夕刻、これだけ風が強いのなら もしかしたら雲も吹き飛ばされて綺麗な夕焼けが撮れるかも知れないとの思いが湧いてきて
「今日は寒いよ」と云う家内の声を聞き流し、車を走らせた。
釧路川河口に車を置き、遮るもののない川沿いを上流方向へ向かったのだが気温は2度。

台風並みの強風に煽られてヨタヨタしながら「負けるもんか」と意地になって歩いた。

スニーカーの繊維を風が突き抜け 足の甲がヒンヤリしてきた。
歩いている足の着地点が風に流されて思わずよろけ 危険を感じて川岸から離れた。

帽子が何度も飛ばされそうになり、被るのをやめて上着の中に押し込んだ。

カモメはどんな構造になっているのだろうか、この強風の中 羽ばたきもせず 見事に浮いていた。
幣舞橋の四季の像と夕陽のコラボが撮りたいので、風が吹き荒れる中 幣舞橋を抜けて上流の久寿里橋まで歩き 夕陽の落ちる位置を想像して構図をねった。

何度も何度も寒さに負けそうになり(夕陽なんかどうでも良い)と思う心に
(せっかくここまで頑張ったのだから)と云う気持ちを押し被せて50分。

やっと その時がきた。

歩きながら 少しずつ落ちて行く太陽との戦い。



太陽を追いかけるように川下へ向かいながら歩き、最後は車へ逃げ込んでヒーターをフル回転。

凍り付いて強張ってしまい、表情の消えた顔から鼻水が垂れた。