平成29年11月12日(日)
富士市大淵にある富士芸術村で開催中の芸術祭を訪問し、主催者や作家、周辺自治会役員と懇談をさせていただきました。
(富士芸術村の村長、漆畑勇司氏)
富士芸術村は、今から10年ほど前に古民家の寄付により、地域で活躍する芸術家達のアトリエや作品展示の場として開設されたもので、行政が支援し民間団体が運営する、地域芸術家の活動拠点です。富士山を借景に、周辺には茶畑が拡がり、最近は富士山と茶畑の景観で世界的にも注目されている「笹場」に近い施設でもあります。
これまでも、県内外の作家の作品がその時々のテーマに応じて出展し、今回は「紙のアートフェスティバル」というテーマで、3名の市内外作家による作品展示が行われました。また、これ以外にも、紙細工やお茶会、アコーディオンアンサンブルの演奏などが披露され、周辺自治会の皆様の協力による出店などもあって、市内外からも来訪者が集まる大きなイベントとして開催されていました。
(普段は日本茶インストラクターの渡辺氏がワイングラスで奏でる楽器に挑戦)
作品展示では、2名の作家からお話を伺うことができました。
私は共通の質問として「紙を素材とした作品」にこだわる理由をお聞きしたところ、一人は富士宮市出身で実家では段ボールの加工業を営んでいたようで、子供のから紙に囲まれた生活をしてきたことが一つのきっかけになっているとのことでした。この理由を聞いて私も同じ経験があり、家業が「より紐」の紙加工場で、製造過程で出る「損紙」と呼ぶ紙の端切れや、巻紙の芯を集めて遊んだことが子供の頃の記憶として甦り、懐かしく感じました。
もう一人は山形県出身で、地場産業の一つである和紙の魅力にとりつかれたことがきっかけとお聞きしました。小さい時の体験や育った地域の環境は、時としてその人の生き方に大きな影響を与えます。二人の若い芸術家が、彼女たちの作品を通して、新しい紙の魅力を伝えることは、紙のまちに育った一人として、大変興味深く拝見することができました。
(富士宮市出身の石川瑛美氏の作品「生まれ、広がる」 ご本人と)
(山形県出身の治部あかね氏の作品「艶」 ご本人と)
伝統的な紙を使い独創的な作品でしたが、私がライフワークとして県政の中で取り組んでいるCNF(セルロースナノファイバー)に触れ、紙との関連を説明すると、新しい素材として興味を示していただき、将来はそれを使った作品にも挑戦してみたいとの感想をいただきました。
CNFと芸術の接点は今まで無かったことで、今後はそれも念頭に置きながら、どのような支援ができるか、考えていきたいと思います。
自治会の役員の皆さんとは、お茶などの農業振興や笹場を活用した観光振興などの地域課題・要望について意見交換をさせていただきました。テントの下に集まって車座で意見交換ができたことは、当初の予定にはありませんでしたが、実りの多い訪問となりました。
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