まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

スクリーンの郷愁

2017年06月11日 | 日記

いい写真だなあと思った。
昔「ニュー・シネマ・パラダイス」という映画があったが
その世界観を彷彿とさせる素敵な写真だ。



映画のスクリーンを背景にした親と子のシルエット。
客席を隔てて父親が差し出しているのは
おそらくポップコーンだろうか。
映画のスクリーンは訳もなく郷愁をかきたてるものだ。
少年の頃からこの銀幕の向うに
どれだけの見果てぬ夢を思い描いたことだろうか。



たまたま覗いた写真展だった。
場所は東京ミッドタウンの「FUJIFILM SQUARE」である。
八木進さんという写真家は寡聞にして知らないが
長崎県諫早市にお住いの方らしい。
父上が経営する地元の映画館が閉館することになり
子供の頃から映写室を遊び場にして育って来た八木さんは
スクリーンへの郷愁にかきたてられ
ご自分の息子さんを連れての撮影を思い立ったと言う。
ちなみに「シネマ・パルファン」の劇場名は
フランス語で「香り」という意味とか。
そう、ポップコーンの甘い香り・・・



可愛らしい息子さんである。
フィルムの回転リールを見つめる目が興味津々だ。
私も息子が小さかった頃はあちこちを連れ歩いたものだが
被写体としては子供は最高である。
この他にも息子さんが映画館を元気に走り回る写真が何枚もあって
見ているだけで微笑ましかった。



スクリーンの郷愁にひたるお父さん。
カラカラとフィルムが規則正しく流れていく音と
ランプボックスから漏れて来る強烈な光が
八木さんの写真の原点だと言う。
白黒写真には不思議な奥行きのようなものがあって
とってもいいなあ・・・と思う。
この他にもいろいろ魅力的な写真があったが
やっぱり一番はコレかなあ。



真っ黒になった二つの足の裏。
最後は裸足になって走り回ったのだろうか。
40年も続いた映画館が閉館してしまうのは寂しいけれど
父と息子が夢中になって遊んだ一日は
かけがえのない「撮影」の旅だったに違いない。