できるまでの歩み

　子どもが「できた。」「わかった。」と言える授業を目指して日々努力している。この「できた。」「わかった。」という姿にするまでの流れが、授業過程であることは言うまでもない。では、なぜその授業過程を踏まえてもできない子やわからない子がいるのだろう。当然、一人一人の「できる。」「わかる。」歩みが違うからだ。大まかな流れは、課題把握→課題追求→課題解決→一般化となることは間違いはないだろう。ただ、追求にかかる時間や追求の仕方に個人差が生まれる。この個人差をうまく追求する活動に取り入れていくための工夫が授業作りの工夫となる。
　わかる子（できる子）がわからない子（できない子）に教えればよいというものではない。自分がわかっていく（できていく）道筋を自らの力で作り上げていくことが自分の学びを作り上げていくことになるから、人の話を聞いても自分の学びを作り上げることにはならない。また、逆に個別に勝手に歩ませても、自分のわかっていく（できていく）道筋は自覚できない。自覚するためには、「自分の歩みを人に見せたり、話したりすること」「仲間と比較すること」「人から認めてもらうこと」が必要となる。
　自覚できるまでこれを何度も繰り返す。自覚できるようになると自分のわかる（できる）道筋に自信がもてる。これは遅々たる歩みである。毎日の授業を繰り返し行いながら、「私はこうすれば、できるよう（わかるよう）になる。」と子ども自身が言えるようになった時に学び方が身に付いたことになる。　
　聞き上手や話し上手になることはその過程の一つでしかない。目指すところは、自らの学びの確立だ。自らの学びが確立すれば、子どもは自分で歩み出す。そのためには、教師は常に子ども自身が「どうすれば、私はわかるように（できるように）なっていくのか。」を意識させる授業を繰り返す必要がある。これは教師が教えて身に付くものではない。考えさせたり、振り返らせたりしながら自ら磨くように働きかけなければならない。