バリウム日記 がんの早期発見をめざして

医療に関する話題提供をはじめ、日々学んだことを配信できればと思います。

最新・胃X線撮影法の魅力

2013年06月09日 | 胃X線撮影

こんばんは、すきくぴです。
今日は、「胃と腸 2013年 06月号 微小胃癌の診断限界に迫る」に掲載されている内容を記載します。佐賀県成人病予防センター所属、中原慶太氏が書かれた最新・胃X線撮影法の魅力です。

中原氏は、新・胃X線撮影法を使用することで、検診胃X線の延長線で、精密胃X線検査も行えると説いています。
症例にもよりますが、検診胃X線と同様、まずは空気量を多量から検査し始め、空気量が多い状態を撮影する。そして検査中、空気量が減ったところで、空気の減った画像を撮影する。また、バリウムにおいてもまずは検診胃X線と同様、150mL、濃度は200~220w/v%で使用し、右下3回転のローリングを施行し、腸へのバリウム流出を防ぎつつ、胃粘液を限りなく除去し、良好な胃粘膜を描出できる状態にしてから撮影していくという手段です。
これは私のような、検診胃X線ばかり従事している人間が、精密胃X線を行ううえで、挑戦しやすい考え方と思います。

昨今、検診施設である当センターにおいて、精密胃X線検査を行う機会が増えてきました。今回の記載は非常に貴重な内容でした。

今後とも技術向上に努め、受診者へ恩恵が得られるようにしていきたいと思います。



検診、精度に関する用語について

2012年05月29日 | 胃X線撮影
こんばんは、管理人すきくぴです。
久しぶりの更新です。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか??

さて、今日は検査の精度に関する用語を、いくつか復習していきたいと思います。

真陽性、偽陽性、偽陰性、真陰性という言葉を聞いた方は、大勢いるかと思いますが、本日は、これらをおさらいしていこうと思います。

まずは真陽性ですが、これは疾患がある場合に、その検査が正しく疾患があると判定されるもののことを言います。
また、真陰性とは正しく疾患がないと判定されるもののことを言います。
そして、偽陽性とは誤って疾患があると判定されるもの、偽陰性とは、誤って疾患がないとされるもの、つまり見落としのことを指します。

これらの語句を考えると、真陽性や真陰性が高いほど精度が良く、偽陽性や偽陰性が低い検査が良い検診ということになりますね。

今日は、基本的なことですが、精度管理における重要な語句を復習しました。
それでは、今日はこのへんで失礼します。


早期胃癌アトラス

2011年08月13日 | 胃X線撮影


こんにちは、管理人すきくぴです。
いかがお過ごしでしょうか??
盆休みということで、家族や友人などに会って、楽しい時間をお過ごしかと思います。

さて、今日は改めて早期胃癌アトラスについて簡単に触れます。

早期胃癌アトラスでは、微小胃癌から小胃癌、表層拡大型や、linitis plastica型など、さまざまなパターンの胃癌が紹介されています。

本書籍を見て、私的に特に興味を持つのは、微小胃癌や小胃癌です。
小さい段階での胃癌の所見というのは、X線的にはどのように写るのかを把握しておかなければなりません。把握しておかなければ、検診において胃癌をより早期に発見することは困難であると考えます。




噴門部のがん

2011年01月17日 | 胃X線撮影


噴門部のがん。早くから進行がんになりやすいといわれているがんです。

この書籍は、胃X線から内視鏡。そして切除標本まで掲載されています。
対比がなされている書籍はあまりなくて、本書籍は大変勉強になります。
胃X線では、胃癌に対する正面像と側面像が掲載されており、追加撮影の仕方の良い参考になるでしょう。

本書籍は噴門部に的をしぼっていますが、内容の濃いものになっています。
ぜひ一読くださいませ。



前壁撮影のコツ

2009年11月25日 | 胃X線撮影
こんばんは。

今日は、前回に引き続き前壁撮影についてです。
前壁撮影をうまく行うコツとして、私は以下の3点に気を配っています。
一、枕の位置
二、枕の厚さ
三、胃内の空気量です。
まず、枕の位置がうまくいかないと、胃を矯正するのは難しいです。
私は主に、体部小彎めがけて枕を入れるようにしています。

そして次に、枕の位置が仮によくても、枕の厚さ、すなわち枕で押さえる力が強くないと、胃が矯正されにくいことがあります。胃の捩れが強かったりすると、枕の厚さが厚くなりがちです。
胃のねじれの強い人は、厚めの枕を使用しましょう。厚さは5~10cmといったところでしょうか。

そして三点目。
枕の位置や厚さが良くても、空気量が少ないとうまく前壁撮影ができないことが多いです。
体部大彎側の辺縁がスムースには追えずらいくらい空気が減っている場合には、空気を足して、前壁撮影を試みたほうが良いでしょう。

追加撮影の見本

2009年07月09日 | 胃X線撮影
こんばんは。
先日、院内の勉強会がありましたが、ようやく追加撮影の有用性の高さをみなさんに理解してもらえました。

逐年受診群の中で、発見時に進行がんで見つかるケースが少なからずあり、その胃がん集計結果をみなさんの
前で公表しました。集計結果を交えながら、進行がん症例数を減らすためには、追加撮影の有無が関わってくることを
理解してもらいました。

早速、院内では追加撮影の件数が増えてきました。
これ自体は良い傾向だと思います。

ただ、やみくもに追加撮影しても、説得力に欠けて終いかねません。
ある程度の追加撮影マニュアルが必要と考えます。

あと、部位別におおまかな追加撮影の写真提示とその撮影手技を説明してほしいという要望がありました。
なので今後の会では、その技師さんが疑問に思っている部位に対して、追加撮影良好画像を提示し、撮影手技のおおまかな
説明、そして透視動画込みで話していこうと思います。


目標はあくまで、逐年受診群、進行胃がんゼロです。相手はがんですし、ハードルは高いですが、今後も引き続き会を継続し
、目標に少しでも近づけるようにしていきたいですね。



なぜ病的として捉えることができないのか??

2009年06月28日 | 胃X線撮影
こんばんは。

今日はバリウムを用いたときの、病変指摘について話していきたいと思います。

先日、先輩と話しをしていてこう言われました。
「病変を発見して追加撮影をしていくわけだが、そもそも病変を病的として捉えることができないのはなぜなのか??。」
これについては私も頭を悩ませています。

月に2回、院内で胃勉強会を行っていますが、なかなか思ったような早期胃がんの描出にいたっていません。

というのもルーチン写真で一応は、病的に写っているように思われるが、その病変に対しての追加撮影がないので、病変の分析ができないのです。
悪性ずらをしている。なのでなんとか読影医に注意して見てもらわないといけない!!
読影医もチェックしてもらい、最終的に胃がんであった。粘膜に留まる胃がんであったなどと、結果が返ってきます。

はたしてこれで良いのか。やはり病的な部分に気づいて、追加撮影に入ることの重要性。なかなか浸透しないですね。


追記)先日の勉強会、私にとってはレベルが高かったです。
病変発見に対してはそこそこ自信がありますが、詳細な読影力並びにその追加撮影に関しては、自己のレベルの低さを認識しました。今後の課題です。




幽門部後壁 ポリープ

2009年06月15日 | 胃X線撮影
本日の胃透視では、過形成ポリープと潰瘍がありました。
直接命を奪うであろう胃がんには出会いませんでした。
胃癌がないことは良いことですが、本当に指摘する箇所はなかったのかをしっか
り検討しないといけません。
撮ったら撮りっぱなしは、まずいでしょう。
今日は過形成ポリープに対して、正面側面をねらいました。立ち上がりが低すぎ
たのか、うまく出てないような気がしました。幽門部後壁、出口付近にあったポ
リープは側面を描出できず、正面と圧迫撮影を施行しました。
蠕動運動が邪魔をし、うまく描出できませんでした。
今回はたまたま良性でしたが、いざその部位に悪性所見を認めても対応できるよ
うにしていきたいものです。
また研究会で議論していきたいものです。


追加撮影の考察 (側面像 編)

2009年06月12日 | 胃X線撮影
こんばんは。
病変に対する側面像の描出に、はまってきている今日このごろです。
良性疾患は比較的容易に描出できるようになりました。
しかし悪性所見に対しては失敗に終わっております。悪性所見に出くわす機会が
続いたにも関わらず、残念です。

2法にこだわりすぎ、腸へバリウムが流出したケース。→先に側面像から撮るのが
良いのかもしれませんね。
範囲が広くて、的確な側面を表せなかったケース→側面に対する読影力の向上が
求められている気がしました。
噴門部近傍に存在したが、分水嶺のたくれかヒダのしわなのか、わからなくなり
、表せなかったケースなど。

正面から側面にもっていく際、透視を見ながらそれを行っていくわけですが、途
中で見失ってしまうことがあります。


病変の側面を的確に表す。

これはもう、病変の深達度診断など。いわゆる精密胃X線の域まできた感です。


理想とする目標とするところは、集団検診業務であるのにも関わらず、質的診断まで行え、それを写真上に写し出すことのできる技師ですね。



側面像へのアプローチ

2009年06月08日 | 胃X線撮影
今日も引き続き、病変に対する側面像について触れていくことにします。
体部小彎に存在するニッシェを側面で描出する場合には背臥位、もしくは腹臥位が良いと思います

どちらが良いのかは現時点の自分ではよくわかりませんが、きれいに描出されて
いるのであれば、どちらでも良いような気がします。
ところで先日も、胃透視の出張先で、また一例胃癌(今のところ疑い)に遭遇し
ました。
ここ4日連続で、胃癌に出会っています。
今回は体上部後壁に病変を認めたため、右向き真横と左向き真横の両方からアプローチしました。
深達度診断には、側面像が重要であるという認識が当たり前のように定着してきましたが、ちなみに私たちのような集団検診施設でそこまで追加撮影しているところはあるのでしょうか??そこまでする必要はあるのか?!と言われればその通りかもしれません。
しかし、やはり説得力のある追加撮影でもって、少なくとも存在診断が確かなものとなれば側面像も非常に有効な手技の一つであると考えます。
内視鏡検査に軽く見られてしまう要因として、集団検診を行っている一次検診施設のレベルの低さが原因と思っています。
学会や勉強会、さらには精度管理をきちんと行っている、モチベーションの高い施設は別として、大半は撮ったら撮りっぱなしのような気がします。
さらなるレベルの高い胃検診をめざしましょう。

追加撮影を行うべき状況

2009年06月01日 | 胃X線撮影

追加撮影を行うべき状況とは・・・。
①なんらかの原因でブラインドになっている部分があり、ブラインドとなっていた部位に対して、本当に何もないかを確認する
②病変を疑う所見が認められる。しかし本当に病変なのかどうか、存在診断がはっきりしないとき
③すでに病変が存在しているのは明らかだが、それが質的診断できそうにないとき

①についてはNPOでは、任意撮影と言ったりしますが、私も広義の意味では追加撮影で良いような気がします。

先日の研究会では、追加撮影の基準化を計ることがテーマでした。
私と同じ施設の後輩も今回から参加してくれましたが、
後輩くんは、追加撮影の意味するものがわかったきました、とレベルアップの実感を感じていたような雰囲気でした。

ある程度のおおまかな部位別に対する追加撮影の基準化を計るのは大切ではなかろうかと思います。

たちまち、今度の研究会では、透視観察法を動画を用いてプレゼンすることになりました。
早期胃がんをはじめ、できるかぎり胃透視で発見していく。そのためには新・胃X線撮影法に準じた基準撮影の徹底。そして透視観察の併用で病変を発見していく。

研究会参加者のレベルが高いので、非常に勉強になります。
今後ともよろしくお願いします。


噴門部小彎の胃がん

2009年05月30日 | 胃X線撮影
お疲れ様です。
日曜から今日まで、ずっと胃透視でした。
久々に続きましたね。やはり胃透視は面白いと感じる今日このごろです。

胃がんの早期発見ができたときの達成感は、何ともやりがいを感じます。

胃X線の醍醐味は、早期胃がんの発見でしょう。
他の検査と違って、術者の力量が多分に左右される検査です。


さて、本題に入りますが、噴門部の胃がんについて考えていきたいと思います。

噴門部は食道から胃へ入る入口があります。
入口は生理学的に細くなっているため、さまざまな疾患ができやすいと考えます。

昨日と今日、二日続けて噴門部近傍の胃がん(現時点では疑い)に出会いました。
噴門部の胃がんは早期発見が難しいと言われたりします。
なぜなのかは私はよくわかっていませんが、確かに早期発見があまりなされていないように思います。

前年では写っていませんでしたが、発見時には粘膜下層にまで浸潤していそうな(胃がん取扱い規約上では早期胃がん)を見つけました。
しかしながら基準撮影ではうっすら粘膜面が乱れているような微妙な所見でした。
追加撮影の写真では、明らかに指摘することはできました。

もう一例は、前年ではわずかに写っているような所見がありました。
編集画像も作成してはいましたが、説得力に欠けたのか、読影ではチェックされませんでした。
発見時の写真では、残念ながら固有筋層に到達しているであろう、肉眼形態を呈していました。



長々と書きましたが、噴門部胃がんは他の部位と違って、基準撮影では描出されにくい印象があります。
院内の勉強会を通じて、噴門部病変の早期発見の仕方や方法を共有し、学んでいこうと思います。


追記)経験上、胃透視は検査の特徴もあって、上部胃がんと幽門部胃がんの早期発見が遅れているように思います。早期発見の戦いをしていかねば!!






所見チェック!!

2009年05月12日 | 胃X線撮影

今日は、月2回の院内、胃勉強会を行いました。

もちろん主催進行は私ですが、最近ちょっと疲れた感がありました。

しかし今後も、胃がんをはじめ、早期発見が受診者への恩恵に繋がるよう、継続してやっていきたいと思います。

さて、今回の勉強会では、6例ほどを普段撮影している同僚たちにチェックしてもらいました。一症例を20秒ほどで見てもらいました。
けっこう食いつきが良くて、まじまじと見てくれました。
症例をみてもらう機会をつくれば、けっこう興味を持って見てくれるのだなと嬉しく思いました。

今回の所見チェックした症例はすべて、追加撮影ありの写真を出しました。
基準撮影で十分に写っているものから、任意撮影である追加撮影の写真でなければ、指摘不可能であったものなど、さまざまな症例を見てもらいました。

今回の勉強会のポイントとしては、基準撮影の基礎はもちろんですが、
結局は、病変を発見し、病変をアピールする追加撮影のルーチン化という認識が大切であることを伝えました。
症例準備時間がなくて、良性疾患ばかりになってしまいましが、参加者たちには勉強になったと思います。

今回はできるだけ、たくさんの撮影者の写真を提示したつもりです。
追加撮影した撮影者には、「良くやりましたね!!」と褒めることも大切ですよね。


院内胃検診担当であるからには、責任を持って、院内レベルアップを計っていこうと思います。

いつかどなたか言っていたことを今も覚えています。

「院内のレベルが低いのは、すべて院内担当者の責任だ。本当に素晴らしい担当責任者は、自分のレベルアップだけではなく、院内全体のレベルを上げることのできる人間のことだ!!」

どんなに頑張っても一人だけの力は知れていると思います。
それに気づいているから、今後も継続して、お互い面白楽しく勉強会を続けていこうと思います。


下部前壁撮影 透視観察法

2009年05月10日 | 胃X線撮影
こんにちは。
今日は撮影実習に参加してきました。

みなさんの透視観察を中心に見させてもらいましたが、
ほとんどの人が、撮影体位の決定のための透視になっていました。



例えば、下部前壁撮影時には、およそ黄色い矢印のようにバリウムは流れるでしょう。
ただ逆さまにするのではなく、そのさいに、バリウムの流れをよく観察するようにしましょう。



悪性ずらを漂わせる胃がんの多くは、隆起や陥凹してきますが、
浅い胃がんになるほど、所見として認識しにくくなる傾向があります。


ただ目的体位になったから、撮影するのではなく
透視観察で、はじめに目的とする粘膜面を透視したあとに、撮影する。

慣れれば、そんなに難しくないように思います。
見た後に曝射する癖をつけましょう。



所見があれば、例えばこのように隆起した病変が顔をのぞかせるシーンがあります。一瞬の出来事であることが多いですが、透視観察の法を身につけていただきたいものです。

ところで今週の院内勉強会では、何を議題にあげようかなぁ
やはり透視観察の法の徹底でしょうか。

胃角部小彎 

2009年04月30日 | 胃X線撮影


 

突然ですが、この写真で写し出されている箇所はどこでしょうか??
読影をするさい、まずはじめに行うことは、辺縁のチェックです。
辺縁がスムーズに追えるようかどうかを確認します。
この写真では、胃角がわずかに捻じれたような像になっているため、胃角部小彎の病変指摘はいささか基準どおりではないような気がします。

辺縁を読むと、次は胃粘膜面を読んでいきます。
粘膜面のヒダに異常がないか。例えば集中像がないかを見ます。
そしてバリウム斑や透亮像がないかを見ていきます。

1枚1枚の写真を撮影していくさい、その写真に対する目的部位はどこなのか。
考えて撮影していかなければなりません。
1番大切なことは、胃がん発見を始めとする、病変発見です。
この場合、胃角部小彎を真接線にねらわないで撮影をしていると、胃角部小彎の病変指摘は困難でしょう。
撮影中、病変の存在に気づけば、追加撮影で、胃角部小彎を真接線とした像を撮影できますが、
初心者など未熟な撮影者に、いきなり胃角小彎を追加させるのは酷でしょう。

初心者でも一定水準以上の写真を提供していくためには、胃角小彎を真接線とした写真をルーチンに取り入れるべきです。

以前、書籍「ルーチン力」を紹介しましたが、効果のあるルーチンを要求します。