常識について思うこと

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負担から投資への発想

2009年08月02日 | 社会

アクアラインが800円に値下げされたということで、パーキングエリアが混雑する等、ひとまずの効果があったようです。ただ、値下げをすることだけで効果があると考えるのは、極めて一時的な現象に過ぎないと考えたほうがいいと思うのです(「値下げ以上の知恵」参照)。

-800円になったので来た。千葉に着いてからどこに行くか考える-

こんなコメントをされる方がいらっしゃるようですが、現状では、そういう方々が非常に多いのではないかと思います。

この値下げについては、2011年3月までの期間限定で、国と千葉県が年間10億円ずつ負担するということらしいです。ただでさえ、財政が逼迫している中で、こうした社会実験にお金を注ぎ込めるというのは、大変素晴らしいことではあります。しかし、それは本質的な問題の所在が見えていない人々がすることではないかと思えてなりません。

それだけのお金があるならば、それを単なる社会実験への負担ではなく、高速道路の利用増大にも繋がる投資に回せるような使い方をした方が、良いのではないかと思うのです。アクアラインの先には、あれだけ広大な土地があり、空の玄関・成田空港も近く、日本の観光産業を大いに栄えさせるだけのネタがたくさんあるのです(「日本に眠る宝物」参照)。それにも関わらず、それらを眠らせたまま、こうした社会実験を進めてしまう今の行政責任者の方々には、少々、残念な気持ちになってしまいます。

余談ですが、お台場のガンダムに関するニュースとして、「ガンダム像の肩の高さで記念撮影できる権利が260万1,000円で落札」というものがありました。このことをもって、特段、誰を責めるというわけではないですが、単純に何かが歪んでいると思うのです。それは、日本のコンテンツをもっとリーズナブルなかたちで、きちんと多くの人々に楽しんでもらうための仕組みや施設が、決定的に欠けていると思わざるを得ないということです。ひとまず、落札された方には、「260万円はかかったけれども、良かったですね」と声をかけるほかありません。しかし、「そんな金なんかないけど、俺もそうしたい!」と願っている人々が、見えないところには、たくさんいるでしょうし、そういう人々に対して何をするべきかという点も重要でしょう。

一案として、アクアラインの先にディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンのように、日本のコンテンツを堪能できる広大な施設ができたら(日本のコンテンツの質や量を考えたら、到底、これまでのレジャー施設の次元では収まらない、非常に広大なものになるでしょう)、いろいろなものが大きく変わってくるだろうと思います。コンテンツを愛する人々がそれらを十分に楽しめるようになり、コンテンツを作る人々の生活が豊かなり、日本の観光産業も栄え、海外からの評価も上がり・・・もちろん、アクアラインの利用も増大することでしょう。アクアラインには、そうした産業隆盛のヒントがあると思うのです。

もちろん、こうした社会実験に意味がないと決め付けるつもりはありません。もし、この社会実験が終わった後に、そもそもアクアラインは何をしなければならないのか、日本の産業全体においてどのような役割を果たすべきなのか、それをどのように進めていかなければならないのかといったことについて、行政を預かる方々が気付けるようになったとしたら、それはそれで、この実験には大いに価値があったということになるでしょう。

そして、私としては、せめてそれくらいの期待はしたいと思います。また、そう考えることによって、この社会実験への経済的負担が、そうした「気付き」のための投資であると考えることができるようになると思うのです。

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