鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

木材に注目

2021年09月15日 | 議会活動
令和3年9月15日(水)

 静岡県議会では今年度、「脱炭素社会推進特別委員会」が設置され、私はその委員長に任命されました。県でも地球温暖化対策等に関する政策の見直しが行われており、県議会としてそれと並行した形で年明け頃には提言を行う予定でいます。

 特別委員会では県の担当部署からどのような取り組みをしているのか今後の方向性なども含めて聴取し、また外部講師を招いての勉強会や、先進事例の視察等を予定しています。この中で、先進事例の視察については、9月初旬に予定していましたが新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言により、断念することになりました。
 この穴埋めをしなければならず、現地に出向かないで情報を収集する方法として、現地とオンラインで結び現場の状況を、画像を見ながら説明を受ける方式も導入することになりました。今日は、午後からその会議が予定されています。

 さて、本題に戻りますが、今日予定されている会議は脱炭素の議論の中で重要な課題となる、森林保全と木質バイオマスについてです。

 脱炭素は、言い方を変えれば温室効果ガスの代表である二酸化炭素の排出をいかに抑えるか。また、排出された二酸化炭素をいかに回収するかです。二酸化炭素の回収には私たちが生きるのに必要な酸素を供給してくれる植物の存在があり、植物が二酸化炭素を吸収し酸素に変えてくれる大きな役割を果たしています。
 植物の中でも私たちの周りで一番効果的な役割を果たしているのは森林です。広大な面積の森林をどう保全し、二酸化炭素の吸収や雨水を蓄える水源涵養、豪雨から土砂災害などの発生を抑える防災機能など重要な役割を確保していくことが、脱炭素だけでなく近年の豪雨災害から大きく注目されています。

 しかし、森林の多くは十分な管理がされず荒廃林と呼ばれる状況も少なくありません。その背景には管理が大変でありそれに見合う経済効果が薄れてきたからです。木材需要がなかったのではなく、外国産の安価な木材に押されて国産材の需要が伸びなかったことが大きな原因の一つです。さらに、スギやヒノキといった人工林は植林から伐採までに50~60年かかり、その間に下草刈りや枝打ち、間伐など大変な管理作業があります。

 しばらく林業も厳しい時代が続きましたが、地球温暖対策などや防災の視点から注目が集まり、林業の現場では高効率機械の導入などでかなりの労力が軽減され、遠のいていた若い人たちが林業に職を求めて増加する傾向が見られます。これらの背景には、国や行政の支援があったことも理由の一つです。
 また、林業が回っていくためにはそこから搬出された木材活用が重要であり、住宅用の建材や家具などの材料としてのほか、加工して強度上げることで様々な分野でも利用が可能となりました。もちろん、私の生活に必要な地場産業である紙製品の原料等であることは忘れてはなりません。さらに、その残った部分をバオマス燃料として使うなど、無駄なく用途が広がっています。

 今年開催された東京2020オリンピック・パラリンピックに関しても競技場や関連施設への木材利用が環境に配慮した大会開催のコンセプトでもありました。

 環境に関する世界的な動きは、かつてのような海外から安価な無制限で輸入することができなくなり、国産材への注目が高まっています。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、物流も滞っていることから、木材流通に影響が出る「ウッドショック」などもあり、ますます木材への注目が集まっています。

 私が森林に関わるようになったのは、30年ほど前から。荒廃林の復活などでNPO活動に参加し、森林環境教育などで子ども達とも関わり、その後議員になってからは、林業再生のために、川下と呼ばれる木材利用に関心を持ち、国内外の木材活用について現地調査などで情報を集め、林業が経済的な後ろ盾を受けて再生しながら、山を守り、森を守る。そして温暖化対策という多きな目標に向かう今の立場に到達しています。これから森林を守るために、様々な角度から関わっていきたいと思います。
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