![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/b7/d8f538bc00006f407c51def952c251c0.jpg)
久々掲載となる写真をご覧下さいませ。こちらは大道具で使われる<箱馬(はこうま)>でございます。
<箱足>と呼ばれることもあるそうですが、現場ではもっぱら<箱馬>です。直方体の木製で、頑丈な作りです。
この<箱馬>は統一規格がございまして、一尺(約三十センチ)×一尺七寸(約五十一センチ)×六寸(約十八センチ)というもの(写真のもそれです)と、一尺×一尺×六寸という二通り、これしかございません。この統一寸法が、歌舞伎の舞台作りにかかせない、大変重要な基本サイズとなるのですよ。
歌舞伎では、そのままの舞台床より丈を高くして組上げた舞台を<二重(にじゅう)>と申しております。そしてこの<二重舞台>は、高さに応じて四種類の常式、つまりキマリがあり、低い順から<尺高(しゃくだか)><常足(つねあし)><中足(ちゅうあし)><高足(たかあし)>となります。
このそれぞれの<二重>を組むときに、<箱馬>が土台となり、これに床部分となる、厚さ四寸(約十二センチ)がキマリの<平台(ひらだい)>を載せればよいわけですが、ここで先ほどの統一規格がじつに合理的に機能を発揮いたします。
<尺高>は高さ一尺なので、<箱馬>の六寸をタテに置き、四寸の<平台>を載せて、合計十寸=一尺。
<常足>は高さ一尺四寸なので、<箱馬>の一尺をタテに置き、四寸の<平台>を載せる。(例『二人夕霧』など)
<中足>は高さ二尺一寸なので、<箱馬>の一尺七寸をタテに置き、四寸の<平台>を載せて合計一尺十一寸=二尺一寸。(例『野崎村』など)
二尺八寸の<高足>だけは、二尺四寸高さの<開き足>という別の台と<平台>で組むことになる(例『毛谷村』など)のですが、<箱馬>と<平台>さえあれば、歌舞伎の基本舞台のほとんどが組み立てられるということなんですね。
ちなみに<常足>以上の高さの<二重>舞台には、昇り降りの演技のための段がつきますが、この段も七寸(約十四センチ)というキマリがあります。これも実によく考えられている寸法で、<常足><中足><高足>、それぞれの高さをきちんと等分できるというわけなんですね。
もちろん演目によっては、こうした常式によらずに、特定の寸法で作る場合もございますが、古典演目のほとんどは、先に挙げた形式によることになっております。
写真でもわかる通り、しょっちゅう使うものですから次第にボロボロになってしまいます。舞台設営に使用しない時は、役者が<こしらえ場>で、化粧道具や小道具を置く台に使わせて頂いたり、舞台使用に耐えなくなったものは、楽屋の廊下で腰掛け代わりになったりと、いつまでもどこまでも働いてくれる大切なアイテムです。
皆様も<二重舞台>のお芝居をご覧になった時は、こんな縁の下の力持ちさんのことを思い出して下さいね。
<箱足>と呼ばれることもあるそうですが、現場ではもっぱら<箱馬>です。直方体の木製で、頑丈な作りです。
この<箱馬>は統一規格がございまして、一尺(約三十センチ)×一尺七寸(約五十一センチ)×六寸(約十八センチ)というもの(写真のもそれです)と、一尺×一尺×六寸という二通り、これしかございません。この統一寸法が、歌舞伎の舞台作りにかかせない、大変重要な基本サイズとなるのですよ。
歌舞伎では、そのままの舞台床より丈を高くして組上げた舞台を<二重(にじゅう)>と申しております。そしてこの<二重舞台>は、高さに応じて四種類の常式、つまりキマリがあり、低い順から<尺高(しゃくだか)><常足(つねあし)><中足(ちゅうあし)><高足(たかあし)>となります。
このそれぞれの<二重>を組むときに、<箱馬>が土台となり、これに床部分となる、厚さ四寸(約十二センチ)がキマリの<平台(ひらだい)>を載せればよいわけですが、ここで先ほどの統一規格がじつに合理的に機能を発揮いたします。
<尺高>は高さ一尺なので、<箱馬>の六寸をタテに置き、四寸の<平台>を載せて、合計十寸=一尺。
<常足>は高さ一尺四寸なので、<箱馬>の一尺をタテに置き、四寸の<平台>を載せる。(例『二人夕霧』など)
<中足>は高さ二尺一寸なので、<箱馬>の一尺七寸をタテに置き、四寸の<平台>を載せて合計一尺十一寸=二尺一寸。(例『野崎村』など)
二尺八寸の<高足>だけは、二尺四寸高さの<開き足>という別の台と<平台>で組むことになる(例『毛谷村』など)のですが、<箱馬>と<平台>さえあれば、歌舞伎の基本舞台のほとんどが組み立てられるということなんですね。
ちなみに<常足>以上の高さの<二重>舞台には、昇り降りの演技のための段がつきますが、この段も七寸(約十四センチ)というキマリがあります。これも実によく考えられている寸法で、<常足><中足><高足>、それぞれの高さをきちんと等分できるというわけなんですね。
もちろん演目によっては、こうした常式によらずに、特定の寸法で作る場合もございますが、古典演目のほとんどは、先に挙げた形式によることになっております。
写真でもわかる通り、しょっちゅう使うものですから次第にボロボロになってしまいます。舞台設営に使用しない時は、役者が<こしらえ場>で、化粧道具や小道具を置く台に使わせて頂いたり、舞台使用に耐えなくなったものは、楽屋の廊下で腰掛け代わりになったりと、いつまでもどこまでも働いてくれる大切なアイテムです。
皆様も<二重舞台>のお芝居をご覧になった時は、こんな縁の下の力持ちさんのことを思い出して下さいね。
初めまして。いきなりの書き込み失礼します。
統一寸法の箱馬は歌舞伎の世界だけではありません。…というより、日本の劇場・ホールは歌舞伎小屋が基準と言うのが正しいかも。
クラシックコンサートのホールでも尺で高さを決めると聞いたことがあるのです!(第九の合唱の台とか)面白いですね。