天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

ローズティー

2017-05-06 21:05:20 | 
薔薇の香りがする
ゆっくりと薔薇が開く
ゆっくりと薄紅に染まる


まるで

恋に開く心のよう
恋に染まる心のよう

薔薇のエッセンスを
口に含む

薔薇がぽとりと
私に広がる

私はふわりと
薔薇に落ちる





許されざれし 罪深き者

2017-05-05 20:29:23 | 
そんなことはない
そんなことはない

誰も言ってない
誰も強いてない

わかっている
わかっている

頭では

わかっている

けれど

心が

受け入れてしまっている

呪いの言葉

「私は救われない」

「私は許されない」

「私は罪深い」

いつもは忘れているのに

揺らいでいる時

苦しんでいる時

浮かび上がる

緋文字

「私は救われない」

「私は許されない」

「私は罪深い」

刻みこまれた刻印

幼い頃から

抱き続けた呪文

そんなことはない
そんなことはない

誰も言ってない
誰も強いてない

そうだろう
そうだろう

いつもは忘れている

四六時中思っているわけでもない

けれど

許されざれし 罪深き者

という発作に襲われるたび

無力感に苛まされ

消えてなくなりたくなってしまう

この呪いは

いつから

どこから

やってきたのだろう

自らが招いたのだろうか
自らが望んだのだろうか

自らが作り上げた煉獄なのだろうか

自らが彫った呪いの緋文字なのだろうか

そうだとしたら

あまりにも愚かすぎる所業
あまりにも悲しすぎる所業

許されざれし 罪深き者

こだまする耳鳴りに

壊れそうになる

















育つ世界に

2017-05-05 17:49:36 | 
世界は光に満ちている

灰色に閉ざされた日々に
別れを告げた

まばゆい青空に包まれて

健やかな青葉が揺れている

繰り返し
繰り返し

暴風は吹くだろう
豪雨は降るだろう

繰り返す
繰り返す

荒れ狂う吹雪
轟き渡る雷鳴

それでも

世界は光に満ちるのだ

楔を打ち込まれ
身動きができない時

壁にぶち当たり
先が見えない時

底に沈み込み
もがき苦しむ時

闇に侵食されても
光はやがてやってくることを

忘れてしまう

(自らが倒れてしまうのが
先かもしれないが!)

自らの身が朽ちたとしても

いつかは

夜が明け

朝がやってくる

悲しむ誰かに

光がさす

芽吹いた誰かに

光がさす

扉は開く

若葉は育つ
















CROW

2017-05-03 21:32:51 | 


俺らは夜明けに目を覚ます
お前ら人間たちの上前をはねる

乱痴気騒ぎの後に
散らばった残飯

それをただ漁るだけ

それなのに

そんな顔をしかめることないだろう?

ゴミ袋を引きちぎったくらいで

汚したなんてよく言うぜ

お前ら人間たちの喰らい方に比べたら

血で血を洗う喰らい方に比べたら

俺らのやり方なんぞ

かわいいものさ

俺らの黒いビー玉の目
俺らの低いしゃがれ声

お前ら人間たちは

必要以上に忌み嫌うが

冗談じゃねえ

お前ら人間たちの騙し合いに比べたら

泥と泥にまみれた騙し合いに比べたら

俺らの佇まいなんぞ

かわいいものさ

そりゃ

俺らはやられた仕打ちは覚えてる

やられたらやり返すのが

俺らの流儀

けどな

お前ら人間たちのように

やってもないのに
やったりはしねえのよ

お前ら人間たちのほうが

地獄からの使者なんだぜ

口を拭って
上品ぶったって


これは愛なんかじゃない

2017-05-03 20:55:05 | 
顔色をうかがい
先回りして
望む通りのことを
したつもりだった

けれど

無知だと
ののしられ

無能だと
なぐられた

あたしが

バカだから

あたしが

ダメだから

震えて

部屋の片隅にいても

引きずられて

土下座させられ続けた日々

気配を消しても

ウザいと蹴られ

尽くしたつもりでも

違うと怒鳴られ

どうしたらいいのか

怯えていた日々

今ならわかる

どうしたって
お気に召さなかったろう

だって

「あたし」が問題ではかった

「あいつ」が問題だったのだから

愛されたかった

愛したかった

あたしは

愛したつもりだったけど

それは

愛じゃなかった

一方通行なんて

愛になるはずがない

あたしは

ばらばらになってしまった

眠ることができないくらい

ぼろぼろになってしまった

どんなに

時間が経っても

壊れたところは戻らない

それでも

生きなければならないのだ

「これは愛なんかじゃない」

あたしは悟ることができた

それが

良かったのか
悪かったのか

今はまだ

わからない