腕の良い大工職人は、腕の良い刃物の磨ぎ師でもあります。
同じことを料理人にも言えそうです。写真のように切れ味の鋭い鉋で一気に引き出すと、紙より薄い透き通った薄皮が飛んで、何とも艶っぽい木肌が現れます。
包丁を使う料理人は、その切れ味とつくる料理の味の旨味に比例します。
大工さんや料理人は、刃物を研ぐ技を徹底して仕込まれます。
昨今は、この匠の技が忘れ去られるようになるのが気になります。
工務店経営者には、大工さんから経営者になった人が多くいます。
特に戦後の家づくりは、大工さんが匠の技を競い合う風習が主流でした。
カンナの引き方で木肌の艶が異なります。当然、カンナの手入れを吟味する事が先決です。
大工は時間を縫ってカンナやノミの研ぎ作業を、料理人は包丁研ぎを行います。
昨今は、コンピューターを用いたプレカットと言う装置で、墨付け、切り込みの作業が正確で短時間で出来上がります。また機械で磨いたカンナ歯を用いた「超カンナ」と言われる装置で、木材が一瞬のうちに綺麗に仕上がってしまいます。
コスト削減や品質が担保されると、このような作業が潮流となるのでしょう。
先人達が培って来た日本独自の家づくりの技法である、手刻み、手カンナは、時代遅れと揶揄される時代です。しかしこの日本独自の匠の技は、決して放棄してはいけません。
人の魂を吹き込んだ木肌の艶っぽさ…この本物を求める機会が必ずあります。
世の中がこぞって能率主義を標榜する時代だからこそ、匠の技が生きてくるはずです。
家づくりも日本料理も、匠の技の魂を吹き込む心意気を失っては絶対にいけません。
我々は日本人なのですから気概だけは失わないよう普段の意識が必要のようです。
さて、明日は上磯中学校の卒業式に参加した後に九州の長崎に移動します。
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