梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

公開顔寄せと初稽古

2009年01月02日 | 芝居
いつもなら、「本日初日」とご報告するところですが、本年の歌舞伎公演は、歌舞伎座も国立劇場も浅草公会堂も、大阪の松竹座も明日3日が初日。
本日は、いよいよ始まる<歌舞伎座さよなら公演>にあたりましての『古式顔寄せ手打式』が行われたのでございます。

「顔寄せ手打式」は、普段ですと稽古日の間に出演者と興行側だけで行います<顔寄せ>を、歌舞伎座の本舞台におきまして、客席にご列席の関係者各位の前で行う、公開形式の儀式でございます。

幕が開きますと、紅白の段幕の前に居並ぶ人数は約二百名!歌舞伎座に出演する方のみならず、ほぼ全ての幹部俳優・名題俳優の皆様、松竹株式会社の方々、音曲の責任者、大小道具、照明、衣裳、床山各社の長が揃います。
まず、河竹登志夫氏によります、歌舞伎座<寿 初春大歌舞伎>公演の狂言名題のご披露があり、続いて当公演の総配役を記した“附帳(つけちょう)”を、携わる各スタッフの長に手渡す“附帳渡し”、列席者一同に寄ります“手打ち”、俳優協会会長であられる成駒屋(芝翫)さんの御挨拶と続きまして、最後は山城屋(坂田藤十郎)さんの音頭で、客席の皆様とともに手締め…。

「顔寄せ手打式」は十数年ぶりだとか。初めて拝見する儀式の華やかさ、厳粛さに、関係者ではあるのですけれど、感動いたしました!
続いて記録映像「歌舞伎座を彩った名優たち」を上演。歌舞伎座の開場から今日までの大舞台で活躍された俳優の、貴重な映像がオンパレード。
最後が祝儀舞踊『老松』で、成駒屋(芝翫)さん、天王寺屋(富十郎)さん、山城屋(藤十郎)さんのお三方の素踊りで。おごそかに、歌舞伎の弥栄を祈り、幕――。

今の歌舞伎座では最後の行事。立ち会えた幸せをひしひしと感じた次第です。


そのあとが『鏡獅子』胡蝶のくだりのみの<舞台稽古>でございました。
数日間のブランクがあいたお二人の、新年初稽古。もちろん後見役の私にとっても…。
果たして、ブランクなんて全然関係ない、これまで通り、いやいや、さらに落ち着いたお元気な踊りぶり!
私の方がカンを取り戻すのに苦労しました…。
二畳台の扱い、意識したぶん良い方に変わったところもありますが、手際とか瞬時の判断とか、まだまだまだまだ至りません。我が脳を恨みますけれど、とにかく落ち着いて、冷静に<見る>こと!

家に帰るとNHKで7時からの特番が。師匠が出ていらっしゃいます。
どうぞ御覧下さいませ。