれたヤツガレには難しいところでして…。
おかげさまで、まずは大過なく勤められました。有り難うございます。

『鏡獅子』は、モウ胡蝶のお二人の元気さに助けられたという感じです! 
本当にご立派に勤め上げていらっしゃいました。
あとは、私自身の仕事を整理して、綺麗に段取りよく…。

気疲れが出たのか、珍しく帰宅するなりバタンキューでした。

それにしても、大入り満員の客席の賑々しさ!
嬉しい限り、有難い限りでございます。
売れ行きも大好調だそうで。まだお求めでない方は、どうぞお早めに!

(1月4日 記)

公開顔寄せと初稽古

2009年01月02日 | 芝居
いつもなら、「本日初日」とご報告するところですが、本年の歌舞伎公演は、歌舞伎座も国立劇場も浅草公会堂も、大阪の松竹座も明日3日が初日。
本日は、いよいよ始まる<歌舞伎座さよなら公演>にあたりましての『古式顔寄せ手打式』が行われたのでございます。

「顔寄せ手打式」は、普段ですと稽古日の間に出演者と興行側だけで行います<顔寄せ>を、歌舞伎座の本舞台におきまして、客席にご列席の関係者各位の前で行う、公開形式の儀式でございます。

幕が開きますと、紅白の段幕の前に居並ぶ人数は約二百名!歌舞伎座に出演する方のみならず、ほぼ全ての幹部俳優・名題俳優の皆様、松竹株式会社の方々、音曲の責任者、大小道具、照明、衣裳、床山各社の長が揃います。
まず、河竹登志夫氏によります、歌舞伎座<寿 初春大歌舞伎>公演の狂言名題のご披露があり、続いて当公演の総配役を記した“附帳(つけちょう)”を、携わる各スタッフの長に手渡す“附帳渡し”、列席者一同に寄ります“手打ち”、俳優協会会長であられる成駒屋(芝翫)さんの御挨拶と続きまして、最後は山城屋(坂田藤十郎)さんの音頭で、客席の皆様とともに手締め…。

「顔寄せ手打式」は十数年ぶりだとか。初めて拝見する儀式の華やかさ、厳粛さに、関係者ではあるのですけれど、感動いたしました!
続いて記録映像「歌舞伎座を彩った名優たち」を上演。歌舞伎座の開場から今日までの大舞台で活躍された俳優の、貴重な映像がオンパレード。
最後が祝儀舞踊『老松』で、成駒屋(芝翫)さん、天王寺屋(富十郎)さん、山城屋(藤十郎)さんのお三方の素踊りで。おごそかに、歌舞伎の弥栄を祈り、幕――。

今の歌舞伎座では最後の行事。立ち会えた幸せをひしひしと感じた次第です。


そのあとが『鏡獅子』胡蝶のくだりのみの<舞台稽古>でございました。
数日間のブランクがあいたお二人の、新年初稽古。もちろん後見役の私にとっても…。
果たして、ブランクなんて全然関係ない、これまで通り、いやいや、さらに落ち着いたお元気な踊りぶり!
私の方がカンを取り戻すのに苦労しました…。
二畳台の扱い、意識したぶん良い方に変わったところもありますが、手際とか瞬時の判断とか、まだまだまだまだ至りません。我が脳を恨みますけれど、とにかく落ち着いて、冷静に<見る>こと!

家に帰るとNHKで7時からの特番が。師匠が出ていらっしゃいます。
どうぞ御覧下さいませ。




2009年がはじまりましたが

2009年01月01日 | 芝居
喪中ですので新年のご挨拶は控えさせて頂きますが、本年も、何卒よろしくご指導ご鞭撻のほど、お願い申し上げます。

平成ももはや21年! <中村梅之>の名前を頂いてから、丸10年が経ちました。
11年目の今年も、心身の健康に気をつけて、全力で舞台に取り組みます。
どんなお芝居、お役との出会いがあるでしょうか? とても楽しみにしております。
真剣に楽しく、甘えず前向きに、謙虚に熱く!

サァ今日は1日ゴロゴロするぞ~。