バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

高危険群には内視鏡を。

2009年03月23日 | 胃X線と内視鏡の比較

胃がんの早期発見には、おもに二つの検査手技があります。
ひとつは胃透視であり、もうひとつは内視鏡検査です。
これらの検査には長所短所があります。

しかしながら、胃がん検診は早期胃がんの発見が目標です。
胃がん検診を行ううえで、胃透視は多大な成績をおさめ、胃がん死亡率減少効果を相当に評価できる!!と言われてます。
胃内視鏡は現段階では、死亡率減少効果を示す根拠が乏しいため、現在のところでは検診では有効性が認められていません。
しかし、実際の現場では内視鏡検査のほうが早期胃がんを数多く発見しています。
検査法の観点から発見しやすいのは当然かもしれません。直接、胃の粘膜を観察できるわけですから。
胃透視は文字通り、透視です。バリウムを胃粘膜にバリウムを付着させて、いわゆる影絵として胃がんを描出していきます。この手法は撮影者の力量で精度が決まるといっても過言ではありません。一流のプロが撮影すれば、胃透視でも相当数の早期胃がんを発見できます。これは事実です。
しかし、精度の観点や的確な読影力を全国的に考えたとき、胃透視は残念ながら潮時かなと思ってなりません。正直なところ内視鏡検査を全受診者に施行できるシステムを構築させてあげることが、受診者のためだと思ってやみません。
胃透視は素晴らしい検査法であるが、術者の差や、診断する者の差が激しい。

現在、学会では胃がんにかかりやすい人かどうかをあらかじめ、血液検査で調べあげ、その可能性の高い人には内視鏡検査を勧める動きが出てきています。
今後、受診者の観点から考えて、こういった流れが浸透していくことを願ってやみません。


院内や県内の早期胃がん発見率に寄与するように今後も指導などに力を入れていこうと思いますが、私的にやや疲れが見え始めてきた感もあります。

現状の胃検診ではいまだに胃透視がスタンダードですが、内視鏡のさらなる普及の希望を願います。この葛藤が疲れを生んでいるのかもしれませんね。

個人的には、内視鏡検査に決して劣らないほどの胃がん発見率や早期胃がん発見率をたたき出しましたが、胃透視の現状には落胆と失望しました。
ここまで私は早期胃がん発見率に大きく貢献してきましたが、これからの方向性をしっかり見据えていきたいと思います。

終わりになりますが、胃透視従事者の多くが、内視鏡には負けません!!という熱意のある人となってくれることを願ってやみません。