まろの陽だまりブログ

顔が強面だから
せめて心だけでもやさしい
陽だまりのような人間でありたいと思います。

見るものすべてが写真になる

2017年06月01日 | 日記

新聞の文化欄に載った
一枚の写真に強く心を惹かれてしまった。
ソウル・ライターという聞いたこともない写真家の作品だが
その鮮烈な色彩に思わず目を瞠った。



真っ白な雪景色に真っ赤な傘。
それを俯瞰から撮っただけのシンプルな写真だが
その大胆な構図と色彩が凄い。
ああ、この写真家の作品を見たいと反射的に思った。



渋谷駅で散々迷ったが
やっとたどり着いたのがBunkamura「ザ・ミュージアム」。
この美術館もしばらく来てないけど・・・
へえ、ニューヨークが生んだ伝説とはスゴイ!(笑)

ああ、あった、あった、これが新聞の写真だ!
つけられたタイトルは「足跡」だった。
確かに真っ白な雪道を歩く赤い傘の女性のうしろには
いくつもの足跡が続いている。
当たり前の光景だがつい見逃してしまうような
意表を突くような美しさがある。
どこか日本の浮世絵に似たような構図だなあと思ったら
スタイル・ライターは広重のファンだった。



いい写真がたくさんあったが
パンフレットにもなっている<雪>という写真がよかった。
雨粒に濡れたガラス窓の落書きと
その向うにたたずむ男の横顔がとらえられている。
これだってありふれた雪の日の光景だが
こうして写真で切り取ると不思議な詩情が漂って見える。



アメリカ・ピッツバーグ生まれの写真家である。
画家に憧れてニユーヨークに出て来るが
友人に手ほどきを受けたカメラでメキメキと頭角を現し
1950年代から第一線のファッションカメラマンとして活躍。
しかし、商業写真が注目を浴びはじめた80年代
表舞台から忽然と姿を消してしまった。
その才能を惜しむ声があっても「私はそんな大した人間じゃない」
というのが決まっての口癖だったと言う。

彼の写真のほとんどがストリート・フォトである。
その膨大な作品の8割以上が
彼が住んでいたイーストリバーの半径Ⅰキロ以内で
撮られたものだと言う。
ひらすらニューヨークの街角に立ちながら
つい見逃してしまいがちの「日常の美」を追い続けた。
最後まで孤高を貫いた「伝説」の写真家だった。



私も写真家(?)の端くれだが
世間から注目されるような大した人間じゃないが
一度でいいからこんなセリフを言ってみたい。
写真に精進しようと思う。