<中山神社 なかやまじんじゃ>
アニメ映画「もののけ姫」の舞台にもなった、
島根県雲南市・菅谷たたらの伝承の中に、
先日ご紹介した『金屋子神祭文』とは
少々異なる言い伝えがありました。
何でも、出雲タタラの始祖である金屋子神は、
吉備の中山から、村下1人とオナリ1人、
そしてお伴を2人連れて、
奥出雲へとやってきたのだそうです。
ところが金屋子神の一行が到着したとき、
四つ目の犬が吠えて襲いかかってきたため、
金屋子神は慌てて笹の中に身を隠したのだとか。
それ以来、タタラで働く人々は犬を嫌い、
笹を大事にするようになったと言います。
また、近隣の雲南市・阿用という地区には、
「片目の鬼が来て、農家の息子を食べた。
その時、父と母は竹藪の中に隠れた……」
という内容の昔話が残されていました。
一説に「オナリ」とは、15歳くらいの少女
(飯炊きの老婆という説もあり)を指し、
神様の食事を作っていたとのことですから、
恐らく巫女のような立場だったのでしょう。
「オナリ」と金屋子神とのつながりは、
それ以上調べることはできませんでしたが、
気になるのは、金屋子神も阿用の夫婦も、
「笹」に助けられたという点かもしれません。