バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

発見の観点から 本日出会った症例 

2009年11月11日 | 早期胃がん発見 Point
こんばんは。

今日も、胃透視をしました。

今日は、一日の検査後半で、悪性ずらしている所見に出くわしました。
どこでその病変に気付いたかを、ここでは書くことにします。
本日撮影した機械はDR、遠隔操作で、出張検診車での検査でした。



まず、検査初めに行うローリングでは気付きませんでした。

次に背臥位第1斜位を撮影した時点でも気付けませんでした。

背臥位の胃角の正面撮影、ポジショニング時の透視で、後壁に透亮像らしきものを確認しましが、このときは発泡剤の残りカスか残渣かと思いました。とりあえず撮影をし、モニターに現れた画像を見ました。
すると、確かに体下部後壁あたりに、その透亮像がいくつかあるように見えました。これがはたして何なのか、仮にバリウムを流して、その所見が動くのであれば、発泡剤の残りカスか残渣と判断することができるので、とりあえず目的部位にバリウムを流すことにしました。

寝台を半立位とし、腸へのバリウム流出を避けつつ、左右交互変換を用いて、後壁を中心にバリウムを流しました。相手が鉤状胃だったので、なんとか腸へバリウムを流出させることなく、透亮像が見える部位にバリウムを流したり溜めたりできました。

バリウムを流したところ、透亮像が動かないので、これは胃に存在する病変と思いました。

病変部位は体下部後壁に存在していました。

追加撮影は、検査序盤で、二重造影法の1、2法(空気多量)を撮影し、腹臥位を撮影したあと、空気量が適度にぬけてきたところで、また1、2法(空気中等量をねらった)。そして検査終了間際、立位にしたときに、立位圧迫を行いました。

最後の立位圧迫は、病変の凹凸変化をみるために、圧迫を何枚か撮影しました。
強弱をつけた圧迫も撮影すればよかったのですが、時間的なところから透亮像がわずかにみえる程度の、軽度の圧迫撮影だけに留めました。


今回の症例では、バリウムを流している時の流動観察で気付くのではなく、
撮影された画像を見て、気付くことができました。
追加撮影中、病変部にバリウムを流したりしても、明らかなバリウムのはじきとして認識できませんでした。隆起部分はあまり丈が高くなかったのでしょうか。
圧迫撮影時での透視でも、強く胃を押したときには、容易にその透亮像が消える印象でした。

追加撮影時での透視観察では、明らかなバリウムのたまりは認識できませんでしたが、撮影画像をみると周りの粘膜より厚くバリウムがかぶっているようでした。
そのバリウム斑も、あまりはっきりとは現れませんでした。


さて、今日は長々と話しましたが、まとめです。

今日の症例はきれいに撮影した画像から追加撮影と移ることができました。透視観察では発見が難しかったように思います。

検診ルーチンで行う胃透視は、撮影中に病変に気付き、その病変に対して追加撮影をし、異常なら異常であるとわかる写真を撮影することが求められます。

追加撮影された画像をみて、良性悪性の鑑別が可能な写真を撮影できれば、後でその所見を読む医者はスムーズに診断することができます。

ある程度正確な診断が、この時点でできれば、後の紹介もスムーズにできます。
検診で行われたときの診断が正確であればあるほど、紹介先やその患者への恩恵が得られ、信頼にも繋がります。

検診現場は時間的制約もあり、決して満足のいく撮影ができないときもありますが、できるかぎり所見の読みやすい撮影を心がけていきたいものです。


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