たびたび神社

ライターあかりの神社ブログ

麻と蔦

2019-02-10 09:34:36 | 出雲の神社

<宍粟市・たたらの里学習館>

 

昨日、『金屋子神祭文』の中に記された

「村下(および金屋子神)が犬に襲われ命を落とす」

という話をご紹介しましたが、

近隣地域に伝わる昔話の中には、

「犬に吠えられた金屋子神は、蔦を伝って逃げたが、

蔦が切れて犬に噛まれて亡くなった……」、

あるいは「蔦ではなく麻苧に絡まり亡くなった……」、

さらには「蔦は切れたが藤(もしくはミカンの木)

につかまって助かった……」など、

若干細部のニュアンスを変えながら、

金屋子神の素性を暗示させる文言が残されていました。

 

仮に、「犬」という言葉が、各々の氏族の

「山師たち」を指しているのだとすれば、

村下は自らの同族であった安倍一族の

タタラの民に襲われたとも解釈できます。

さらに、「麻」を麻の栽培を広めた忌部氏、

「蔦」を葛との関連を元に葛城氏に当てはめると、

両氏族が安倍一族に協力した可能性も出てきますね。

恐らく、この部分が描こうとしているのは、

出雲族の配下の「犬」と播磨族の配下の「犬」、

つまり各々のタタラの民同士が、他部族と連携しつつ、

出雲の砂鉄を巡って対峙した場面なのかもしれません。