梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之博多日記・恋をする身は浜辺の千鳥

2008年06月08日 | 芝居
初めは加賀屋(魁春)さん、次に天王寺屋(富十郎)さん、3度目は松嶋屋(仁左衛門)さんと中村屋(勘三郎)さんの『男女道成寺』でしたが、今回山城屋(藤十郎)さんのお舞台で、4回目となる<所化>役です。

山城屋さんは御襲名以来、「道行」のお衣裳を新たに誂えられていらっしゃいます。従来ですと、黒地に枝垂桜の着付、白地に狂言模様か扇面などの織物の帯となるのですが、それをガラリとお変えになり、藤紫色の地に、小さい梅の花で麻の葉鹿の子を描き、そこに大ぶりの桜の花を散らした着付、帯は朱色地に金の亀甲つなぎ、山城屋さんのご紋(本紋・替紋)を散らすという意匠です。伺いますと、着付の模様は、題名通りの『京鹿子』なのだそうで、舞台上で拝見いたしておりましても、大変華やかなのは申すまでもなく、上方の<はんなり>とした趣きも感ぜられ、本当に素敵だと思います。

「道行」のあとの所化とのやり取りの中で、普段略されることも多い「問答」をなさること、「山尽くし」からすぐに「鈴太鼓」に移ること、鐘入りの衣裳が、赤地に金の鱗模様の<ぶっかえり>になることなど、『道成寺』にも色々ななさり方があることを勉強させて頂いております。

皆様、『道成寺』の各段で、どのくだりがお好きですか?
私は<道行>が1番、<山尽くし>が2番。着てみたい衣裳は<ただ頼め>の紫の着付…。