<奥出雲町稲原>
『古事記』では櫛名田比売、『日本書紀』では
奇稲田姫と表記されるクシナダヒメ(稲田姫)は、
ご存知のようにヤマタノオロチにさらわれる寸前、
スサノオによって命を助けられた女神です。
一般的には、農耕祭祀の象徴、五穀豊穣の神……、
などとして崇敬され、スサノオとの間に
八人の御子神を産んだことでも知られます。
また、クシナダヒメという名前は、
スサノオがヤマタノオロチを退治する際、
クシナダヒメを「櫛」に変えたことから
その名がついたのだとか。
何でも、櫛の材料となる「竹」には、
不思議な霊力が宿っているそうで、
クシナダヒメが化身した櫛を
髪に挿して出陣したスサノオは、
その力のおかげか見事オロチを退治しました。
ちなみに、イザナギが黄泉の国から逃げる途中、
イザナミに「櫛」を投げつける場面がありますが、
「櫛を挿す」「櫛を投げる」という行為には、
どことなく意味深な暗示が漂いますね。
これらの「稲」「櫛」「竹」……等の
キーワードは、果たして出雲神話を
ひも解くヒントとなるのでしょうか……。