鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

実りの秋 鳥獣被害に悩む季節

2021年09月10日 | 議会活動
令和3年9月10日(金)

 実りの秋はこれまで丹精込めて栽培した多くの農作物を収穫する時期でもあります。厳密に結えば、冬以外はそれぞれの季節にあった農作物が収穫できる農業が行われているため、最近は秋に集中したものではありません。しかしこの収穫を喜ぶのは人間ばかりでなく、農業現場にとって大きな問題の一つが鳥獣被害です。

 静岡県における野生鳥獣による農作物への被害は、近年、増加傾向にあり、中山間地域を中心に被害が深刻化しています。被害が深刻化している地域では、農業者の営農意欲が低下し、地域振興を妨げる要因にもなっています。私自身も農家ではありませんが鳥獣被害(サル)に悩まされている一人です。

 県の資料によると、令和元年度の野生鳥獣による農作物の被害額は約2億9500万円であり、昨年度に比べ約1千4百万円減少し、ピークであった平成21年度の約55%となっています。鳥獣被害に対する何らかの対策を講じてきた結果と言いたいのでしょうが、私自身はその実感がありません。

 令和元年度における鳥獣種別の被害額は、イノシシ、ニホンジカが多く、全体の約7割を占めています。イノシシ及びニホンジカによる被害額は、昨年度に比べて微増しましたが、近年はほぼ横ばいで推移しています。

 県は鳥獣被害の現状を調査するために、農作物に対する鳥獣被害の発生状況を地図に図示化し、被害対策の更なる充実を図ることを目的に、平成30年度から集落ごとの鳥獣被害の状況を把握するためのアンケート調査を実施しています。平成30年度は県内3市町をモデル地区として実施し、令和元年度は全県域を対象に実施しました。調査項目は、目撃の有無、農作物被害が初めて確認された年代、農業被害の程度、防護柵の設置状況と効果の有無、捕獲の実施状況と効果の有無などです。

 被害の拡大と深刻化の状況は、主要4獣種(イノシシ、ニホンジカ、ハクビシン、ニホンザル)による被害程度(全県)について分析しました。被害の大きい順に、イノシシ、シカ、ハクビシン、サルとなっています。被害発生時期は、シカは春が多く、その他は夏から秋にかけて被害が多く発生しています。

 行政が積極的に支援する対策では、防護柵(電気柵を含む)の設置の他、捕獲(ワナ、猟友会による駆除)などがあり、被害が大きいイノシシやシカへの対策は、防護柵と捕獲が主となっています。防護策の効果はイノシシやシカは大きく、サルには効果があまり無いようです。捕獲についてもサルは効果がありません。
 ただ、シカの管理捕獲やイノシシの駆除は積極的に取り組んでいるものの、サルについて人家などに出没し被害を与える場合の対策はよく聞きますが、農地では積極的な対策はあまり感じられません。人間に近い姿や知能など、他の動物と異なる特性が、対策に苦慮しているようにも思えます。

 JAなどによると、これまでは防護柵、捕獲などの物理的排除が中心でしたが、併せて鳥獣を寄せ付けない作目の導入や耕作放棄地の発生を防ぐなど、集落環境の整備の必要性について検討していくことが必要とされています。

 せっかく育てた農作物が鳥獣被害に遭い、農業者がやる気を失うことは、にわか農家の私にも理解できます。県は地域ごとの実態調査を行い、鳥獣種にあった対策を講じることを考えていますが、JAの意見にあるように、さらに一歩踏み込んで早急な対策を講じていくことを求めたいと思います。
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