<稲田神社 いなたじんじゃ>
***** 出雲の神社2 *****
金屋子神社から30分ほど南に下った
奥出雲らしいのどかな田園風景の中に、
クシナダヒメを祀る稲田神社がありました。
周囲には、姫が産湯に使った「産湯の池」や、
へその緒を切った竹を祀る「笹の宮」など、
クシナダヒメと関わる伝承地が点在し、
古い由緒を感じさせる場所です。
ただし、稲田神社の建物自体は、
昭和13年に寄進されたそうで、
もともとのお宮は、「産湯の池」か、
「笹の宮」の付近にあったのだとか。
地元の伝承によれば、産湯の池の近くから、
神剣や神鏡が出てきたという話もありますし、
一帯が古代の祭祀場だったことは確かなのでしょう。
考えてみますと、クシナダヒメという神は、
夫であるスサノオとともに祀られることが多く、
単独でご祭神となっているケースは少なめです。
出雲神話に登場する女神の代表格であり、
スサノオとの間に八人もの子を成した、
偉大な「母神」であるにも関わらず、
故郷出雲におけるクシナダヒメの存在感は、
意外なくらいに凡庸としていました。