「かりんとう、深川名物かりんと
う。」
若かりし頃の清吉。その頃は夜、花街
で商売をしていた。特に、かりんとう
売りの口上のごとく、深川界隈を売り
歩くことが多かった。清吉はいきで気
風がよくて、あっさりした深川の土地
柄が好きだった。いつもだいたい同じ
ところをまわっていたので、顔なじみ
の客もできた。かりんとう売り名物の
大きなちょうちんに灯がともってい
る。月はさやかに輝いていた。そこか
しこの料理屋から煌々と明かりがも
れ、芸者たちの嬌声や客たちの笑い
声、三味線の音に長唄が流れてくる。
今は深川が一番活気のある時刻だ。清
吉のかきいれ時でもあった。清吉は声
をはりあげた。
「かりんとう、深川名物かりんと
う。」
う。」
若かりし頃の清吉。その頃は夜、花街
で商売をしていた。特に、かりんとう
売りの口上のごとく、深川界隈を売り
歩くことが多かった。清吉はいきで気
風がよくて、あっさりした深川の土地
柄が好きだった。いつもだいたい同じ
ところをまわっていたので、顔なじみ
の客もできた。かりんとう売り名物の
大きなちょうちんに灯がともってい
る。月はさやかに輝いていた。そこか
しこの料理屋から煌々と明かりがも
れ、芸者たちの嬌声や客たちの笑い
声、三味線の音に長唄が流れてくる。
今は深川が一番活気のある時刻だ。清
吉のかきいれ時でもあった。清吉は声
をはりあげた。
「かりんとう、深川名物かりんと
う。」
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