梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

勉強させて頂きました

2009年02月16日 | 芝居
国立劇場小劇場での文楽公演、第1部の『鑓の権三重帷子』を拝見してまいりました。
仕事の前に浄瑠璃を拝聴できるなんて、夢みたいなことが叶ったのがとても嬉しく、また演目が、歌舞伎では久しく上演されていないものでしたので興味津々。床に近い席をとったので、人形も浄瑠璃もしっかり堪能させて頂きました。

近松翁の<姦通物>ということですが、夫の留守を守る立場であるおさゐの、抑えがたい権三への恋慕や嫉妬心、、愛し合う女がいながら、茶道の奥義を授かるために別の娘との口約束の婚約まで決めてしまうような権三の優柔さ、登場人物の抱える様々な心情がからみあって、まさにのっぴきならない状況へ<陥って>ゆくありさまがリアルに描かれており、300年前の物語を、とても新鮮に感じることができました。
吉田文雀師の遣われるおさゐが、なんとも色気があって若々しくて…!

開幕前の『三番叟』も拝見でき、ひさしぶりの文楽を、こころゆくまで楽しむことができました。
客席も大入り、嬉しいことでございます!