<宍粟市・たたらの里学習館>
播磨国から出雲国へと降り立った金屋子神は、
その後どのような行動を取ったのでしょうか……、
『金屋子神祭文』の続きを見て行くことにしましょう。
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金屋子神が桂の巨木に座って休んでいるところへ、
たくさんの犬を連れた「安部正重」
という人物が通りかかりました。
金屋子神に気づいた犬たちが吠えて、
神に襲い掛かろうとしたため、
安部正重が「あなたは何者か?」と問いかけると、
「私は金屋子の神だ。ここに住んでタタラを作り、
鉄の生産を広めたい」と告げたのです。
金屋子神の申し出に従い安部正重は、
土地の朝日長者である長田兵部を
「タタラの村下(むらげ)」に任じ、
早速、製鉄を行う準備に取り掛かりました。
ところが、金屋子神が村下とタタラへと向かう途中、
またしても犬が吠えかかってきたため、
慌てて逃げようとしたところ、麻(蔦)に足をとられ、
村下(金屋子神という説もあり)は死んでしまいます。
* 村下とは棟梁(現場責任者)のこと
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このときの出来事が発端となり、
「金屋子神は犬を嫌う」との伝承が生まれたと聞きます。