バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

胃X線における病変発見のタイミング 

2010年11月11日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて、唐突ではありますが・・・。私は最近疑問に思っていることがあります。



検診で行う胃透視は、早期胃癌をはじめとする救命可能な胃がんの発見を目的としていますが、いざ、勉強しようとしたとき、どうして胃がん発見時の透視像もしくはその動画が教科書として私の周りにないのでしょうか??

よく書籍や学会など、症例検討に参加すると決まって
「胃透視は透視観察が重要である、透視観察をすることでより早期の胃がんを多く発見できる。」と言った話しを聞きます。



「じゃあ、実際に早期胃癌を見つけた時のルーチン中における透視を見せてよ!!。」
と、思います。


幸い、当施設では透視像を録画する機能が搭載されています。
したがって、自分が発見したときの、検診ルーチンにおける早期胃癌の発見ポイントが録画できればうれしいですね。


新人教育に役立つ。また自分の透視観察に対する反省。
さらには、実際に早期胃癌を発見した透視観察を、他の施設などにもみてもらえるような
システム作りが大切と感じます。


夢は、仮称「胃集検における早期胃癌発見の透視像、20例」


胃透視の撮影件数は、年に4000例。胃がん発見率は0.40%。これからもなんとか世に貢献したい。そう思う自分です。
これからも皆さまご指導くださいませ。私の周りのこのよき環境が、本結果に繋がっているのだと実感しております。


これからもよろしくお願い致します。

透視でみるべきところ 胃X線

2010年09月20日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。
お久しぶりです、皆さまいかがお過ごしでしょうか??



さて、今日は透視観察について簡単に書きます。


先日、他の技師が撮影した画像を見て、私がチェックをかけた所見があったのですが、
追加撮影がなされていませんでした。私は、基準撮影のみで画像からチェックしました。
基準撮影のみなので、良悪の鑑別は厳しいのですが、チェックさせていただきました。

透視動画が残されていた症例であったため、透視の動画を見てみたのですが、確実にうまく流されていたところがありませんでした。残念です…。



さて、ここで…。本記事のポイントです。

なぜ、撮影している技師は検査中に異常を指摘できなかったのか。追加撮影し、読影医により有益な画像を提供できなかったのか…。

それは…。見るべきところを理解して透視をみているかどうか、すなわちただ漠然と透視を出しているかどうか、その辺のところをよく考えながら透視観察しないといけないというところです。

次回の勉強会では、透視観察のみるべきポイントを議論していきたいと思います。
今見たところはどの部位なのか、そして検査しながらまだ透視で見ていない部分はどこなのか。そこらを認識しながら撮影することが求められると思うのです。



発見の観点から 本日出会った症例 (2)

2009年11月12日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。

今日は朝からCTの業務でした。
しかし、CT業務の合間をぬって、胃透視を手伝いました。

今日の胃透視で出会った症例の話しをします。


検査終了間際、撮影画像を確認したところ、病変がありそうなのに気付き、なんとか追加撮影を行いました。危うく見落とすところでした。
胃内に残っている気泡かと思いましたが、粘膜面が周囲の胃粘膜とパターンが違っているように見えましたので、そこへバリウムを流してみました。

病変部位は胃角部後壁やや大彎寄りに存在していました。

顆粒状の陰影は1つ見受けられ、その周囲はわずかにバリウム斑が認められているようにも見えました。


追加撮影では、バリウムを病変部に溜めたり流したりしましたが、今日出会った症例は、明らかなたまりやはじき像には欠けました。
相当浅かったり丈が低かったりした病変だったのでしょうか。


本日の教訓なのですが、本症例では、二重造影法の第1法のルーチン画像を見て、発見することができました。透視観察には欠ける病変も存在するのでしょうか。
きちんとルーチンも基本通りに撮る。目的とする撮影部位にしっかりバリウムを塗りつけて撮影する。当たり前のことなのですが、やはり基本が強いと実感しました。
下は別の症例ですが、同じようにルーチン画像から読み取って、追加撮影に繋げることのできたパターンです。

「早期胃がんの発見、デジタル編」はこちら↓↓↓(2008年11月29日掲載済み)
http://blog.goo.ne.jp/sukikupi/e/40537974dc3c8ca9dd83f5cefa5d4d98


そしてもう一点。
撮影した画像を瞬時に見ることができるのはやはり強みです。今日撮影に用いた機械は間接変換方式のFPDでした。

そして最後にもう一点。
やはり凹凸変化の乏しい、マクロ的に発育して間もない胃がんなどを発見するためには、それだけ撮影画像を解析できる人でなければなりません。ある意味、執念を必要とします。


今日、出会った症例。昨日もそうですが、症例は何かを教えてくれます。


発見の観点から 本日出会った症例 

2009年11月11日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。

今日も、胃透視をしました。

今日は、一日の検査後半で、悪性ずらしている所見に出くわしました。
どこでその病変に気付いたかを、ここでは書くことにします。
本日撮影した機械はDR、遠隔操作で、出張検診車での検査でした。



まず、検査初めに行うローリングでは気付きませんでした。

次に背臥位第1斜位を撮影した時点でも気付けませんでした。

背臥位の胃角の正面撮影、ポジショニング時の透視で、後壁に透亮像らしきものを確認しましが、このときは発泡剤の残りカスか残渣かと思いました。とりあえず撮影をし、モニターに現れた画像を見ました。
すると、確かに体下部後壁あたりに、その透亮像がいくつかあるように見えました。これがはたして何なのか、仮にバリウムを流して、その所見が動くのであれば、発泡剤の残りカスか残渣と判断することができるので、とりあえず目的部位にバリウムを流すことにしました。

寝台を半立位とし、腸へのバリウム流出を避けつつ、左右交互変換を用いて、後壁を中心にバリウムを流しました。相手が鉤状胃だったので、なんとか腸へバリウムを流出させることなく、透亮像が見える部位にバリウムを流したり溜めたりできました。

バリウムを流したところ、透亮像が動かないので、これは胃に存在する病変と思いました。

病変部位は体下部後壁に存在していました。

追加撮影は、検査序盤で、二重造影法の1、2法(空気多量)を撮影し、腹臥位を撮影したあと、空気量が適度にぬけてきたところで、また1、2法(空気中等量をねらった)。そして検査終了間際、立位にしたときに、立位圧迫を行いました。

最後の立位圧迫は、病変の凹凸変化をみるために、圧迫を何枚か撮影しました。
強弱をつけた圧迫も撮影すればよかったのですが、時間的なところから透亮像がわずかにみえる程度の、軽度の圧迫撮影だけに留めました。


今回の症例では、バリウムを流している時の流動観察で気付くのではなく、
撮影された画像を見て、気付くことができました。
追加撮影中、病変部にバリウムを流したりしても、明らかなバリウムのはじきとして認識できませんでした。隆起部分はあまり丈が高くなかったのでしょうか。
圧迫撮影時での透視でも、強く胃を押したときには、容易にその透亮像が消える印象でした。

追加撮影時での透視観察では、明らかなバリウムのたまりは認識できませんでしたが、撮影画像をみると周りの粘膜より厚くバリウムがかぶっているようでした。
そのバリウム斑も、あまりはっきりとは現れませんでした。


さて、今日は長々と話しましたが、まとめです。

今日の症例はきれいに撮影した画像から追加撮影と移ることができました。透視観察では発見が難しかったように思います。

検診ルーチンで行う胃透視は、撮影中に病変に気付き、その病変に対して追加撮影をし、異常なら異常であるとわかる写真を撮影することが求められます。

追加撮影された画像をみて、良性悪性の鑑別が可能な写真を撮影できれば、後でその所見を読む医者はスムーズに診断することができます。

ある程度正確な診断が、この時点でできれば、後の紹介もスムーズにできます。
検診で行われたときの診断が正確であればあるほど、紹介先やその患者への恩恵が得られ、信頼にも繋がります。

検診現場は時間的制約もあり、決して満足のいく撮影ができないときもありますが、できるかぎり所見の読みやすい撮影を心がけていきたいものです。


ルーチン 空気量多めの意味

2009年11月10日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。

今日は、胃透視ルーチン撮影での空気量についてお話します。


胃透視、現在のルーチン撮影法は、空気多量で撮影します。
これは、多量で撮影することで大彎側に存在する病変を見落とさないようにするためです。空気が少なくなってくると大彎側のヒダは著名に目立つようになり、ヒダ間にその病変があっても、ヒダ間に埋もれてしまう恐れがあります。

また空気量を多量にし、胃をしっかり膨らませることで、胃全体の膨らみを見ます。これは、例えばスキルス胃がんとの鑑別などに威力を発揮します。

さらには、胃の外に存在する臓器からの圧迫を受けることで、胃がへこんで見えることもありますが、これも胃をしっかり膨らませたほうが、胃そのもののへこみと区別しやすいのです。


胃透視ルーチン検査は、病変発見が目的です。少しでも多くの病変を指摘するためにも、空気量は多量が望ましいのです。


ゲップを我慢することは、以下に大切であるかがよくわかりますね。


他にも空気量多量の長所は、いくつかあると思います。

もし、他にも思いつくことがあれば、どしどしご連絡ください。
あるいは、上記の考えに誤りがあれば、その場合もご連絡くだされば幸いです。



ときにはゲップを、利用する

2009年10月28日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。
今日は、皆さん、いかがお過ごしでしたか??
私は今日も胃透視でした。

今日は、胃体中部前壁に存在する隆起性病変の追加撮影に苦労しました。
出会った症例は、隆起性病変の丈が低い、正面で撮ろうとしたら、椎体と重なるなど。存在診断すら危うい状態でした。
しかし、ひととおりのルーチンを撮影後、ゲップが出ていたので、それを逆に利用しました。
再度、腹臥位の撮影を試みました。

胃粘膜があまり引き延ばされていない状態で撮影できたため、容易に存在診断可能な二重造影の1法、2法を撮影することができました。
病変自体は柔らかいのか、空気中等量のほうが容易にチェックできました。
隆起性病変の範囲を読み取ることができました。
このように空気量を変えた追加撮影は、ときに存在診断でも役に立つと思いました。


初心者と熟練者の透視比較

2009年08月04日 | 早期胃がん発見 Point
http://www.satukou.com/magen_av1.html

こんばんは。今日は、胃透視の技術向上のためのより良い方法を話します。


初心者の透視と、勉強してきた者の透視では、おのずと違いが生じてきます。

視ているようでみていない、私も指摘されたりしますが、勉強になります。


次回の研究会では、初心者の胃透視と熟練者の胃透視の違いを、動画を用いて話すのも面白いかもしれません。
比較しながら紹介すると理解しやすいかもしれませんね。

シェーマを描こう 早期胃がんに慣れる

2009年07月24日 | 早期胃がん発見 Point
胃がん取扱い規約上、粘膜下層までに留まる胃がんを早期胃がんと定義しています。

早期胃がんは五年生存率が90%以上と、非常に予後良好です。

早期胃がんを少しでも多く発見していくためには、早期胃がんの形態を熟知し、見慣れておくことが重要です。

受診者年齢の差はあれど、胃集団検診の胃がん発見率は約0.05~0.40%くらいです。200~300人を撮影してようやく胃がん1例に出会うか出会わないかです。常日頃から、早期胃がんの写真を数多く見ておくことが必要になってきます。


出会う機会が少ないのですから、日常見慣れておかなければなりません。
慣れる特訓として、早期胃がんの写っている写真をスケッチすることをお勧めします。

下の写真は、読影を詳細に行うシェーマにしては物足りない絵ではありますが、発見の観点からすれば上出来でしょう。

シェーマを書くことによって、バリウムがはじいているか、あるいは溜まっている。つまり、出っ張っているのか、へっ込んでいるのかを認識する特訓には、もってこいです。
たくさんシェーマを書くことによって、良性腫瘍なのか悪性腫瘍なのか、判別するトレーニングにもなります。

下の写真は、2年前くらいに書いたものですが、懐かしかったのでアップしました。
胃透視初心者の方は、ぜひ絵を描いてみてください。
きっと勉強になりますよ。




もともと私は小さいころから、絵を描くのが好きです。
そして今は胃透視も好きです。
私にはうまく合致したトレーニングですね。

透視動画は旬??

2009年07月07日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。
先日の勉強会の感想を聞いた今日この頃です。

透視録画を用いての解説はわかりやすかったと好評でした。


透視動画と合わせて、受診者に説明しているセリフがあれば、なお良いかもとアドバイスされたりもしました。
どう言った掛け声をして、その体位を作ったのかなどをわかりやすく知りたいのでしょう。


透視録画が旬のようです。ただ透視録画をただ流すのではなく、これからもきちんと目的を持って透視録画を公表したいものです。



今日はこの辺で失礼しますね。

はじく。溜まる。

2009年07月06日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。
先日の研究会、お疲れ様でした。

私は透視動画を用いて、透視のルーチンと症例を交えての病変発見ポイントを話しました。

胃透視を習ってから常々思っていたこと。
それは、教科書ではここを見る。ここにバリウムを流す。
透視を良く見よう!!と書かれていますが、具体的にどういう所見を見ればよいのかがあまり書かれていませんでした。

透視をみていて、隆起はバリウムがはじく。陥凹にはバリウムが余分に溜まる。溜まったあとも周りと比べてバリウムが残りやすい。
こういったことをもっと浸透させていくことが、早期発見に繋がるような気がします。

普段からはじきと溜まりを意識して透視している人はごく一部ではないでしょうか。
少なくとも私の周りには、そのような人が多い

くれぐれもポジショニングだけの透視にならないようにしましょうね。



病変の範囲

2009年04月07日 | 早期胃がん発見 Point
先日の勉強会では、がんの範囲が問題となりました。

病変部位の同定は大切です。
そして場所を認識したあとは、その病変の範囲を知る必要があります。
特に悪性腫瘍の場合は、正常と異常の範囲をしっかり見ていかなければなりません。

病変を詳しく分析していくためには、基準撮影のみではなく、病変への追加撮影が有効となります。

病変全体の模様を描出可能な二重造影法の第1法。

病変の凹凸を描出できる二重造影法の第2法。

そして病変の深さ、あるいは立ち上がりを見ることのできる、病変に対しての側面像。
そして最後には、病変の固さをみることのできる圧迫撮影法。

以上4点の撮影。追加撮影の観点から、おさらいをしてみました。


左右交互変換を駆使しよう

2009年04月02日 | 早期胃がん発見 Point

今日は今日広く採用されている右回り回転法ではなく、左右交互変換法について話してきたいと思います。


現在の胃・X線撮影ガイドラインでは右回りの回転法が重要視されていますが、こと後壁メインの透視観察は左右交互変換が威力を発揮します。
身体の動きが激しい回転法だと、バリウムの流れがおおまかにしか認識することができません。
つまりよっぽど大きな病変でないと発見できないのではないのかと思います。

左右交互変換の弱点は、バリウムを腸へ流出させてしまいやすいことです。寝台を若干立てて交互変換してもよいのですが、
そのときは体部後壁小彎寄りの付着不良に注意しなければいけません。
しかし前述したように、後壁病変の透視観察は左右の交互変換のほうが、よく見えます。

腸への流出が気になるのであれば、下部撮影終了後、上部撮影中に移行しているさいの交互変換を透視観察すれば良いと思います。
実際に私はその段階で初めて、後壁病変の胃がんを発見したりします。

ここでの重要なことは、バリウムの流れをしっかり意識しながら撮影にあたることだと思います。

昨日よりも今日、今日よりも明日。毎日何か一つ身につけようと思う姿勢で消化管撮影も望んでいます。
ただ、レベルアップを実感できる瞬間が好きなだけです。


0-Ⅱc型を見慣れる

2009年03月29日 | 早期胃がん発見 Point

おはようございます。
最近、多くの方からのコメントをいただき嬉しく思っています。

さて春から新人くんが新たに加わります。消化管撮影の勉強も頑張ってもらいたいと願っています。あまり煙たがれない程度に指導していきたいと思っています。

早期胃がんの発見したときのやりがい感や、充実感は素晴らしいものです。
何としても自分の力で、発見したい!!この気持ちが成長を各段に促すものであると信じています。

今、現在でも参考にさせていただいているHPを紹介します。

※これを見つければ良いのかぁ。なるほどこの部位にがんがあるときは、この撮影体位が理想かぁ。これなら自分でも見つけれるな。とか思いながら眺めていたものです。
     ↓
http://www.ossk.ne.jp/


胃がん 説得力

2009年03月22日 | 早期胃がん発見 Point

(注)内容と写真は同一症例ではありません。

撮影中に病変を発見するのが第1なのですが、病変を発見したさいには、その病変部位に対して追加撮影を行わなければなりません。
しかしながら追加撮影をどのように行わないといけないのかがわかっていないと、的確な読影のしやすい写真を追加することができません。

先日、とある症例。
結果が胃がんでしたが、前年でも病変部は写っていました。
追加撮影を行ってはいましたが、説得力に欠けたのか、正常のように見えてしまったためか、その年度では否精密となっていました。
病変があるのかないのか、よくわからないままの追加撮影だと、写し出された写真も自信のない画像となりうるのかもしれません。
今後の勉強会では、追加撮影のある程度のルーチン化が必要でしょう。

ただなんとなく、気になったから追加撮影してみた。
まずは気になると思うことが大切ですが、もう一歩踏み込んだ撮影技術を体得できる場を設けなければと思う私です。

次年度、あらたな目標ができましたね。


胃角部前壁小彎寄り

2009年03月08日 | 早期胃がん発見 Point

先日、胃の研究会に参加してきました。
最近、研究会の数が多いので、体力的に消耗しつつも、勉強になることばかりです。
撮影技術向上のためには、研究会への参加が必要です。
来月も開催されるため、また勉強しにいこうと思います。

さて、今日は先日行われた研究会の内容を簡単にまとめてみました。

講演していただいた先生は、現状に満足せずつねに向上心を持ち続けることが重要である。NPOが提案した基準撮影はあくまで基礎であって、そこで慢心するのではなく、病変発見に努める撮影技術を体得するようにとおっしゃっていました。


私は胃角部前壁小彎寄りの病変発見について質問しました。
NPOで決められている前壁の撮影には腹臥位の正面と第2斜位像があります。
私が普段から行っているのは対策型検診(Population-based screening)である間接撮影8枚法であるため、腹臥位の第1斜位像をルーチンとして撮影していません。
しかしながら、小彎や胃角はがんの好発部位であり、腹臥位の第1斜位像は必要な撮影体位です。時間的制約やコストの関係から、受診者全員に対して、この撮影体位を追加するわけにもいきません。そこでどうすれば良いのかを聞いてみました。

先生からの回答は以下のようなものであり、私なりにまとめてみました。

①検査序盤で撮影する背臥位の撮影時、まずは胃角の正面(真接線)を基本通りに描出する。そのさいにわずかな胃角の辺縁や粘膜面の異常を透視下で確認する。

②ルーチン中、胃角の正面を表した状態で、寝台の角度をいろいろと調節しながら、起頭のみを利用し、胃角の状態を見る⇒もし異常があれば、辺縁ラインがイレギュラー化するかをみる。

③背臥位の第1斜位像、弱頭位の第2斜位像で胃角のアーチを確認する。もちろん基準通りに斜位像を撮影する。

④腹臥位の撮影時、枕を用いるのは大前提で、胃角を正面視して撮影する。そのさい、背臥位時と同様に、胃角のラインを読み取る。そして寝台を逆傾斜するときの透視観察はきちんと行う。

①から④をきちんと行えば、比較的高率に胃角部周辺の異常所見には気づけるとの回答でした。
後壁寄りにあるか前壁寄りなのかを撮影中に認識し、前壁寄りであるならば、腹臥位の第1斜位像の透視観察、および撮影に移行する。
この流れが良いとおっしゃっていました。


体験として、実際の撮影現場ではすでに、胃角部前壁小彎寄りの病変(浅い陥凹性)を捕らえてはいますが、もう一度再確認、そしてもっと良い方法はあるのかを疑問に思ったので質問してみました。