梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之博多日記・小耳に聞いたあの唄は

2008年06月10日 | 芝居
歌舞伎におけるBGMともいわれる<黒御簾音楽>。とはいえ、BGMという以上の役割、効果を発揮する大切な存在です。
黒御簾で演奏される唄や三味線は長唄さんが担当なさいます。だからということもあるのでしょうが、有名な長唄の舞踊曲のひとくさりが、お芝居の下座として使われることはしばしばです(下座専用の曲ももちろん沢山あります)。

よく引き合いに出されますけれど、今月も夜の部で上演されております『弁天娘女男白浪』では、幕開きが「向い小山のしちく竹…」で『越後獅子』、弁天小僧と南郷の出は「繻子の袴のひだ取るよりも…」は『鷺娘』ですね。

『菅原伝授手習鑑 加茂堤』でも、お馴染みの曲が使われておりました。桜丸と仕丁との立廻りのときに、「主のためとて天神様に願掛けて 梅を断ちます めいはく…」と華やかに唄いますが、コレは『手習子』の最後の部分ですね。
この場には登場しませんけれど、外題通り、菅原道真が中心となる狂言で、<天神様>が下座に出てくる。面白いですね。

知っている曲が聞こえてくると、「オッ、これは」と思われる方もいらっしゃると思います。