知的障害者・精神障害者について考えよう

知的障害者施設、作業所やA型B型事業所の経験からの投稿にて、この業界に対する世間の理解を深めていきたいと思います。

最低賃金の話題が少しだけ・・・

2020年07月25日 | Weblog
こんな時代でもあり、働けることの有難さも感じますが、逆にその労働に対する対価(賃金)はどうなのか?という問題があります。


2ch系のネットで、驚きの最低賃金・・・みたいな記事がありました。

まあ、私たち、就労支援を行っている(特に影響のあるA型対象の)ものとして、切実に感じるのは、この最低賃金制度・・・。それも、各都道府県単位で決めているという、意味のない制度。(必ずしも、各都道府県内の産業等が、同じレベルなのか?という大きな疑問があります)


昨年度に発表された、厚労省の全国の最低賃金表ですが、様々な見方が示されています。



これは、高い金額から順に示されているので、比較がしやすいとは思いますが、
例えば、色分けの基準点を変えれば、こういう感じにも・・・






全国平均が901円と高めなのも、ただ単に東京・神奈川を中心に関東・関西の中心部分の7都府県が、上げているだけで、ほとんどがそれより下回っているのが、現実です(騙されてはいけない)。


厚労省が公開しているHPで観ていくと、分かりやすくしているとは思いますが、その事実に驚いてしまいます。

「必ずチェック、最低賃金、使用者も労働者も」
https://pc.saiteichingin.info/

例えば、一番気になる、どうやって最低賃金を決めているのか?については、上記のサイトから。質問項目内で答えが返されています。
https://pc.saiteichingin.info/point/page_point_how.html



各産業が、その都道府県内で同じ推移で、行われているのか?という疑問があります。

私は関西圏域で生活していますが、代表的なのが兵庫県ですね。

兵庫県というと、いくつかの地域圏に分けられ、神戸や播磨圏域に比べれば、北部の丹波・但馬圏域とは、全く違っています。
それは、他の府県でも同様と思われます。


私は、この数年間で、サビ管として、兵庫県・京都府・大阪府と近畿圏主要地域で、勤務してきましたが、実際に感じるのは、その地域によって、産業形態も違いがあり、その最低賃金が適切か?と言われれば、微妙に違うな・・・ということです。

近郊都市でも、特に秀でた産業もあれば、逆に都市圏でも、サビれた産業もあります。そのため、あくまでも、それに(その場所・労働に)見合う賃金形態か?と言われれば、難しい部分もあると思います。


単純に最低賃金がこれだけだから・・・と言われても、それだけの賃金を支払えるだけの収入があるのか?が一番の問題です。


就労支援事業では、国(というか、各自治体単位にはなりますが)から、補助金がもらえますが、実際にはA型事業所になると、事業所側の本来の収入と合わせた額は、ギリギリか、下回るところが多いと思います。(一部、本業+裏業・・・別に悪いことはしていませんが・・・+補助金、が多いところもあります。それは、事業所側の努力でもあると思います)


基本を考えると、例えば大阪府ならば、最低賃金が964円で、4時間労働すれば、1日の3,856円です。(A型就労事業所の、4時間+休憩時間30分での、最低労働基準です。)
1週間5日間勤務して、3,856円×五日で、19,280円。

実際には、受給者証での月の労働日数が最大23日(-8日という書き方です)と決められており、その23日最大限(そのパターンで勤務すれば)、月の賃金は、88,688円ということになります。(実際には、全国平均は6万から7万の間ですが)


A型事業所などは、精神疾患を持つ方も多く、フルに23日間勤務出来る方も、それほど多くなく、その意味では平均額になってくるのも分かります。

中には、しっかり1日勤務出来、月に15万程度もらっている方もいます。(それは、ほとんど就労移行して、そのまま一般に勤務したほうがいいのでは?と思ってしまうほどですが、現実はA型事業内で(サービスを受けながら)勤務出来ているからこその、実績ですね。



話は戻りますが、最低賃金は、当然一般の方にも適応されています。

アルバイトやパートの方は、当然ながら、そのせいで実際の収入が少なく感じるのは、労働の対価がそれでいいのか?という問題ですね。


先日、コロナ禍の影響で、10万円の給付金が国民全員に支給されました(さすがに、もう皆さんには届いたでしょう?)。

この方策については、ここでは特に論じませんが、この最低賃金という考え方が世間的には合っているのか、否か?それは、労働者のためのものなのか、使用する側のためなのか?難しい問題です。


もう少し、この話題が、こういう世間のコロナ禍の影響化の時代に論じられたら、少しは中身も深まるのでは・・・と思います。





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