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Quaser Remergence

2011-03-26 11:19:12 | ジャパン・プログレ
 テクニカル・シンフォ・プログレバンド<Quaser>は、1976年にバンドリーダーでキーボード&ヴォーカルの<森田拓也さん>が中心となって結成されました。当時のメンバーはキーボードの<松浦義和さん>と、ドラムスの<中間和之さん>のトリオ編成で、EL&Pの完コピや長編オリジナルを演奏し、渋谷や吉祥寺のライブハウスで活動されていたそうで、あの<スペース・サーカス>や<プリズム>などとも共演されていたとか。さらに森田さんは神戸出身ということもあり、関西のプログレバンドとも交流され、そのなかで現アインソフの山本さんとも親しくされたそうで。
 78年には松浦さんが実家の福岡に戻ることになり、バンドの存続を優先して森田さんと中間さんも福岡へ移住されたそうです。ところが翌79年に中間さんが脱退してしまいます。しかし当時ヤマハでディレクターとして活躍されていたドラマー<鴨崎永昌さん>が加入することになり、さらに鴨崎さんの紹介で弱冠19歳ながらその才能を開花させつつあった新鋭ギタリスト<是永巧一さん>も加入することになり、新たに4人編成となってライブや曲作りなど活発に活動されます。そして翌80年には是永さんが大学入学のため東京へ行くことになり、その頃デモテープがレコード会社に認められたこともあって、拠点を再び東京に移して活動されます。しかしこの頃はプログレが低迷していたこともあり、レコード会社の担当もポップス志向だったこともあってバンド活動を断念。1982年にバンドは解散してしまいます。(この後、是永さんはあのスーパーバンド<REBECCA>のサポートギタリストとして活躍されます)
 バンドリーダー森田さんは神戸に戻って仕事の傍らデジタル機器を駆使して、来る日のためにデモテープを作りつづけておられたそうです。そして1993年3月、森田さんはかねてから親交のあったアインソフの山本さんの元へデモテープを持って訪れ、山本さんが快諾されて、翌94年に<Quaser>の記念すべき1stアルバム「Out From Quaser」が発表されます。これを機に再びバンド活動をはじめることになり、ベースの<中津浜優作さん>が、さらに山本さんの紹介で、MIDASや夢幻等で活躍されたプログレドラマー<形山和夫さん>が加入され、神戸を拠点にライブ活動を再開されます。ところが・・・
 1995年1月17日朝。突然の阪神大震災に見舞われ、神戸は壊滅的な被害をうけ、メンバーの皆さんもバンド活動どころではなくなって。それでも徐々に復興され、そんななかでバンドは新たにギタリスト<勝浦雅巳さん>を迎えて4人編成で活動することになり、形山さん所有の音楽スタジオも被害が少なかったこともあって復旧され、バンドはニューアルバムのレコーディングを少しづつはじめられたそうです。そしてライブ活動も再開され、1999年にこの2ndアルバム「Remergence」を発表されます。(ここまでの紹介文は、バンドHPのバイオグラフィーを参考にさせていただきました)

 アルバム1曲目は「Desert Night」。ゆったりと幻想的な雰囲気ではじまります。ギターのメロウなフレーズ、そしてベースの味わい深いラインが叙情的に響いて、その後、ギターがヘヴィサウンドでアグレッシブなソロを。アルバムの序章的なインスト曲です。
 2曲目は「Roger」。パワフルなリフからミドルテンポでダイナミックにはじまり、ギターのメロウなフレーズがながれ、しっとりとしたヴォーカルがはいって。そして徐々に盛り上がっていき、ドラムも叩きまくって、ギターのエモーショナルなソロへ。その後アップテンポの躍動感たっぷりのパワフルなリフからミドルテンポになってキーボードのクリスタルサウンドのリフがゆったりとながれ、エモーショナルなベースソロへ。中盤ではダイナミックなリフから一転しっとりとしたヴォーカルがながれ、そして躍動感たっぷりのパワフルなリフから盛り上がって、ピアノのアヴァンギャルド気味のソロも。終盤ではギターのメロウなフレーズがゆったりとながれて。
 3曲目は「Mr,Dick」。軽やかなアルペジオギターリフからはじまって、そして囁くようなソフトなヴォーカルがゆったりとながれて。その後パワフルなミドルテンポのリズムがはいるもゆったりとほのぼのした感じに。中盤ではオーボエ風サウンドのキーボードソロ、そして情緒たっぷりのエモーショナルなギターソロが。その後ヘヴィなギターリフからパワフルな曲調になり、ブラスサウンドもはいってにぎやかに盛り上がって、そしてアグレッシブなギターソロへ。ラストはゆったりとしっとりとFin。ドラマティックな展開の素敵な曲です。この曲は1996年に闘病の末に天国へ旅立ってしまった元ドラマー鴨崎さんへの追悼曲だそうです。
 4曲目は「Anastasia」。エモーショナルなギターソロからクリスタルなキーボードサウンドのソロ、そしてエモーショナルなギターソロが。とってもドラマティックでメロディアスな曲調です。中盤では一旦リズムがとまってアルペジオリフとオルガンサウンドが幻想的にながれ、そしてパワフルな叩きまくりドラムをバックにギターソロが。その後ミドルテンポでヘヴィなギターリフとソロが。終盤ではオルガンリフからダイナミックに盛り上がって、そして再び静かになってピアノリフとストリングスサウンドをバックにエモーショナルなギターソロが。
 5曲目は「Moonbird」。浮遊感のある心地よいサウンドからゆったりとはじまってリズミカルながらも幻想的な感じに。そして囁くようなヴォーカルがはいって哀愁ただよう曲調になり、サビでは力強く歌い上げて。中盤ではエモーショナルなギターソロから爽やかなリフがはいって。ラストはしっとりとFin。
 6曲目は「Sae」。シンバルからベースのしっとりとしたフレーズがゆったりとながれ、幻想的な雰囲気ではじまって。そしてキーボードのほのぼのとした感じのフレーズがゆったりとながれ、ベースとユニゾンで。その後ピアノの美しいリフレインが響き、ミドルテンポの変拍子リフから再びしっとりとした曲調に。終盤ではギターのテクニカルなリフから明るく爽やかな感じになって。
 7曲目は「Blood of Life」。しっとりとしたヴォーカルからベースリフをバックにゆったりとムーディにはじまって。アダルティックでジャジーな感じですね。中盤ではヴィヴラホンサウンドのキーボードソロが。その後力強いヴォーカル、そしてパワフルなドラムがはいって躍動感たっぷりに盛り上がってドラマティックな展開に。終盤ではエモーショナルなギターソロも。
 8曲目は「King of Pancrase」。ミドルテンポのパワフルなドラムから明るく力強いリフがはいって、そしてギターのテクニカルなリフ、オルガンとストリングスサウンドのリフが。その後ギターの哀愁ただようフレーズがながれたあと、一転パワフルでヘヴィなリフがはいって、そしてスリリングなギターとキーボードの掛け合いも。かっくいいインスト曲です。
 9曲目は「Doomsday」。シンバルから幻想的なキーボードサウンドがゆったりとながれ、そしてギターがメロウなフレーズを奏で、その後ほのぼのした感じのヴォーカルがゆったりとながれて。ムーディでアダルティな曲調ですね。中盤ではピアノのジャジーなソロやギターのエモーショナルなソロが。終盤ではパワフルに盛り上がって、ピアノのおしゃれな感じのソロも。ラストはしっとりとしたベースリフがながれてFin。
 10曲目は「Green Spice」。ほのぼのとした感じのキーボードリフがゆったりとながれ、そしてミドルテンポで幻想的な感じに。その後アップテンポのノリノリモードになってキーボードソロが。終盤では再び幻想的にしっとりと。
 全体的に落ち着いた感じの曲や叙情的な感じの曲が多く、しかもドラマティックな展開の曲もあり、それらをテクニカルな演奏でたっぷりと聴かせてくれて。ジャジーな感じやほのぼのとした感じの曲などもとっても心地いいっすね。阪神大震災という災難に遭い、苦難を乗り越え3年半かかって発表された本作、様々なタイプの曲を堪能できる内容の濃い、メンバーの想いが伝わってくるような素敵なアルバムですね。

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