現場ではまだ鑑識や刑事が忙しく動き回っている。写真を撮る者、聞き込みをする者…時計の針は既に午後7時を指している。
申し遅れたが私は某所轄署の副署長をやっている。
事件の発生は正午前後、公園で人が倒れているという110番通報を受けて出動、捜査本部が立ち上がった。
?「進展は、いかがですか?」
私「これは署長。見ての通り、有力な証拠も見つかっていません。(署長が直々に現場に来るなんて珍しいな。)」
署長「ふむ…。で、被害者の死因は胸を刺されて失血死でいいのですね。」
私「はい、その通りです。(解剖結果はまだ署長には届いていないはず…なにかがおかしい…)」
刑事「副署長、少しいいですか。」
私「なんだ?」
刑事「…凶器のナイフから採取された指紋、あれは」
鑑識「出ました!血痕です!犯人は血痕を取り除いていましたが、おそらく被害者の取り忘れのものです!」
私「(やはり…取り除かれた血痕、数時間でやっと鑑定できた指紋、やはり犯人は現場に戻るか、さらにいえば警察の勤務時間外…)」
(翌日の会見)
――を逮捕いたしました。また、動機や凶器の入手経路については目下捜査中であります。