梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

風待月稽古場便り・貳

2007年05月30日 | 芝居
本日は『妹背山』の<総ざらい>でした。
総ざらいは、衣裳や小道具以外はほぼ本番通りに進行するのがもっぱらで、ツケ打ちも入りますし柝も刻まれるわけですが、効果音も同様に用いられます。
「吉野川」の幕開きに、オキの浄瑠璃の合間に鶯の鳴き声が入りますが、これは弟子が“鶯笛”を吹いて聞かせるのです。今回は私が担当させて頂くことになりました。初めて吹くので緊張いたしますが、今日の総ざらいでの<初鶯>、なんとか無事に吹くことができました。間合いや音色にまだまだ勉強しなくてはならない点がございますが、今月は舞台稽古が2回ありますので、しっかりお稽古させて頂いた上、初日を迎えたいと思います。

さて、今日のお稽古に先立ちまして、早稲田大学小野記念講堂にて、『第70回 逍遥祭』の企画として《父中村歌右衛門の淀君》と題した講演が催され、師匠梅玉が講師として演壇にお立ちになりました。
私も同行させて頂きまして、舞台袖から拝聴いたしましたが、坪内逍遥氏作の『沓手鳥孤城落月』や『桐一葉』で淀君役を度々演じてこられた大旦那、6世中村歌右衛門の、淀君役に対する姿勢や舞台姿にはじまり、歌舞伎の諸役全般に通じていた<心>や<芸>の大きさを、おそばにいらした立場から1時間ほどお話しになり、浅学若輩の身としては大変ためになることばかりでした。お客様の質問コーナーも、面白うございましたよ。

演劇博物館にもお邪魔することができ、初めて足を踏み入れた<早稲田大学>で、楽しいひとときを過ごせました。学生の皆さんのエネルギー、活気がものすごくて、私てっきりイベント期間中なのだと思っていましたら、講演会担当の方から「毎日こんなですよ」と言われてビックリした次第…。
ちなみにハンカチ王子には会えませんデシタ。