梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

朝から晩まで

2005年08月08日 | 芝居
今日から、社団法人伝統歌舞伎保存会による『小学生のための歌舞伎体験教室』がはじまりました。師匠梅玉も監修指導で参加しております。今日は午前十時から開講式。国立劇場の<大稽古場>に、大勢の子供さん達が、父兄同伴で集まりました。もちろん師匠も着物姿で出席です。
この体験教室では、『寿曾我対面』をテキストに、歌舞伎の演技を学んでもらうのですが、まず第一日目の本日は、稽古に入る前に、実際に使う小道具、カツラ、衣裳をお見せして、具体的なイメージを掴んでもらうところから始まりました。実質的な指導を担当なさる、萬屋(中村時蔵)さん、三河屋(市川團蔵)さん、京屋(中村芝雀)さん、萬屋(中村歌昇)さんが、丁寧に解説いたしますので、子供達も飽きることなく聞き入っておりました。歌舞伎が大好きな子供ばかりではないのでしょうが、将来の歌舞伎に、なんらかのかたち(ファンであれ、俳優であれ、スタッフであれ)でかかわってくれるようになるとうれしいですね。

勉強会のお稽古も、午後ニ時からございました。『体験教室』が終わったあとの<大稽古場>で、師匠梅玉、そして加賀屋(中村魁春)さん両講師にお越し頂きました。
今日は昨日注意された点をことに意識して、より内輪な動き、抑えたセリフ回しを心がけました。「何もしない」の一歩手前。しかしお腹の中にはしっかりと「性根」をこめて。本当に加減が難しゅうございました。結果的には師匠からは「今日のような感じでよいのだけれど」と言われましたが、かえって張るべきセリフが立たなくなってしまったので、そういうところは時代のセリフ回しを忘れないようにとのことでございました。

稽古後は、午後六時から国立劇場の<第三研修室>で、勉強会参加者が揃っての会議。チケットのこと、今回始めて実施する勉強会でのイヤホンガイドのことなど、議題は多うございましたので、終了は八時少し前。私達俳優の手で運営している勉強会なので、事前の打ち合わせは大切です。

明日は講師のお二人がいらしてのお稽古ではなく、八重垣姫、濡衣、そして勝頼の俳優のみが集まっての「自主稽古」をいたします。お互いに教えあい、確かめあいながら、俳優同士でこの一幕をまとめていければと思います。
その前に、私がB班での上演で後見をいたします、『奥庭狐火の場』のお稽古も始まります。こちらでは、兜を操ったり衣裳の引き抜きをしたりと、結構忙しい仕事がありますので、『十種香』と同じくらい勉強して、本番にのぞみます。

今日は朝の九時半から夜八時まで、一日中国立劇場におりました。ちょっと疲れた一日でした。

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