まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

天皇陛下の旅

2018年12月25日 | 日記

実に感慨深い記者会見だった。
時にニュース映像などでその言動に接することはあっても
天皇陛下のお言葉をゆっくり聞くことなど
めったになかっただけに思わず引き込まれてしまった。
この人は本当に人格者だなあと感心した。

天皇としての旅を終えようとしている・・・
という言葉がとても印象的だった。
そうか、この人の30年は旅だったんだなあと得心がいった。
現憲法下で初めて即位された天皇である。
以来、「象徴天皇」という政治的な重荷を担いながら
国民の象徴とはどうあるべきかを模索し続けられた長い道のりだった。
その人生には戦争の陰が色濃くにじんでいる。
何度となく広島を訪れ、長崎で祈りを捧げ、海外にも慰霊の旅に出かけられた。
多くの戦死者を出した激戦地サイパンでは
皇后さまと海に向かって深々と首を垂れる姿が鮮烈だった。

阪神淡路大震災、東日本大震災。
公務で多忙な中、被災地にも足しげく通われた。
各地の避難所や仮設住宅を訪問し
ひざを折って被災者たちの手を握っておられた姿が忘れられない。
とくに唯一の地上戦を体験した沖縄に寄せる思いは深く
皇太子時代を含めると訪問は11回になるとか。

  沖縄の人たちが耐え続けた犠牲に
  心を寄せていくとの私どもの思いは
  これからも変わることはありません。

心を寄せる・・・
という言葉の美しさを陛下から教えてもらった。
最近は安倍首相も同じような言葉を沖縄に対して使っているようだが
まことにもって噴飯ものである。
記者会見には皇后さまは同席されていなかったと思うが
お二人の夫婦としての絆も素晴らしいと思う。
いつでもどこへ行くのにも一緒で影のように支えて来られた。
そんな皇后さまに陛下は
心から労〈ねぎら〉いたく思います・・・と結ばれた。
この労いという言葉も
いかにも陛下らしい美しい言葉だなあ思う。
四月の退位後も、ご夫婦の旅は続く。