梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅見月稽古場便り・2

2008年01月29日 | 芝居
お昼前から『小野道風青柳硯』の<道具調べ>に引き続き<附立>。
道具調べとは、ほぼ本番通りに飾られた大道具や小道具を、主演者や演出・監修者がチェックして手直しをしてゆく作業です。『小野道風~』は、京の柳ヶ池のほとりというごく単純な舞台面なのですが、ここに、お芝居の進行や演出にあわせ、仕掛けものをしたり、出入りの動線を確保したりいたします。
肝心かなめの蛙チャンがちゃんと動けるよう、大道具さん、小道具さんはもとより、舞台監督ともいえる狂言作者さんともじっくり時間をかけて打ち合わせをし、舞台稽古を2日後に控えて、とりあえずの段取りを作りました。<蛙飛び>の見せ場のために、様々な分野の方々がお知恵を下さいました。やっぱりお芝居はみんなで<作る>ものなのですよね~。

続いて『熊谷陣屋』の<附立>。私が入門してからでも、これで3度目となる師匠の義経。段取りはすっかり承知しておりますので、バタバタしなくていいのが助かります。

<顔寄せ>のあとは『仮名手本忠臣蔵 七段目』の<附立>。初めての仲居役です。何度も拝見している演目ですので、雰囲気はわかっておりましても、いざ自分がその役で出る段になりますと、思わぬところで(?)となるところが色々ございまして、先輩方に改めて伺うことが多うございました。賑やかな祗園の廓らしさが出せるように、そして行儀良く勤めるよう、勉強させて頂きます。

最後は『春興鏡獅子』の<舞台にて総ざらい>。高麗屋(染五郎)さんと2人の胡蝶は扮装をしてお勤めになりました。
昨日も書きましたが、まさか自分が携われるとは思ってもみなかった演目で、後見としていろいろお仕事をさせて頂ける嬉しさはひとしおなのですが、緊張感もすごいものがございます。新歌舞伎十八番の中でも大曲として知られ、<重い>作品でございます。そういう格を崩さぬ後見でいられるよう、心して取り組みたいですが、舞台稽古を前に、本舞台、初日通りの装置、小道具で稽古ができて本当に良かった! 勝手がよくわかりましたし、ほとんど本番と同じ、ピンと張りつめた空気に慣れることができましたしね…。

その『鏡獅子』の<初日通り舞台稽古>が明日朝一番のお稽古。
早起きをして、しゃっきりとした頭で楽屋入りしませんと!