知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

最低賃金は、事業所経営者にとっては魔物?

2019年10月29日 | Weblog
現状の地元の事業所は、なんとか経営も順調で、10月からアップした最低賃金にも、対応出来ています。(すぐに利用者の方とは、契約を結びなおしました。)


ところが、事業所の事務所本部は地元にあるのですが、他に経営しているところ(飲食系)が、隣の街にあり、そこが人材不足で人のやりくりが大変になっています。


一般の方の求人募集もかけていますが、反応は全く・・・。(実は、大手の有名なCMでもある、求人広告会社にも、なぜ本部と違うところの市町村に求人を出すのか?と言われ、アカウントが凍結されました。意味が分からない・・・全国規模の会社ならば、それはいいのか?)


管理者(社長)は、その経営場所に一般の方も必要だが、むしろ今回のいい経験(地元で一からA型を始めた)から、その場所もA型の「施設外就労場所」として登録し、利用者を募集しようと思う・・・という考えの元、私も行動を開始し、わざわざ他の市町村の支援センター等に行き、お願いに回りました。


しかし、実態は、ほとんど集まらず・・・。


一番の問題は、その場所が県境にあるものですから、すぐ隣(JRや私鉄の駅でも一駅感覚の場所)は、他府県です。


他府県の自治体の支援センターも回ろうと考えましたが、地元の支援センターの方から、「おそらく、むこう(隣の府県)では、最低賃金が違うから、来てくれない可能性が高いよ」とアドバイスを受け、よくよく考えてみると、確かにその通りで、実際、最低賃金はその就労する場所に合わすわけです。

つまり、越境してきて、わざわざ安い最低賃金のところへ就労に行く人は、どう考えても、ほとんどいないと思います。


計算してみると、その隣の府県は、私のところより55円も高い、最低賃金でした。(1日4時間は就労すれば、200円以上の差が出て、それが1か月になれば4000円以上の差が出ます、ほとんど1日分違う計算になります。)


そんなわけで、考え方が浅はかだったと、大いに反省。


その隣町の飲食業の場所は、現在のところ経営的にはギリギリで、一番の問題は、うちの地元の事業所に人材的に大きな悪影響を及ぼしていることです。


私個人で考えるのは、もうそんな状態ならば(誰も雇用できない、就労に来ない)、いっそ閉めたほうがいいのでは・・・?と意見したのですが、うちの管理者(社長)は、義理人情の関係で切れないらしいのです。


こういった最低賃金の問題は、おそらく全国各地にあると思います。

特にすぐ隣が、最低賃金が自分のところよりも高いならば、余計に見過ごせない問題ですね。



このあたりが、最低賃金に縛られる「A型就労継続支援」事業所の悩む部分です。


※世の中の景気に合わせた”最低賃金”なのかな?

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就労業務内容はこれでいいのかな?

2019年10月25日 | Weblog
就労継続支援A型の事業所の利用者ともなると、ある程度、自身の希望や意見も聞くことが出来ます。


現在、開所4か月目に入り、8人目の利用者が来られました。(おかげさまで、順調に増えています。見学や実習も毎週のようにありますね)


当初は、お弁当作りの手伝い・・・という名目の、業務内容だったのですが、人数が増えてくると、そればかりでは、就労業務内容が足らなくなってきます。

そこで、管理者(社長)と相談し、利用者自身の体調や服薬による影響(特に眠剤を服用されている方等)により、午後の勤務を希望される方もおり、そういう方には、昼頃から出勤してもらい、4時間ほど勤務して帰宅するという方法を取りました。

また、もう1か所の施設外就労場所への移行も考え、なんとか8名の方が順調に就労されています。



ところが、やはり人には「向き不向き」や「得手不得手」という課題があり、同じ仕事内容でも、要領良く仕事される方もおれば、時間のかかる方、うまく出来ない方等、様々です。


お弁当の「盛り付け」等、手際よく出来るひとは、全く問題ありませんが、次の仕事を予測出来ない方や、いちいち指示が必要な方等、必ずしも全員が順調にこなしているわけではないのです。

B型事業所ならば、丁寧に支援が入り、ゆっくり向上していけばいいのですが、やはりA型は実践が大事になり、1か月ほど同じことをしても、なかなか上達しない方や、仕事を覚えない方は、多少困ってしまいます。出来るだけ長い期間、期待して、向上するのを待つのですが、逆に本人にとっては、無理がたたり、返って遅れることも・・・。


ここが、難しい部分ですね。



元一般就労をされていた方が多いのですが、やはり(履歴書で)短期間にいくつもの転職をされている方は、それなりの理由があったのか、ここへきても同じ状況になっています。

それでも、A型・・・と思い、辛抱強く待っていますが・・・




話は変わりますが、今日は正規の職員さんが少なく、しかたなく(サビ管の)私や利用者の方(これも業務超えになります)と、弁当の配達業務をしました。


職員が少ないのは、待遇が悪いためであり、配達も自家用車使用ですし、ガソリン代も出ず、また運転中の事故の補償もあるのかないのか・・・?

一番大変なのは、短い時間で長い距離を走り、多くの弁当を様々なところに配達することです。


それが仕事だ!と言われれば、しかたないですが、職員は休憩も取れずに、お昼ご飯も食べる時間もなく、あせって配達しています。悲惨な職場状況です。


ただ、利用者を同じ状況に置くわけにはいかず、そこは私は(サビ管として)十分監視しながら、十分な(契約した)休憩時間を取ってもらい、時間通りに退勤してもらっています。
(これも、場合によっては、超過することもあり、要注意です。)

管理者は、働くことが「大好きな」ようで、他人も”同様に働ける”と考えられているようで、無茶苦茶ですね。



実は、今日は地元の街のお祭りの最終日(3日間あります)で、鉾の巡行は、さすがに雨で中止になったものの、屋台や鉾は街にあり、それを観る観光客や地元の子供たち等、お弁当を配達するには、(ある意味)邪魔するものがたくさんある日でした。


気の付く方は、こういう日は、お弁当の注文を控えるとか、していただけるんですが、そんなこと”全く”意に関しない方は、いつも通り注文されます。

いつもなら通れる道も通れず、遠回りになったり、祭りの関係で渋滞が生じ、結局、いつもより1時間は多く配達にかかってしまいました。


もちろん、各注文者には、「遅れることを」電話連絡し、行った先では「申し訳ない」と謝罪します。

結構、ほとんどの方は、気持ちよく「大丈夫だよ」と言ってくださったり、「ご苦労様」と声をかけてくださいます。


人の優しさを感じるときです・・・。が・・・


お弁当が遅れることではなく、人の中には「他人をよく思わない方」が少なくともおられるようで、今日も慣れない配達(利用者も同じ)で、分からない部分も多く、いやみを言われる場面も・・・。(医療関係の中で、上から目線の方がそうですね)

また、渋滞で苦労しているときでも、文句を言ってくる対向車・・・。


利用者の方と、「あんな人間、嫌だね」と感想を言っていました。(実は、もう少し汚い言葉でしたが・・・笑)




たった2時間余りの配達業務でしたが(普段は専門の方がおられます)、非常に疲れました。



こういう状況では、人間いろいろだなあ・・・と感じます。それは障害者とか一般の方とか関係なく、悲しくなる部分ですね。


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最低賃金という縛り

2019年10月04日 | Weblog
10月から、各都道府県が最低賃金を改定しました。


私たち、就労継続支援A型を事業している人間にとって、この意味は非常に大きく、最近は毎年のように上がっていきます。


世間の景気の動向は、上向きか?というと、全くそんな訳はなく、むしろこの10月から導入された「消費税10%」のために、逆に下向き傾向に陥る可能性も大きいですね。


ガソリン代も大幅に上がり、一般人にとって、負担がどんどん増えていくのは、非常に悲しいことでもあり、目の前の生活をかかえて、のんびり出来ない状況があります。




私の勤務するA型事業所も、当然最低賃金改定による「雇用契約」をし直しました。


すでに、東京都や神奈川県は1000円を超えており、それは一般の労働者やパート、アルバイトの方には、少しの朗報になるのかもしれませんが、経営者側視点では、非常に辛い部分ですね。景気が上昇し、お金の動きが活発ならば、それもよい傾向として捉えられるかもしれませんが、世間は逆行しているというのに・・・。



私が感じたのは、(私はすでに還暦を迎えていますが)私が20歳代に働いていた頃に比べ、世間一般の給与が大幅に増えたのか?というと、約40年前と比べて、大きくは変わっていないように思います。私が20歳代の頃は、ほとんどが現在の銀行等の給与振込制ではなく、手渡しでした(公務員でも)。そのため、働いたあとの実感が感じられたものです。

銀行振り込み・・・という部分は、今回の問題ではないのですが、未だにその手続きや手数料等から、一部では未だ手渡しのところもあります。かくいう私の職場も同じです。(職員が少ないところは、こういう部分があるようですね)


もちろん、利用者の方にも、給与は手渡しです。

ただ、こういったA型事業所に関しては、手渡しの方が、先月頑張った・・・という利用者側の実感として、嬉しい・・・という意見を聞きます。A型事業所に就労されている利用者の方々は、それほど裕福な経済状況ではなく、ほとんどがギリギリの生活を送っておられる方が見られます。

(※受給者証をもらう段階で、前年度の家庭内の収入から、負担金が生じますが、数名の方は0円ではなく、次の9300円という、中途半端な負担金が生じています。
これも、大きな問題で、そのままA型に就労される方には、”やや”負担になりますが、中には精神疾患が重くなり、A型からB型に移行される方もあり、そういう方は、B型での給与の少なさから、ほとんど賃金がない(あっても2,3千円)という状態になります。別にB型が悪いわけではなく、そういった仕組みには、少し疑問も生まれます。)


最低賃金という名目は、確かに聞こえはいいのですが、世間の景気の動向に準じているのかというと、必ずしもそういう訳ではなく、各都道府県によって大幅に違いが生まれているように、その判断基準がまちまちですね。

A型事業所も、当然半分は企業的な部分もあり、景気に左右されるところは大きいです。


利用者に支払う賃金が上昇すれば、それだけの儲けが生じるか?というと、それも全く同じです。つまり、経営者にはただ負担が増えて、経営が苦しくなっていく・・・という悪循環でしかありません。


同時に、人員不足で、一般のパートやアルバイトの募集もかけていますが、その際の賃金も、最低賃金より”やや”多め、にするしか出来ません。つまり、A型で就労される利用者の方と、ほとんど同じ賃金で働いていただいている・・・という状況です(内容的には、責任は重く、仕事内容もより難しい部分を負ってもらっています)。


私も、業務上、利用者を集めるのが、現在立ち上げた状態での事業所の仕事でもありますが、同時に現場で勤務してもらえる一般の職員も募集をかけています。

その際に、各求人情報等に募集をかけるわけですが、他の求人も同様で、本当に世間の景気動向は厳しいものがありますね。



「最低賃金」という名目は、確かに考え方としてはいいとは思うのですが、あくまでも世間の景気と兼ね合わさったもので考慮してほしいと思います。


ひとつ間違えば、へたな「縛り」になり、零細企業やこうした収入が少ないA型事業所は、結局は自分の首を絞めるものになりかねません。


実際に、今の状況に接して、A型という事業所の職員をしていて、特に感じた意見です。




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