梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

鳴く声に幾夜寝覚めん…

2009年01月06日 | 芝居
『俊寛』の終盤、海女千鳥の乗船を再度嘆願したものの、ついに聞き入れない瀬尾に対して、俊寛の怒りの刃が突き刺さるそのとき、枯れ芦の蔭から鳴きながら飛び立つ二羽の千鳥…。
ただならぬ事変がおきたことを、鳥の驚きで示す、素晴らしい演出だと思います。

ご覧頂いた方はお察し頂けると存じますが、人力で操作しております。演技のキッカケに合わせなくてはならない大事な役目は、役者が担当することがほとんどです。
一昨年の国立劇場での上演のおり、終演後の舞台裏で“お休み”していたのを撮った写真がありましたので、今回はそれを掲載させていただきました。

ピピッ、ピピッという鳴き声も、千鳥笛を使って出しています。上手下手で鳴き交わすことで、海原、浜辺の空間の広さが感じられますね。波音もかぶさり、まさに海辺の情景!