知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

ある事件 その3

2021年11月25日 | Weblog
前回の経過です。


警察官に職務質問を受け、その後その利用者さんは、相当のいら立ちを見せ、重大な事件(暴力事件)に至る心配をしましたが、無事今回はそういう事態には至らずにおさまったようです。

これに関して、利用者さんの関係・連携する支援センターに連絡し、各支援センターの担当者の方にいろいろ対応していただきました。


特に、直接本人さんに出会い、何度も話を聞き、事情を説明し、気持ちを汲み取っておさめていただいたことには、感謝しています。


今回、そういった連携支援センターに連絡したことや、心配していた親御さんに伝えたことを、本人は逆恨みしだしたこともあり、その件についても、十分な話し合いや、本人さんへの説明を行っています。

すべては、誤解なんですが・・・。


本人にとっては、警察官からの職務質問は、ある意味”きっかけ”で、よくよく話を聞いてみると、それ以外の件で、いろいろ自分の考えや要求が通らずに悩んでいた様子です。


その考えや要求というのが、また非常に他者からは理解されない部分が多く、自分なりの解釈の仕方や、理解の仕方、あるいは勝手な思い込み・・・等が原因しています。

それは、職場(事業所)の女子職員との連絡先の交換を要求していたことです。


その目的は分かりませんが、基本的に絶対、利用者との連絡先の交換や(職員の)個人の情報提供は、禁止しています。

それは、事前に利用者の方に伝えていますし、今回事象に上がった方以外は、ほとんどが納得されています。(そのため、そんな要求は今まで一切ありませんでした)


今回の利用者の方に聞いてきたところ(支援センターの方が聞いてくれました)、住んでいる場所(漠然と)をなぜか知っていたこと、面白いのが、その方の連絡先を知りたい職員の名前が3人出てきて、ひとりは男性なんですが、後の2人は30歳代の女性です。また、その男性については、名字もうる覚えで、正しい名前じゃあありませんでした。しかし、女性2人については、アンダーネームも含め、正しく覚えていたのです。

驚いたのが、事業所の職員を「友達だ」から、「なぜ友達の連絡先を聞いたらダメなのか?」という理屈で、この「友達」という言葉に驚きました。


長い事業所や施設経験からも、こういう認識をした方は初めてです。
(つまり、今回のケースは初めて経験したことになります)


別に事業所内で、その方と友達のように「仲良く」会話も行っていませんし、他の利用者の方も、一応「職員・スタッフ」として認識しており、そのため作業時や業務内容の説明や質問等は、それなりに行っていただいています。
そういう関係性を意識したこともありません。


実際、現在の事業所ではありませんが、以前の事業所(A型もB型も)では、個人的に利用者の方と、未だにLINEでつながって方も多いです。
でも、そういう方々は、あくまでも元利用者・元職員・スタッフという意識はあり、その後のやり取りも個人情報に立ち入るほどのものではありません。(当然、そういう理解の元で、お互いLINE交換もしています)


今回の件は、その利用者の方の理解度の低さや、認識力の低さ、物事に対する考え方・理解が十分でないこと・・・等、がある意味分かった部分があります。

今まで、そういう傾向や、そんな部分は感じないことがあったので、逆にそういうことに驚いています。


今回も、その方の仕事に対する能力は高いので、屋内業務から一般就労につながる施設外就労も徐々に経験しいただこうと考え、取り組みに至った経過に起きた事件です。

本人が名前をあげた2人の女性職員さんは、まだ勤務して時間は短く(1,2か月)、逆に本人が業務している施設外終了の支援職員でもあります。


本人のこの女性たちに対する、意図は分かりません。本人の興味の対象なのか?恋愛対象なのか、それとも親目線なのか・・・?


この利用者の方に、事業所のルールや、この連絡先を知りたいという要求に対する説明は、非常に難しいと感じます。


私も上記に書いた通り、こういう理解力の部分では、ホントに初めてのケースで、中途半端に対応すると、無理に女性職員に迷惑もかかり、危険が事件に至るとも限りません。


今回、たまたまそういった警察官による職務質問という事象での経過において、発覚した部分もあり、今後、本人さんへの説明も含め、また経過報告したいと思います。


あくまでも、ひとつの事象としての報告です。事業所名や当事者の名前等、一切記しておりませんので、あくまでも、こういった事象が起きて、悩んでいます・・・ということです。




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ある事件 その2

2021年11月22日 | Weblog
前回の利用者さんの職務質問の事件なんですが、その後について・・・


今日、知ったんですが、その事件の翌日、利用者さんの自宅に、警察のビラが入っていました。(いわゆる今流行り?の振り込み詐欺等の注意について・・・みたいなものです)
また、同時に警察官が自宅に来て、注意喚起をされたようです。

この点は、よくあるパターンなんですが、問題は、この利用者さんが、先日の事件によって、警察官に対して「大きな不信感」を持っているということです。


そのため、その呼びかけにも応じず、「最近は、こういうものを配る偽物もいる・・・」
という対応になり、今日、そのビラを事業所に持って来てくれました。


また、事業所の所長も、この利用者さんの担当されている地元の支援センター(就労・生活支援センター)や、本人にこの事業所を紹介いただいた生活介護センター等に連絡を入れ、各担当者に今後の対応を話し合うように、伝えてくれました。


しかし・・・


まず、本人さんは、この事件で皆が心配してくれている・・・とか、いろいろ動きがある・・・という感覚ではなく、むしろ「なぜ、この事件のことを知ってるんだ」とか、「話を聞いてくれた人(私)の名前を知らない・・・」等、非常に事件に対して行動している私たちに対し、否定的なのです。その気持ちも分からないではありませんが、何か失望感を感じます。

「誰のために、行動してるんだ・・・」なんて、無粋なことは言いません。あくまでも、事業所の利用者を守ろうという意思で行動しているだけです。

私のことも、名前で覚えていなくて、おそらく顔を見ればすぐに分かるとは思いますが・・・


また、支援センターの担当の方の意見も、意外に前向きではなく、否定的な感じに捉えられました。


なぜ、そんなに一生懸命行動してるんだろう・・・とか、警察に苦情を言うつもり?とか、非常に面倒なことを言っている・・・そんな感覚で答えられました。


なんか、大きな失望感です。


じぶんのやっていることが、バカバカしくなってきた感じですね。

支援センターの担当者などは、「警察官の職務質問に答えるのは、国民の義務・・・」だとか、「自分も毎年、職務質問を受ける」なんて、問題の擦り違えをされてしまいました。


私が言っていることは、そんな部分ではなく、主観で判断され、職務質問をされても、最後はしっかり「謝る」行為をしてほしい、ということです。もちろん、主観で判断することも問題ではありますが、もっと警察は、障害者について知識をつけてほしい・・・ということです。

よく、暴れた障害者を取り押さえて、怪我を負わせたり、ひどいときには、犯罪者扱いになってしまうこともあります。
理解が及ばないため、そういった行動しか出来ない・・・のだと思います。


私は、過去に知的障害者の入所施設で、長年勤務してきましたが、いろいろな事件がありました。それぞれの警察の対応がひどかったことは、忘れもしません。(意外にその設立されていた地元の駐在所のおまわりさんは、結構理解がありました。) だからこそ、今回の事件も問題視するのですが・・・。


同じ業界でも、なかなか分かってもらえない、そんな世間の意識は寂しいですね。


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ある事件

2021年11月20日 | Weblog
先日、ある事件が起きました。


いつものように、事業所のお昼休みの後、ある利用者さんが職員に訴えてきました。

話を聞くと、その方は、いつも通例で、お昼休みの後は、喫煙をされます。回りに気を遣い、事業所を出て、少し離れた場所で吸われます(特に、今までその件で問題になったことも、苦情が来たこともありません。他の一般の方も喫煙されている場所でもあります。)


その方の話によれば、いつも通りに煙草を吸っていたら、突然、巡回していた警察官に職務質問をされたようです。

警察官の「職務質問」については、「警察官職務執行法」という法律で、
「第二条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。」
というものがあります。

詳しくは下の「警察官職務執行法」を参照して下さい。
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/keishoku-hou.htm


あくまでも、その場にいた警察官の”主観”で行動していいことになっています。

ただ、この”主観”というか”勘”が大事になってくるわけで、ベテランの警察官だと、今までの経験から、「この人は」という”勘”が働くわけです。
しかし、警察官になったばかりの人間でも、同じこのが可能なわけで、自分の”主観”というのが、一番の問題で、ここに社会的な「偏見」や未熟な「経験値」が左右するわけです。


もちろん、それが経験値になるわけですが、それを実行された側はたまったものではありません。

もし、「職務質問」されたとしても、間違いだった場合や、何も問題がなかった場合は、そのときの警察官の態度が重要です。
最近は、交通違反等の検挙の場合は、比較的軟らかい言葉で接する場面が見られます。

しかし、「職務質問」に関して言えば、警察官がその行為に対し「謝る」ということが、ホントに少ないと思います。


例えば100人に「職務質問」を試みて、そのうちの1人が犯罪者だった場合は、確率的には低いですが、未然に犯罪を防ぐことが出来たと評価されるかもしれませんが、ただその他の99人に対する心証や精神的影響は、なおざりにされるもので、一言「謝る」という行為があれば、随分変わるものです。


今回、その利用者さんは、話によれば「覚せい剤の注射をしているのでは?」と疑われたようです。腕から始まり、全身の状態を見られたようで、非常に失礼な態度だったようです。

利用者さんは、非常に立腹されており、職員が静止しても、その警察官がいるであろう近くの派出所に行ったようです。(その際は、本人さんは一旦は「行かない」と言ってくれましたが、その後「職員に飲み物買って来る」と言って、そのまま派出所に行ってしまったようです。
職員もその方が戻ってこないので、見に行ったら、どこにもいなかったので、探しました。


戻ってきた利用者の方に、再度話を聞くと(しばらくは、精神的にまいっており、別室で落ち着くまで待機してもらいました。その後落ち着いてから)、派出所の前まで行ったが(そこには、その警察官もいたようです)、入れず、ただ「入ってその警察官を殴りたかった・・・」と正直に言ってくれました。が、いろいろ考えてそれ以上はしなかった。とのこと。


事業所を利用される方の中には、多くの「精神疾患」の方や「難病」「知的障害」「身体障碍」の方等がおられます。
特に、この中では「精神疾患」の方や「知的障害」の方が、比較的警察官の「職務質問」の”主観”対象になることが多いです。(これは私の主観ではなく、多くの利用者さんに聞いた話です)


なぜか?

一般の方との違和感だと思います。

警察官は、一般常識を持った方ばかりではありません。中には「障害者」を理解されている方もおられますが、多くは逆の場合が見られます。
※極端な例では、「知的障害(このとき警察官は昔の言葉で精薄(精神薄弱)と言ってました)の人って、てんかんになったら、頭にスリッパ乗せたら治るんやろ・・・」と言った警察官がいました。(施設職員である私の前で)
まあ、これはホントに極端な例でしょうが・・・(ほんの数年前)
こんな程度の知識・・・

私も、この業界で仕事をして、もう30年以上になりますが、未だに警察官の「障害者」に対する見方は、おかしいと感じます。


見かけで判断するなら、世間の一般の方は、スーツを着て、綺麗な服装をしていれば、何もないのか?と言えば、逆にそういう人間の一部が、悪いことを起こします。

世間的に「障害者」が見かけで、一般の方と違うことで、「差別」されたり「偏見」を持たれること・・・


これが一番の問題なのに、一般の方を守る警察官が、そんな「偏見」による”主観”で、職務質問をするのは、大きな問題と言えます。(こういうことは、マスコミは何も言いませんね)


その利用者の方も、やや人相はいいとは言えませんが、そんな方はたくさんいますし、それこそが「偏見」です。

話を聞くと、「職務質問」してきた警察官は、若い人だった・・・と言っているように、おそらく経験値は少なかっただろうと思います。


この事業所がある地区は、ある意味、昔はやや治安もやや危なかったところでもあります(まあ、それも3、40年前のことです)。

私も、昼間仕事で移動していると、ホントに様々な方に出会います。

むしろ、いちいちそれを気にして、見ていたら失礼な感じです。


警察官は、それを勘違いして、こいつはおかしい・・・と感じ、「職務質問」をするんでしょう。で、間違っていた・・・ということです。


この利用者の方も、一言「謝って」くれたら、こんなにはならなかった・・・と言っていました、

その部分が大事で、いくらこんな法律があっても、その場面の状況で、失礼な態度だった場合は、警察官も「謝る」行為が必要だと思います。


警察官が、常に一般の方に対して「上から目線」な人が多いのは、今後直していただきたいと思います。


その利用者の方には、「もし、これから同じようなことを言われたら、この事業所まで(警察官を)連れて連れてくるか、その場で連絡してほしい」と伝えました。

はっきりと、苦情を言い、今後の対応を検討させてもらうことを警察官に伝えたいですね。


事業所で、契約をして、日常しっかりと賃金をもらい、仕事をされている方なのに・・・全く、失礼な話でした。
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就労するということ

2021年11月14日 | Weblog
A型事業所にしろ、B型事業所にしろ、利用者の方の基本的な目的は「就労」つまり働くということです。


契約の仕方が違うだけで、目的はさほど変わらないと思います。

ただ、多くの方が、自身の精神的な部分や障害の度合いを感じながら、生きておられると思います。自覚の少ない方も多少なりともおられますが・・・


通っておられる事業所には、それぞれのテーマや決まりがあると思いますが、それに合わないときは、事業所を変えたほうがいいと感じます。特に、仕事をしながら違和感を感じるのは、決して自分に合っているとは言えません。

地方都市であろうと、小規模の事業所を含めて、全国にはA型・B型の事業所が多く存在します。


ましてや、大都市になれば、それこそ一つの駅の周辺に、何か所もの事業所が存在します。利用者の方にとって、選択肢は多いにこしたことはなく、自分に合う事業所を選ぶのは、たとえ数年の在籍であろうと、重要なことです。


時々、一緒に仕事をしていて、この方(利用者さん)は、なぜここに来ているのだろう?と思うことがあります。

連日、他の利用者さんの文句や、職員に対する苦情(やり方が悪いとか要領が悪いとか)や、その他いろいろな苦情を話されます。
明らかに、自分の思いと違うのだと感じますが、それを我慢しながら、仕事をしておられると思うと、(この人にとって、この事業所で仕事を続けることが)このままでいいのだろうか?と思います。


事業所内でのトラブルは、どこでも起こっています。

特に、精神疾患を持っておられる方にとって、他者との交流・コミュニケーションは非常に難しいものです。簡単に出来れば、即一般就労出来ますよね。

また、様々なことで、周りの出来事が気になる、他者の行動や言動が気になる、等、これが重なると、どんどん悪い方向へ行きます。


職員は、出来るだけ、利用者さんの気持ちに寄り添い、解決方法を探ります。

苦情や文句等、言いたいことを聞いてもらうだけで、納得される方もおられますが、余計に悪化する場合も・・・
(若い職員は、こういう場合、相当悩みますね。自分の対応が悪かったのか・・・等で)

私たち、多くの人生経験や福祉業界の経験者は、こういう場合、アドバイスをします(求めてこられることも多いです)。


私は、その経験を非常に大事にしています。それが職員にとっては、大きなスキルアップにつながるからです。もし問題が大きくなったら、所長なりサビ管である私が対応します。


上記に例をあげたような利用者さんも、比較的よくある事例だと思います。


話を元に戻しますが、やはり利用者さんの合う事業所、という意味では、合わないと感じた時点で、しばらく様子を見て、それでもダメだと思えば、早い時期に相談して事業所移動を考えた方がいいですね。

事業所も、仕事内容、職員対応、職場環境、等 様々です。


ほとんどの方が、日に4時間という枠での仕事をこなされていると思います(もちろん、より長い仕事をされている方もいます)。

私も、様々な事業所を経験しましたが、もし自分が利用者さんの立場なら、今在籍している事業所で、出来るだけ頑張ろう、という感覚は思いますが、簡単に移動できないことも承知の上で、留まろう・・・とは考えないですね。
特に、十数年前に比べ、選択肢は明らかに増えています。

内容も多種多様で、仕事内容も(過去のような「内職」「掃除」が主体ではなく)どんどん開拓され、最近はネットでの主流のメルカリ等にも進出しており、PCを使った仕事もあります。


事業所側も、そういった利用者さんの相談に乗り、横(事業所)の連携も深めて、いろいろな紹介もしながら、自分の事業所の宣伝も含め、全体がよい業界に向かうことが、重要だと考えます。


実際、多くの事業所は、事業所主や所長等、わがままで自分勝手で、人の話を聞かないタイプが多いですが(泣)、もっと足元を見て、事業所間の風通しが良くなることが、望みですが・・・


「精神障害のある方と共に働く上でのポイントと障害特性」(厚労省HPより)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/seishin/








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