令和6年8月3日(土)
介護の現場で働く人材確保は大きな課題となっています。その救世主として外国人人材の登用が始まっていますが、介護という仕事がら、言葉も文化や習慣も異なる外国人が関わると言うことは、働く側も介護される側も様々な課題を乗り越えていく必要があります。
しかし、介護される側が日本人であろうが外国人であろうが、サービスに違いがあっては困ります。その分、介護する外国人には相当の力量が求められることになり、誰でもいいとは言いがたい状況です。
この機会を設けた理由は、人材不足が深刻化している介護分野において、インドネシアやフィリピンからの人材確保を行っている社会福祉法人と、相手国の日本向けに行っている日本語や介護関連教育および人材派遣の窓口業務を行っている関係者から、その実務や課題等について情報収集することを目的に実施しました。
そのきっかけとなったのは、私が6月上旬にフィリピンを視察した際、日本へのEPAや特定技能向けの教育機関と送り出し機関を訪ねその取り組みを調査しました。この時に受け入れ側である日本の介護施設等がどのように受け止めているか、できれば実際に働いている外国人にその様子を伺い確認すべきと考えていました。
今回訪問した、兵庫県にある介護施設では、インドネシア人とフィリピン人が10名以上、日本人スタッフに混じって介護の現場で働いており、大きな戦力となっています。
最初に、介護施設関係者および、日本側に外国人を受け入れ支援している関係者からお話を伺い、その後、現場を視察しながら外国人スタッフがどのように働いているかについて説明を伺いながら、その場で外国人スタッフとも意見交換させていただきました。
現場で意見交換したのは、来日10年を超えたインドネシア人男性で、日本語習得レベルはN1資格と社会福祉士資格を持っていました。私たちとの会話はユーモラスな場面もあり、介護の現場で働くことにふさわしい感じがしました。
もう一人は、来日3年目のフィリピン人女性で28歳、母国では理学療法士として働いていたそうですが、日本ではその資格が生かせません。今後、社会福祉士の資格を取るために、施設側の協力を得て研修などに参加し進めていくとのことでした。
さらに施設内を一巡した後、来日してまだ3か月ほどのフィリピン人女性から、日本で介護の仕事に就こうとした理由や、来日してからの仕事や生活ぶりなどについても伺いました。
3人とも、日本が大好きで、仕事ができることを大いに喜んでいました。
視察を終えて感じたことですが、フィリピンは国の施策としての送り出し側の仕組みがしっかりできていることで、受け入れ側との信頼関係が相互に醸成されていることが確認できました。受け入れ側のニーズに基づき、手厚い支援策が行われているフィリピンは、一つのモデルになると思われます。
特に日本に派遣される前に、様々な要件を確認し合うマッチングは、外国人人材が日本で安定して働くためには重要なことです。
日本で外国人人材を登用する場合に、それぞれの国がどのような派遣制度や支援制度を備えているかの確認をすることが重要と感じました。また、その評価を受け入れる側の介護施設と共有することにより、安定した人材確保が可能となるように思えます。
介護施設側は、人材不足を補うために働く外国人材であることから、能力に応じ、その人材に対する処遇を含め、尊敬の念を持つことで、相互にWin-Winの関係が成立することを意識する必要があると感じました。
インドネシアは、フィリピンに比べ母国の支援体制が整っていないようですが、日本に対する期待と本人のやる気が、施設側の信頼を得ていました。国毎の支援体制の違いはあっても、最後は、そこで働く人の意識で決まります。
令和6年度の本県の施策に、国際介護人材サポートセンターを設置することになっていますが、本質を見極めてその体制を整えるべきと感じています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます