知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

新規福祉事業所の立ち上げに感じること・・・

2020年11月22日 | Weblog
夏に就労移行事業所を退職して、しばらくのんびり状態でした。


それでも、何か仕事をしないと、基本的な生活が出来ないことや、身体がどんどん鈍ってきて、少しの運動でも疲れが出て、それ以前の問題になっています。

一応、年齢もあり、今から出来る仕事・・・といっても、新たな仕事は無理なので、今までの経験から出来る可能性のある仕事を探しています。
福祉業界から、離れられないのではなく、福祉業界しか相手にしてくれない・・・それが現実なのを感じました。


そのため、現在一応自信を持って取り組めるのは、サービス管理責任者の業務なので、それをメインに各就職サイト(転職サイト等)に登録しています。


ありがたいことに、もう還暦を過ぎ、高齢者枠に入ろうとしているのですが、未だにスカウトをしてくれる会社や法人があり、嬉しく思います。
(先日、地元のシルバーセンターから仕事紹介の葉書が来て、もうそんな歳なのか・・・と感じました)


最近も、新規福祉事業所の開設に向けて・・・ということで、スカウトが来ました。


いろいろお話を聞かせてもらう中で、思うこと・感じることを書いてみたいと思います。



ここ数年の間、新規事業所、特に就労継続支援の事業所を立ち上げようとされる起業家が多く感じます。

実際、数か所の立ち上げに参加し、協力もさせていただきました。


面白いのが、その起業される方々のほとんどが、全く違う業種の方が多いということです。またその年齢も30歳から40歳の間が多く感じました。一番乗りに乗っている年代なんでしょうね。

当然、起業するためには、それなりの資金も必要ですし、様々な業界のサポートも必要です。
最近は、その方向に対するコンサルタント会社もあります。(結構、サポート料が高いですが・・・)


また、こういった業界は、昔からの福祉業界の方が関わっている場合と、全く違う場合があり、むしろ後者の方が、何も分からない状態で始めることで、変な考え方や偏見や、偏った考え方にならずに、やっていける感覚があります。

この業界で長らくやってきて、特にここ数年は、福祉業界でも就労関係の事業所に関わることが多いので、そういう関係機関や他の事業所等の方と話しする機会も多くなりました。


自分としては、世間で(言葉は悪いですが)くすぶっている利用可能な方々を救うことになるのは、いい方向だと思います。


簡単に法人を作り、施設を立ち上げるのは、相当困難なのですが、こういった就労支援関係は、比較的事業者のやる気で起こしやすいので、大歓迎ですね。

もちろん、少し前に非難された「儲け」対象の事業所作りや、何の方向性も持たない、無責任な事業所もありました。それは自然に数年後には淘汰されているようです。


私も、実際に「協力」を言われて、どんな考え方をされているのか、将来設計は?、とかなぜこういう業界・事業所の立ち上げを意図されたのか?等の考え方を聞いてから、本気での協力を申し出ることがあります。

中には、任された管理される側の方が、ひどい場合もあり、すぐに(1,2か月で)身を引く場合もありました。
※過去の記事で、何度も書いています。

しっかりした考えの元に経営されている場合は、半年は最低協力させてもらっています。

ただ、いつまでも、こういう”年寄り”が居座る弊害も考え、早めのフェードアウトになることも・・・。



この立ち上げで感じることは、やはり新たな利用者が希望を持って来てくれることですね。まだまだ、どこにも行けずに在宅したり、ブラブラしている方も多く、そういう少しでも就労につながる環境が紹介出来ること、そういう場所を提供出来ることは、非常にいいと感じます。そういう意味でも、新規立ち上げはやりがいを感じるものですね。





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世間の理解が全く変わらない・・・

2020年11月10日 | Weblog
過去に、障害者施設の大きな事件として、「甲山事件」があります。


有名な事件なので、「甲山(かぶとやま)事件」で検索してもらえれば、たくさん出てくると思います。

一番分かりやすいサイトとして、ウィキペディアを見ると、こう書かれています。
「甲山事件とは、1974年に兵庫県西宮市の知的障害者施設・甲山学園で園児2人の死亡事故が発生したことに端を発する一連の事件。事件に関して起訴された者の全員の無罪が確定した。」


実は、裁判では関係者は全員「無罪」ということで、この事件は”解決”ではなく、それ以上の解明は終わりました・・・的になっており、結局事件の真相は、闇に葬られた感じですね。


この事件が起きてから、すでに半世紀近く経過していますが、当時の障害者に関する制度等は、大きく変わってきています。

また社会の受け入れ方も、随分変わりました。


ただ、人の認識や理解は、ほとんど変わっていない・・・というのが本当です。


これが、一般の方々なら、ある意味仕方がない、正しい理解が広まっていない、我々関係者の努力不足・・・等、いろいろ考えられますが、一番の問題は、事件になった場合の裁判での、裁判をする側の人間や弁護をする側の人間の認識や理解が、半世紀前の当時とほとんど変わっていないことです。


それは、私が友人の裁判(数年前)で感じたものです。


この事件の当時も、「障害者はそんなことをしない」的な漠然とした間違った認識(思い込み)があり、それが結局、職員が悪い・・・という結論になり、マスコミを中心に世間が職員を悪者扱いした・・・という経過があります。

何十年も経って、それは違いました、「無罪」でした・・・と言われても、遅いですね。その方の人生は無茶苦茶ですから・・・。
※冤罪の事件は、ほとんどこういうパターンですが・・・
(マスコミは世間を煽るだけ煽って、結果は知らぬ顔・・・謝罪もない・・・そんな無責任な状況が未だに続いています)


私の友人の事件でも、裁判官は「障害者(障害児)は嘘をつかない」が前提で、裁判が進められてきて、結果は「有罪」(執行猶予付き)でした。

その際に、頑張っていただいた弁護士の方も、障害者の理解が足らずに、私や周りの方が「重要な部分・・・障害者の本質」を説明しても、分かってもらえなかったことを思い出します。

例えば、その事件の被害者の方(障害児)が、過去にどういった言動や行動をしていたか?を探る必要がある・・・と(裁判初期に)伝えたのですが、全く聞き入れてもらえませんでした。
(そのとき感じたのが、ただの施設職員が、弁護士に何言ってるんだ・・・的な雰囲気がありました)


なぜ、世間の理解や正しい認識が得られないか・・・?

それは、マスコミの影響も大きいですし、対応している施設職員にも責任はあると思います。

専門知識を得て、仕事をしている方々は、「分からないだろうけど・・・」的な意識でやっている方も多く、専門家的な用語を頻繁に使ったり、私はしっかりやっている・・・的な態度も感じます。
(私の元職場も、そんな方がいました)



世間で、例えば町の中で、知的障害者に出会った場合に、どんな感覚を持ちますか?

比較的、身体障害者の方に対する対応は、分かりやすくなってきた傾向がありますが、知的障害者の場合は、場面を同じにすることに、とまどいや軽い拒否感があると思います。それは「分からない」からで、次の行動や自分たちと違う感覚を強く感じるからだと思います。


障害者の保護者の方々は、熱心に活動されており、世間の理解を得ようと頑張っておられます。そのため、過去ほど、障害者の身内を持つことに対する絶望感(悪い言い方です)も、少なくなってきたと思います。

私が知っている保護者の方々は、前向きな方が多く、ある意味、そういった方々がいることで、多少とも気が楽になっています。



未だに、マスコミは8割がたが、興味がない、理解したくない、世間はそんな話題は求めていない・・・そんな状況です。


地元に、関係する記事をお願いしても、あまり関心を示してもらえません。



今日は、このあたりで終わりますが・・・

この業界にいると、一般社会とは違った世界で活動してるのかな?と感じたことも、しばしば・・・。


せめて、政治家や行政側や、特に裁判関連の関係者の方は、理解していただきたい・・・そう思います。


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死刑囚表現展についての記事が・・・

2020年11月08日 | Weblog
「「死刑囚表現展」 相模原殺傷・植松聖の作品に若者が行列」という記事があり、気になって読んでみましたが、世間はこんなもの・・・ということが、より感じられたという感想です。


「死刑囚表現展」 相模原殺傷・植松聖の作品に若者が行列
https://news.yahoo.co.jp/articles/000fb2917c9050275542c3fb2259f6ae11ed71d1


この「表現展」自体は、様々な考え方もあり、否定はしないのですが、前回のここの投稿で書いたように、今回の事件の死刑囚の作品の展示には、大きな疑問があります。

また、今回、それを興味を持って見に行った方がいるということですが、少し違うんじゃあ?と感じました。

こういう並んで見に行った若い方々は、ほとんど興味本位、話題になっているから、面白そう・・・的な感覚でしょう。


実際に、その行った方々に、直接感想を聞いて欲しかったと思いますが、単なる「すげえ」で終わるなら、何が・・・?と聞きたくなりますね。

感覚的には、近所で起こった大火事(自分には被害が及ばない)を見に行っているのと、そう変わらないかも・・・。



世間の方が。この事件に対して興味を持っていただくのは、様々な意味合いでいいとは思いますが、あくまでもこの死刑囚に対する興味で終わっているなら、何の意味もありません。

そういう意味で、マスコミも記事にするなら、その見学者にコメントを求めてほしかった・・・と。

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