梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

稽古手本忠臣蔵・に

2007年01月31日 | 芝居
本日、『大序』より『道行』まで、つまり昼の部の各幕の<初日通り舞台稽古>でした。
初日通りということで、『大序』では、この通し狂言ではお馴染みの<口上人形>による狂言名題、配役の口上も行われました。古来からのしきたりで、この口上を行う頃には、『大序』の出演者は顔世御前以外全員舞台に控えていなくてはなりません。ですので私たち大名役の者は、早々に化粧、拵えをいたしまして舞台に降りてゆくのです。
この口上から、延々演奏される鳴り物を経ての開幕、そして兜改めが終わるまでが、私たちの<正座時間>。衣裳を着けるとまた感覚がかわります。気持ちもより引き締まり、というか、引き締まるのを通り越して、締めつけられるような緊張感も味わうこととなりましたが、これがこの狂言に出る醍醐味なのかしら?

緊張感、緊迫感は、『四段目』でさらに高まりました。師匠演じます上使、石堂右馬之丞の黒衣後見として、音羽屋さん演ずる塩冶判官の、登場から死までを、同じ舞台で<裏方>として、しかしごくごく間近に接することになったわけですが、物音一つたてるのもはばかられる張りつめた空気、洗練されきった演出が作る儀式性。いくら師匠の陰に隠れているとはいえ、ひと息もつけません。意識し過ぎはかえって逆効果ですが、この幕にふさわしい後見を勤めるには、そうとう努力しないとなあ…。

ここまでで相当気骨が折れたせいか、パッと華やかな『道行』の稽古になったとたん、こちらの気持ちまで晴れやかになったような。ある意味救いのない大名家の悲劇から一転、菜の花と桜が咲き誇る舞台面での若き男女の逃避行(とはいえ多分にお気楽な)で昼の部が打ち出しになる。よくできた構成ですね(関西式では違いますが)。
後見の段取りは、用事が少ないだけスムースにまとめることができました。立廻りを裏から見る初体験でしたが、今日はついつい本当に<見て>しまった感。明日からは気をつけます。先輩仲間後輩多数<花四天>に出演する中で、弟弟子の梅秋が師匠を<返り越し>しての“1人がかり”を勤めておりますので、ひと月気をつけて頑張ってほしいと思います。

さあ明日からは如月、歌舞伎の“独参湯”忠臣蔵の開幕です! 皆様お誘い合わせの上、お出まし下さいますように!

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1 コメント

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初日おmでとうございます (うぐいす)
2007-02-01 20:00:35
こんばんは!
今月の忠臣蔵は本当に楽しみです。
梅之さんもいろいろとお役目があっていいですね。一ヶ月、頑張って下さい。応援しています。
私は、来週6日の昼の部に参ります。夜の部も行く予定です。
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