満月に聴く音楽

宮本隆の音楽活動(エレクトリックベース、時弦プロダクションなど)及び、新譜批評のサイト

>ナスノミツル・バースデー & New Solo Album「2019」先行リリースライブ終了。

2019-10-12 | 新規投稿
ナスノミツル・バースデー & New Solo Album「2019」先行リリースライブ終了。最初はセッションメンバー4人(登敬三sax山内弘太guitar宮本隆bassEIGO E・S・S drums)で演奏。4人が全員、初顔合わせという冒険を敢えてやった。(私は登さんとは22年前にCOBRAで共演経験あるが、あれは集団即興なので、今回が初めても同然)しかも、そこそこの人数のお客さんの前で。事の正否は私にかかっているというプレッシャーあり。サウンドチェックでは無難な感があったが、本番ではややカオティックになる。しかし刺激的だった。登さんのブロウの強烈さに押され、全体が各々のビートを刻んでいた感じか。そしてナスノ氏のソロ。いつもながらの繊細なタッチで様々な音響を拡大してゆく。「rain maker」制作時のようなプログレ感覚よりアンビエント色が増したようにも感じるが、そんな単純なものではない。途中、かなり明確なビートが登場したり、ストリングス系の音が後方から微かに聴こえるような転換の創意が見られ、このあたりニューアルバム「2019」の内容が想像できる。ピック弾きのような(指なのかもしれないが)アタックの強い箇所やライトタッチ奏法による柔軟な音色を使い分ける緻密さは相変わらず。演奏後のMCで「出身地、盛岡の冬の風景のような世界」と語っていた、正にcoldな世界と言えようか。今回、映像を担当したKenji Tsuda氏の見事な映写も相俟って、完全に一つの風景、それもまだ見ぬ風景といった感の強いストーリーがここに現された。全くすごいソロパフォーマンスであった。
続くセッションの最初はナスノ・登・山内の組み合わせ。ここでナスノ氏はソロ演奏での世界を継続、拡張し、登氏のホットなブロウとの対比を作り、そこに山内氏の音響ギターが絡む展開。山内氏はイメージ的にはアンビエント寄りな音を予想したが、むしろエッジの効いた確信的な音作りであり、それによって全体のサウンドの硬質感が生まれていたと実感する。セッション2組目はナスノ・私・EIGO E・S・Sで演奏。1組目(ナスノ・登・山内)はノンビートのアンビエント系。そして2組目がビート・グルーヴ系という対比を作る私の目論見は上手くいったかどうか。ただ、EIGO E・S・Sがオンビートのドライブ感を生み、私がそこに合わせ、ナスノ氏がリード的にソロをとるという目論み通りの場面がつくれたのは事実。EIGO E・S・S、しっかり健闘してくれた。最後に全員で演奏。これはやはりという感じでカオス状態に陥る感もあったが、実験のつもりなので良しとするといったところか。演奏終了後、平野氏(zero-gaugeオーナー)の粋な計らいでナスノ氏の誕生日をバースデーケーキで祝い、お客さんも皆でほんわかして、締めとなる。ナスノ氏新作アルバム「2019」も売れに売れた感じ。良かった。
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