知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

自閉症に関して・・・

2016年05月05日 | Weblog
業界は去ったものの、長年の経験から知的障害者に対する興味・関心(純粋な意味で)は大きいです。


先日、書店にて面白い書籍を見つけました。

「脳からみた自閉症」 ~「障害」と「個性」のあいだ~ (大隅典子著 講談社ブルーバックス) 

(※著作権の関係上、本の写真は載せられませんが・・・)



自閉症に関する研究は、年々深まっており、常に新たな理論等が出てきています。

特に、脳機能系から見た医学的な見地の考え方や理論は、今まで体験的な部分や、また観察上でしか分からなかったものが、徐々に明らかになっています。

保護者や、今後親になるであろう若い世代にとって、遺伝的な部分や両親の年齢や環境に関わる部分では、非常に感心の高い分野であろうと思われます。



自閉症については、就業中も様々な書籍に目を通しました。

もちろん、医学的な見地、この業界特有の経験上からくる観察上の対処方法等、多くの書籍が世に出回っています。


今回の書籍が一番・・・という訳ではありませんが、直近の勤務していた施設での「個性」を重視した対応方法には、若干の疑問を持っていたため、特にこの部分でサブタイトルに目がいった感じです。(もちろん内容も立ち読みしましたが・・・本屋さん、ごめんなさい)


※著者については、有名な方なので、ネットで調べてもらえれば、すぐに出てきます。



実際、現場では、自閉症についてどこまで理解し、研究し、観察しているか・・・といえば、全くの不十分な状況です。

特に管理職が研究熱心な方ならまだしも、経営管理や人材管理に熱心な方は、その部分で横道にそれている可能性は多いですね。


また、福祉の専門学校(大学等)を卒業されている方なら、現場の職員に比べて、新しい理論には触れておられる可能性はあります。


以前に勤務していた施設では、直接の上司が研究熱心であったこともあり、常に新たな理論を展開していました。それに付け加えて、現場での実践・観察が、よりその理解を深める・・・といった状況がありました。



もちろん、こうした医学的な見地から見た書籍は、現場では役に立たない・・・とおっしゃる方もいると思います。

確かに現場には、実際に利用者本人がおり、現実的に日々接しているため、その対応・支援方法が重要ということになります。(その点については、私も同感ですが、ただ体験的な部分だけでは対処できないところが多く、基礎的な知識を身に着ける意味では、書籍等の補助は十分に必要と考えます。)



自閉症の方の行動は、一般の方に比べ、多くの部分で「異常行動」と見られがちです。確かに、その部分は普段日常生活を送っている方にとっては、違和感を持ってとらえられると思いますが、本人には全く「異常」な行いとして、行動していない・・・ということです。


先日、紹介したmoroさんのブログや、体験記を書籍化したものも含め、一般の方と同様に施設職員でも分かりやすく、受け入れやすい方法で、自閉症が世間でも理解され、徐々に受け入れられれば、業界内での負担も少しは軽減されるものと思います。
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ついに、退職願いを提出しました。

2016年05月02日 | Weblog
この1か月間、中途半端な立場のまま、現在の法人・事業所に在籍していましたが、ようやくこの地獄のような4月が終わり、今日(5月1日)退職願いを提出してきました。

(今日は、事業所が休日でしたが、所長さんが時間を作って下さり、2人でゆっくりお話しする機会がありました。退職願いの提出に合わせ、今までの経過や現在の問題点等、いろいろ話しました。)



なんか、胸のつかえがとれたような気がします。(この1か月、ずっと意味不明の頭痛に悩まされていました。)




今回の福祉職への復帰、あらためて利用者の方々と接する機会を与えていただけたことには、感謝しています。

精神的な面と、身体が合わなかった・・・すべて、私自身のなさけなさ・・・が原因と思っています。



例の友人の裁判の行方は、まだですが、今後も注視しながら、この業界を外側から観察していきたいと思います。






在籍していた頃、もう1か月前のことですが、私の支援しているグループに、昨年からこの事業所を利用し始めた方がおり、この方は他のメンバーに比べて、コミュニケーションがやや困難な部分や行動面に課題が多くありました。
この事業所は、一応生産型の生活介護施設なので、わずかながらも授産的な作業を行っています。

しかし、この方は、その部分でもなかなか難しいため、関係した業務?・・・牛乳パックの紙破り・・・に取り組んでいます。

この施設での支援では、おそらく不十分だと思われますが、保護者の意向なのか?(私の経験からすれば、明らかに入所施設向けの方です)この事業所で、一日の6時間を過ごしておられます。
(行動面に問題があるため、同じグループの方の仕事を邪魔することも多いです。いわゆる物を投げる、唾を吐きかける、叩く・・・等です。)


私が感じたのは、こういうタイプの方は、過去にも入所支援施設時代に出会いましたが、(まだ、パニックになり大暴れはしないし、一応職員の対応は・・・本人なりに・・・楽しんでおられる感じです) おそらく、コミュニケーションの取り方が(支援学校時代の間違った対応により)うまく出来ていないのだと思いました。


同じ事業所の職員の方は、それなりにうまく対応されていましたが、この人は「よい方向にいけるのだろうか?」という疑問をぶつけられたことがあります。(私に対して、過去の経験から、こういうタイプの方の先行きを考えてのことだと思います。)


私は答えました(過去の経験からの実践で感じたことを・・・)。


おそらく10年ほどたてば、ある程度落ち着かれると思います・・・と。


観ていると、その方は職員の対応を観ている部分があり、それによって職員に対する行動が変わるからです。また、前述した小さな問題行動(もの投げ等)は、ある意味かわいいものです。
その行動を起こすことで、周り(職員や他のメンバー)がどうするのかを、しっかり見ているからです。

自分の行動を抑制されても(他のメンバーから離し、机でブロックした感じ・・・体の直接抑制はありません)、暴れることやパニックになることもありません。そういう意味でも、今後の支援方法や、保護者の意向により、よい方向へ進む可能性はあります。
(逆にその部分が間違うと、10年後も変わらない・・・むしろ悪い方向になっている可能性も否定しません。)

保護者の方が、過度な期待を持ったり、今後の方向性をしっかり考えておられるなら(おそらく入所すれば、もっと早く力がつくと思います)、こういうタイプの方は、成長が早いと感じました。そういう意味では、面白い存在です。




この事業所で感じたことは、通所ということで、実際に支援出来る時間は短いです(実質6時間程度)。

そのため、一日の大半は保護者との生活(ただ中には、グループホームや日中一時、移動支援事業等にお世話になっている方も多いですが)になるため、保護者の対応が、一番重要な要素を占めています。


※その意味でも、それが十分出来ない保護者の方には入所をお勧めしているのですが・・・(実際は、施設が足りないため、なかなか入所出来ませんが・・・)


職員は、目の前の生産活動に追われ、また一番の課題である、本人たちの支援は少々置き去りになっています。(空き缶つぶし、ペットボトル等、その材料を集めることも日中の業務になります・・・これで大半が終わることも・・・)


その方が、どういった障害を持っているのか、そのための服薬内容は、またその副作用は・・・等、さらには保護者の意向・願いはどこなのか?など、もっと知らなければならない情報が少なすぎるのと、それを検討する時間もありません。


たった3日間でしたが、(内容については、以前の上司の方からいろいろ教えていただきました)事業所のかかえる問題点が多すぎます。



これは通所施設のもつデメリットでもあるのでしょうか。

※一番大きな問題は、支援する職員の待遇ですが・・・



今でも、この業界で今後も再就職を模索するのか、全く違う業界に行くのか・・・まだ思案中です。


しかし、いろいろ考えると、知的障害者の方の課題を克服していく方向性を考えるのは、面白いですね。やはり28年以上、この業界に携わっていると、簡単に離れられないようです。


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