バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

がん早期発見

2009年03月03日 | 早期胃がん発見 Point

この土日、胃の研究会へ参加しました。
症例検討会は面白かったです。症例数は80分枠に対して4例でした。
前回お話したようにやはり、X線と内視鏡、そして切除標本の構築が大変勉強になりました。
個人情報との関係もあって、切除標本まで獲得するのが難しいのが現状ですが、真に胃X線の技術を身につけていくためにも、できるかぎりの資料集めはしたほうが良さそうです。
症例のほとんどは、胃X線の病変に対する追加撮影がありました。内視鏡や切除標本の情報もあったため、勉強になりました。
今回の検討会では検討する時間が少なく、一つ一つの写真に対する詳細な比較検討ができるときは、思い切って1例あたりの検討時間を1時間近くとったほうが良いのだと感じました。
切除標本をみながら、「本症例に対してのX線検査の撮影手技はうまくいっていたのか」・・・。撮影手技、ひとつひとつの検討が次回の技術向上に繋がっていくいくものだと感じました。


検診間隔の重要性

2009年02月08日 | 早期胃がん発見 Point
おはようございます。
ここ最近、残念ながらまた1例、進行胃がんが発見されました。
過去歴を調べたところ、1、2年前ではなく、それ以上に検診間隔が空いている方でした。
胃がんは、臨床上、胃の粘膜に顔を出してから2~3年くらいは、粘膜内または粘膜下層に留まっていることが多いようです。
したがって、肉眼的に発見できるこの段階で胃がんを見つけることが重要になってきます。
今後もこのブログを通して、胃がん早期発見の重要性ならびに有効性を説明していこうと思います。
少しでも多くの方のお役に立てればと思いながら、ブログを継続していこうと思います。
一人でも多くの人が胃がんで亡くなるのを阻止したい。
早期胃がんとの戦いに終わりはないのかもしれませんね。


病変の同定

2009年02月01日 | 早期胃がん発見 Point

先日、胃の勉強会に参加しました。
そこでは、ブログでも話題になった病変に対する位置の同定がテーマでした。
まず、病変の側面像を表した写真のみをみて、病変はどこに存在するかを当てるのです。
これがなかなか難しく、瞬時に正確に病変部位を言いあてることができませんでした。
撮影中、私は病変を忠実に表わした追加撮影を行うように努力はしていますが、うまく側面像を描出することができません。
今回の勉強会を通して学んだこと、それは病変の存在位置をあまり確認せず、追加撮影を行うと側面像がうまく撮れないということです。
撮影中、病変の存在に気づくことはもちろん大切です。しかし病変の存在を的確にアピールしていくためには、その病変に対する、有効な追加撮影をしなければなりません。わけのわからない追加撮影ほど、読影医を混乱させる写真はないでしょう。

補足)
これは以前にも掲載した症例ですが
前壁の病変なのかそれとも後壁の病変なのか、高濃度バリウム製剤の付着効果が良すぎるために、かえって病変の存在部位の同定が困難でした。
結果的には、前壁の存在するがんなのですが、位置の同定は難しいように思います。
撮影中では、動的に判断できるため、わかりやすいのですが、こと、他人が撮影した写真を評価するときは普通、静止した写真のみなので判断が難しいように思います。
しかし、やはりきちんと病的な部位の同定をきちんと行わないといけないといけないと思います。今回もよい勉強になりました。






逐年受診 進行がん

2009年01月26日 | 早期胃がん発見 Point


胃がん取扱い規約上、早期胃がんというのはリンパ節転移の有無に関係なく、胃の粘膜下層までに留まるものを言います。
逐年受診というのは、毎年欠かさず、定期検診を受けることを言います。

さて、胃がんは早期の段階で発見すれば、当然のことながらリンパ節への転移を起こしていることが少なく、助かる可能性が高いわけです。
そしてより早期で発見されれば、胃がんの種類によってはESDの適応にもなり得ます。

分化型の小胃がんは、早くから隆起成分を伴ったりするので、比較的容易に発見できると考えます。
一方、未分化型のがんで特に初期の浅い陥凹Ⅱcは、発生機序の観点から、発見が難しいように思います。

前年に胃透視を受診しているのにも関わらず、発見時には進行がんで見つかってしまう。
がんの種類や発生する箇所によっては、発見困難なこともありますが、できるだけなくしていかなければなりません。

前年度と発見時の写真を比較して、なぜ前年度で指摘が困難であったのかを検討しなければなりません。
撮ったら撮りっぱなしはいけません。


年度末は待ち時間が少ない

2009年01月25日 | 早期胃がん発見 Point

検診受診のピークは一般に、4~6月のようです。
それにひきかえ、年度末であるこの1~3月は、受診者数が少ないです。
受診者の少ないこの時期に検診を受けるメリットはいくつかあると思います。
①待ち時間が短い
②医療従事者にも時間にゆとりがあるため、余裕をもって診療を行える

胃透視は、胃内に入ったバリウムを操って病変の発見を行う手技であります。
単純に撮影時間に余裕が生まれるなら、バリウムを操っている時間も長くすることが可能なため、病変を発見できる可能性が高まるといってもよいような気がします。

特に集団検診の現場では、多人数の検診を余儀なくされるため、満足のいく医療を提供できていない懸念があります。

検診を受けられるなら、この時期に受けられることをお勧めします。




高濃度Ba、透視観察編(1-4)

2009年01月09日 | 早期胃がん発見 Point

高濃度バリウムで指摘できた、前壁下部に存在する病変の透視観察に触れます。
熟知している方にとっては当たり前の話だと思いますが、初心者の方には大切なことです。バリウムの流れを視る。体得しましょう。
下の写真をご覧ください。
透視台を水平から逆傾斜していくさいおよそ黄色い矢印にそって、バリウムは流れていくと思います。
透視観察で前壁下部の病変を発見するタイミングは、逆さまにするときです。逆にいえば検査中に、前壁下部の病変を指摘できないのは逆さまにするさいのバリウムの流れをみていない証拠といえます。
胃透視は動画的に動態的に、病変を発見していくものです。動的にバリウムのはじき見れば、早期胃がんも比較的容易に発見できます。
そしてもう一点、重要なことがあります。椎体との重なりは、病変の存在を危うくしてしまう恐れがあります。バリウムの付着が良いからと言って安心はできません。
参考症例を載せておきます。

①基準撮影
これは後壁寄り病変ですが、椎体との重なりには意識しておきましょう。


②追加撮影


二重造影法第1法だけに頼らず、第2法を駆使すべし!! 
ローリングだけに頼らず、ピッチングも行う。いわゆる左右交互変換も多様する。動態的に透視を行えば、早期胃がんもどんどん姿を表します。


内視鏡の魅力 がんの確定

2009年01月08日 | 早期胃がん発見 Point
胃透視に比べて、内視鏡が優れる点。いくつかありますが、やはり1番の長所は、生検が可能なところでしょう。
内視鏡時に採取した組織を顕微鏡でみる。確定診断には内視鏡検査が必須です。

胃透視は写真上では、良性悪性の判別はできても確定診断には至りません。

胃透視で異常を指摘されたら、速やかに内視鏡検査を受けていただきたいと思います。せっかく胃透視で異常を指摘されても、精密検査を受けなければ意味のない検査になっていしまいます。


幸い、うちの検診施設では精検受診率が9割近い数字となっています。
まじめに精密検査を受けていただいている方が多いため
その分、がん発見率が高くなっています。

定期的に検診を受ける。そして異常を指摘されたら精密検査を受ける。
コツコツとした検診受診の姿勢が、命を助けるのだと思います。



本当にがんは、なかったのか!!

2008年12月26日 | 早期胃がん発見 Point


突然ですが最近思うことがあります。それは……。
本日受けた人の中には、本当にがんがなかったのか!!ということです。
付着良好な二重造影法を駆使し、透視観察を併用し、いかなるがんをも発見する!!
これが自分のめざす道ではありますが、
なかなかがんを指摘できません。発見率にして0.30~0.40%に留まってしまっております。

とある格言に、
バリウムにがんが写ってはいない。しかし、そこにはがんがあった!!
というものがあります。
バリウム付着は生命線です。


本当にがんは存在しなかったのか。

各部位ごとの最適撮影体位をイメージしつつ、検査を行っておりますが、最近なかなか発見能力が上がりません。

もしかしたらルーチン検査の限界に近づいてきているのでしょうか。胃粘液の存在したままの、そして発泡剤投与でのルーチンでは、指摘困難なのか。


集団検診 あくまでめざすは内視鏡レベル

2008年12月18日 | 早期胃がん発見 Point


最近、自分の撮影した写真にがんがありません。
今年はトータルで10例くらい早期胃がんを発見していると思いますが、昨年のペースには届かない気がします。今年のがん発見率は0.30%くらいでしょうか。


検診で、より小さな早期胃がんを発見するためには、本年で発見された写真だけではなく、前年以前の撮影画像を検討することが、レベルアップに繋がると思います。なぜ、前年で胃がんと診断できなかったのかを考えることが大切です。
前年以前は、がんが小さ過ぎて見えなかったのか・・・。それとも写し出されてはいたが、指摘は困難であったとか・・・。検討すれば、いくらでも勉強になると思います。
前年以前の撮影画像を検討することは、非常に勉強になります。
他人が撮影された写真の胃がん症例をみたとき、この部位に存在する胃がんはどのタイミングで発見できるのかをつねに考えていくわけです。
あたかも自分ががんを見つけたかのように、イメージしていくのです。


一般の症例検討会では、X線、内視鏡、病理組織像などを比較検討していきます。
残念ながら、私はそのような検討会には興味を持たないようです。
もしかしたら、これ以上の読影知識を身に着けないような気がしてなりません。

一日50人以上を撮影する、検診施設で業務を行っている施設に所属しているため、そのような気持ちになるのでしょうか。
精密X線写真にはあまり興味を持たない自分がいます。
実際の現場では、特に高齢者相手には、精密X線写真のような画像を描出することはできません。
私は環境的に厳しいルーチン画像で、小さな胃がんを発見することに興味を持っております。
明日も出張先で40人以上撮影する予定です。明日も一人あたり約4分半で撮影します。

いかに短時間で、しかし高度な透視技術で小さな胃がんを発見する!!!
それは内視鏡にも匹敵する。それが私の胃がん検診に対する気持ちであります。








最近、早期がんが多い

2008年12月16日 | 早期胃がん発見 Point
最近はあまり、胃がんの症例に出くわしません。出会っても月に1回程度です。
発見時が早期がんばかりになってきました。
施設全体でみても早期がんばかりです。

定期的受診の方ばかりなので、発見されても早期が多いのでしょう。

大変良い傾向であります。今後も続けば良いですね。

定期的に受けていない方が近くにおられたら、誘ってあげてくださいね。



あなたの大切な命

2008年12月13日 | 早期胃がん発見 Point
今日は記事にあった内容を書きます。

男性の2人に1人。女性の3人に1人ががんになる時代であります。

現在、日本では胃がんの5割以上が完治しているようです。

早期胃がんの段階で手術すれば、実に93%が完治しているそうです。
中期の胃がんでは50~70%程度。
さらに進行し、周囲のリンパ節転移があった場合には、30~40%程度の完治率だそうです。

これからわかることは、がんが浸潤していくにつれて、治る確率が減っていくことです。

早期胃がんの状態で発見できた場合は93%の完治率!!!

これはすごいことだと思います。
早期胃がんの段階では、一般に自覚症状が少ないです。

検診を受けることの重要性が理解できると思います。
年間、胃がんで亡くなる方は約5万人と言われたりします。

国民がみな。定期的に検診を受ければ、胃がんで命を落とす人は必ず減るでしょう。



バリウム検査の魅力

2008年12月12日 | 早期胃がん発見 Point
今日は胃透視検査の長所をみていきたいと思いますが、その前に胃透視の目的にはおもに二通りあることを説明します。

胃透視には
①スクリーニングといって、多くの受診者を簡便に短時間で、そして高い精度で持って異常の判別を行うパターン
②内視鏡でがんと確定診断された人に対して、がんの形態や、がんの深さ、範囲を詳細に検討する手術前の検査
の二通りがあります。

一般に、①は検診と呼ばれています。
②は精密検査と呼ばれています。

ここでは私が普段、従事している①の検診での長所について触れます。

胃透視、検診での長所は短い検査時間で、正常異常の判別や良性悪性の判断をも可能とすることです。
仮に、日本の成人した全人口に対して、胃の検査を施行しようとした場合、内視鏡検査単独では到底、数をこなせないでしょう。
もし仮に内視鏡検査を集団検診で行っている検査時間に匹敵する早さで施行したら、たちまち内視鏡検査の精度は低下してしまう恐れが考えられます。
そしてもう一点。胃透視が今もなお多くの検診施設で行われている理由は、胃透視は医師だけでなく放射線技師も撮影可能であり、人材確保がしやすい点。医療費人件費のコストが低い点が挙げられると思います。

ずらずらと胃透視の良さを挙げていきましたが、内視鏡検査の長所を最大限に生かすためにも、スクリーニング検査では胃透視の持つ特性を最大限、引き出すことが大切だと考えます。

胃透視の従事する放射線技師のみなさま、これからもともに切磋琢磨しながら、力を伸ばしていこうではありませんか。

早期胃がん症例集、特に陥凹型

2008年10月27日 | 早期胃がん発見 Point
2cがわかる80例早期胃癌診断のエッセンス

医学書院

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ついに「Ⅱcがわかる80例」を購入しました。
この本はとにかくすごいです。

術前のバリウムの写真が主なのですが、とにかく写真がきれいです。
私たちのような集団検診に従事している人間も大いに勉強になる書籍だと感じます。

実際に自分がルーチンで撮影する時、この症例があると仮定した時、発見タイミングはどういうときか!?
またどういうバリウムのはじきやたまりとなって現れるだろうか!?
と自分に置き換えながら症例をみていくわけです。
こうすることで日々の発見能力が磨かれていくものと思います。


掲載されている写真は術前のX線写真だけではありません。内視鏡写真や手術標本もあるので、一つ一つの症例をじっくりと対比することができます。
それを80例も一冊の本でできるので大変すごいことだと思います。



もう一点、この書籍の魅力について!!

実際には掲載されている胃レントゲン写真は80例を超えています。
ところどころに参考写真いわゆる類似症例を載せてあるため、トータルでは100例以上なのではないでしょうか。


早期胃がん特に陥凹型である0-Ⅱcの写真をみたいという人はお勧めの書籍です。

症例写真を見るのが好きな人は絶対にお勧めです!!

胃透視に役立つホームページ

2008年10月05日 | 早期胃がん発見 Point
バリウムを用いた胃の症例検討で大変ためになるホームページを、今日はいくつか紹介します。

ご存じの方も多いと思いますが、馬場塾や大阪消化管撮影研究会は、非常に胃透視に関して力を入れている団体であります。

私は、ホームページの会員に入っているので、パソコン上で症例をみて勉強させていただいております。

消化管撮影に興味のある方で、ご存じなかった方はぜひとも一度、見てみてください。非常に勉強になりますよ。正会員にならないと症例を見ることはできませんが・・・。お金を出す価値は大ありですよ。
下からでも、見ることができます。よかったらクリックしてみてください。↓↓


馬場塾↓↓
http://www.babajuku.com/

大阪消化管撮影研究会↓↓
http://www.ossk.ne.jp/



将来の夢!大変な労力を必要とすると思われますが、こういった勉強会を近場で作り上げたいですね~

胃癌の自然史 を見てみよう。

2008年10月02日 | 早期胃がん発見 Point



胃癌の自然史を知る目的としては以下が考えられるようです。



○胃癌の自然史を知る目的

  臨床的視点から胃癌の自然史を知る目的として

〔1〕 微小な早期癌の発見効率を高める

〔2〕 発育速度の速い、悪性度の高い癌の特徴を知る

〔3〕 胃癌の発育速度から、検診の検査間隔を設定する

〔4〕 胃癌のうち穏やかな発育をするものを内視鏡的粘膜切除術の適応に設定する


次に早期胃がんの経過を観察した場合の結果は以下のとおりのようです。



○ 早期胃癌の経過観察

 内視鏡生検で早期がんと診断され、6ヶ月以上追跡された71例を対象とした観察。56例を長期間追跡。
経過中、20例は早期胃癌のままであったが、36例は進行癌へと進展した。
早期癌から進行癌への進展に要する時間は44ヶ月であり、5年間の観察期間中進行癌へ移行する累積確立は63%と見積もられた。
また、手術がされなかった38例の5年間の累積死亡率は37%と見積もられた。
この結果、早期胃癌は放置されると死に至る疾患であるが、その発育経過にはばらつきがあり、比較的穏やかであると考えられた。



次に胃がんの進展について・・・。


○胃癌の進展様式

 胃癌を肉眼像、進達度、組織型等の特徴で分類して観察した研究から、

〔1〕胃癌の発育速度を左右する最大の要因はsmに浸潤するか否かである

〔2〕組織異型度の低い隆起型腫瘍の中に、除じょに水平方向へ増大し異型度が明瞭な癌になる病変が存在する

〔3〕未分化型癌は分化形癌に比べて垂直、水平方向への進展が早く、リンパ節転移を起こしやすい

〔4〕隆起形は、潰瘍非合併陥凹型に比べて発育が遅くリンパ節転移を起こしにくい

などといったことが提唱されている。

長期間の観察で早期癌に留まっていたものは、すべてm癌であり粘膜筋板がbarrierの役割を果たすことが推測されている。



最近、検診間隔が2年空いている人で、進行胃がんとなってしまっている人の写真を多く見ます。


毎年、定期的に受診していただきたいです。




今回は
http://www.happycampus.co.jp/docs/983432282701@hc05/1243/

から、引用しました。