ひよりの音楽自己満足

自分の好きなアルバムやアーティストを紹介させていただきます。

マンドレイク

2008-01-15 22:09:18 | 70's J-プログレ
 素晴らしい楽曲、凄い演奏テクを有しながらも、時代に見放され、消されてしまった70年代のプログレ&ハードロックバンドはいくつもあるわけで、ここでもいくつか紹介させていただきましたが、またひとつこういうバンドのCDが手に入ったもので紹介させていただこうかと。<P-MODEL>(現在活動停止中)の中心人物である、ギタリスト<平沢進さん>がP-MODEL以前に結成したバンド<マンドレイク>です。 70年代初期、平沢さんとヴォーカル&ヴァイオリンの<安部フミヤスさん>がある人(中野氏)の紹介で出あったことから始まったそうです。出あったあとしばらくは音楽活動はせずに遊び歩いていたそうですが、1年ほどたってから「そろそろやろうか。」と本腰を入れ始め、新宿のとある楽器店の掲示板に“メンバー募集”の張り紙をしたそうです。“ブラックサバスのようなヘヴィロックを目指す”という一文も添えて。そして集まったのが2人。のちにベース担当となるギタリストの<田中靖美さん>と、ドラムスの<田井中貞利さん>です。そして<マンドレイク>と名乗り、まずは某デパートのダンスパーティーでの演奏が決まったそうです。バンドは<ブラックサバス>の曲を5曲を完コピして、初仕事を終えたそうです。 その後はコピーではなく、オリジナル曲作りに没頭したそうです。で、ある日リハーサルに安部さんがヴァイオリンを持参してきたことによって、ヘヴィロックバンドからプログレ方向に傾いていき、そしてついに出来た曲が「錯乱の扉」です。このときは1973年。「錯乱の扉」といえば、真っ先に浮かぶのは<YES>ですね。でもYESが発表する以前にマンドレイクは「錯乱の扉」というタイトルの曲を作っていたというのは凄いことですね。(もちろん同名異曲です。) この頃には田中さんはキーボードに、そして新たにベーシストの<阿久津トオルさん>が加入したのかな? それにしても、73年といえば<四人囃子>が出はじめた頃ですよね。演奏技術・曲構成ともに負けてないと思うのですが・・・
ついにその「錯乱の扉」を大舞台で発表をする機会が訪れて・・・某大学の学祭に出演依頼がきて、そして出演したわけですが・・・演奏がはじまると聴衆のひとりが「Smoke on the waterやれ~!」って叫んだそうです。さらに酔っ払った客がゴミ箱をステージに投げ入れて、それが連鎖反応を起こしてしまって、ステージにどんどんモノが投げ込まれて、しまいには「帰れ!」と大ブーイングを浴びてしまったとか。そんな状況では非常に危険なので演奏を中断してステージを降りたそうです。この曲の良さがわからない、聴く耳を持とうともしないなんて悲しいですね。時代が悪かった、といってしまえばそれまでですが・・・その後もバンドは活動をつづけますが<マンドレイク>としてアルバムを発売することなく、79年に新たに<P-MODEL>としてテクノポップバンドに様変わりします。
今回のこのアルバムは70年代に録音された貴重な音源を発掘して編集され、1997年にCD化にいたったようです。 1曲目は「飾り窓の出来事」。いきなりヘヴィなギターリフから力強く始まります。めっちゃパワフル!ヴォーカルは音が割れている感じ。わざとエフェクトされてるんでしょうね。キーボードが印象的なフレーズを、その上でベースが自由に唸りまくってかっちょいいっす。中盤はスペーシーなシンセサウンドが響いて、再びヘヴィに。ラストは躍動感あふれるスネアの連打がだんだんスピードアップして盛り上げます。 2曲目は「週末の果実」。叙情的なオルガンが鳴り響いて、ミドルテンポの重い曲調ではじまります。途中スペーシーなキーボードにのってギターのアルペジオのソロが、そしてギターとキーボードのユニゾンのソロに。凄いっす。後半には神秘的な音色のキーボードソロが。そこにギターが加わって、ドラム・ヴォーカルも加わって、スピチュアルな雰囲気を醸し出しています。ラストは力強いドラムにのってテクニカルで激しいキーボードソロが。14分の大作です。 3曲目は「犯された宮殿」。思いっきり歪んだ激しいギターリフのめっちゃヘヴィなリフから始まり、それが落ち着くと重いリズムで静かに。そして再び激しいリフが。スペーシーなキーボードにのってヴォーカルが。サビでは再びパワフルに。リフはちょっとオリエンタルな感もあるかな。これまでの2曲とは違ってやや明るい感じのメロディですね。それにしてもこのドラム、めっちゃパワフル!凄い迫力です。中盤は激しいリフの嵐!それがおさまると、嵐のあとの静けさのようなギターとキーボードの優しい音色が。そして徐々に盛り上がっていって盛大にFin。この曲は78年の吉祥寺でのライブ音源だそうで13分の大作です。 ラスト4曲目は前述の「錯乱の扉」。シンバルロールからはじまって鳥の鳴き声のような悲鳴のような声が、それが巨大なノイズになって曲がスタートします。ミステリアスなリフ、そして不気味なヴァイオリンの音色、聴き手の不安を煽るかのようなダークなイメージですね。そしてド迫力のめっちゃヘヴィでパワフルなロックに展開します。それが落ち着いてギターのアルペジオをバックに抒情的なヴォーカルが。後半はヴァイオリンの艶やかな音色が響き、そこにギターが加わり、スペーシーなキーボードも加わって徐々に激しくなっていきます。ラストはめっちゃ激しくパワフルに迫ってFin。この音源は73年の音源とのことで、音質は他の3曲より落ちますが、迫力や構成はほんと凄いっす!73年にこれほどの曲を作り、演奏できるバンドが日本のアンダーグラウンドに存在していたなんてほんと驚異ですね。なんかBlack SabbathとYESを足して2で割ったような、ダークでヘヴィなシンフォ・プログレです。いやぁ~、ほんと凄いわ!たった4曲なのに聴き終わるとどっと疲れが。緊張感たっぷりだもんね。曲の世界に引きずり込まれちゃいそう。見事な演奏と構成力です。
今回のアルバムは「Unreleased Materials Volume one」でして、Vol.2も発売されてますが、そっちはあまり評判よくないみたいですねぇ。ま、機会があれば聴いてみたいものですが・・・

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