<奥出雲町稲原>
古代より、土地の神を鎮め災いを防ぐために、
人身御供という儀式が行われてきました。
対象となったのは、主に子供や若い女性で、
現在、神社の特殊神事や民間習俗に残る
「動物の供物を捧げる」という儀式は、
人的犠牲の代替行為でもあります。
記紀のヤマタノオロチの物語の中にも、
のちにスサノオの妻となるクシナダヒメが、
人柱になりかけた経緯が描かれていますが、
神話の舞台が出雲に移ったタイミングで、
「人身御供」の伝承が登場するということは、
古くからこの風習が重要視されていた証なのでしょう。
恐らく、クシナダヒメとヤマタノオロチとの一件は、
「人身御供(人柱)」として犠牲になった、
イズモの女性たちを示すと同時に、
全国の「イズモ」と呼ばれた土地に、
人柱となった人々がたくさんいた事実を、
後世に残すために記された話なのかもしれません。