最近すっかり大阪を代表するパワースポットと成り上がった、
「サムハラ神社」
こちらの、指輪守りと言えば争奪戦となる、
って噂で、事実この案内にも「前夜より境内で徹夜する人」と書いているんだけど、
きっどさん、頒布と言う名の販売しているの場面、見た事ないねんなー。
事務所があみだ池筋を挟んで直ぐそば、
駅への行き帰り、たぁ~ぼくんで一日数回前を通ってるけど、
確かに帰り、夜の11時頃でも参拝客がいて、トリハダってるけど。
ご近所と言う事で、きっどさんも
「サムハラ御守」
を授与という形の購買している。
中身はこんなん。
実はこのお守りも指輪と同じだけの効力があるらしいんだど、
指輪は、「常に身体と密着している」ので「更に効力がある筈」って解釈なんですな。
メルカリなんかとチェックすると、確かにウン万円で転売してるな、
きっどさんも持ってる、いつでも買えるお守りでさえ、何千円で売れてるし。
看板や、お守りに入っているチラシを読んでも、
どの手柄も、えらい昔、昔の出来事、
確かに、サムハラ神社の御利益がなければ、
「倍返し」も出来ず、
「99.9」%の残り0.1%の大逆転も難しかっただろし、
「集団左遷」されっぱなしで、
昆虫の魅力も、海外ボクシングの魅力も、発見出来なかったかも?
有難うございます!サムハラ神社さま!!
その市川中車が松竹座の出番の合間に参拝したって噂も聞かないけど。
「マリちゃん、私のも取って」
冷蔵庫を開けると、いつものようにマジックペンで“中山”と書かれたコラーゲン入りの栄養ドリンクが入っていた。
四十を越え、いまだ独身の中山さんはアンチエイジングに余念がない。
「あんた、いつもそれで飽きない?」
心の声が漏れたかと思い、ハッとしたが、それは中山さんの声だった。
給湯室。共同冷蔵庫の片隅が私と中山さんのサボり場所だ。
そこでいつも中山さんはコラーゲンを補給し、私は大好きなヨーグルトを食べる。
「このつぶつぶ食感に飽きは来ません」
中山さんは「あっそ」とコラーゲンを飲み干し、声量を落とした。
「ところで、“あれ”どうなった?」
“あれ”というのは他部署の滝本という男のことだ。
社内では女にしつこいで有名で半年前、ついに目を付けられてしまった。
帰宅時、偶然を装いエントランスやエレベーターで待ち伏せしてきては、「あれ?今、帰り?」と青ヒゲの浮いた顔で微笑みかけられた。
最寄りの改札を出て、「あれ?君もこの駅なの?」とその顔が現れたときは、さすがに身の危険を感じた。
翌日、すぐに上司に報告し、滝本は会議室へ呼ばれた。
それからストーカー行為はなくなったが、今度はデスクに卑猥な言葉で罵るメモ書きが残されるようになった。
私は今朝置いてあったメモを中山さんに見せた。
「“メスブタのヤリマンには神の裁きを”か」
「声に出さないで下さい」
「まあ、でも気持ちは少し分かるなあ」
「ちょっと!どういうことですか!」
「だって来月結婚でしょ?そりゃヘコむって。私だって似たようなことあったし」
「先輩はアイツの味方ですか?」
「そうじゃないけど、さ。まあ只の嫉妬だね」
中山さんはそう言うと、給湯室を出ていった。
私はヨーグルトのフタの裏側をペロリと舐め、表に返した。
そこにはマジックペンで“工藤鞠子”と書いてある。
来月からはここに“中村鞠子”と書くのが少し不思議だった。
私の彼、中村健児は地元の中学の同級生だ。
今はその学校で教師をやっている。
休日、久しぶりに帰郷して健児に会った。
「何か痩せた?」
彼の第一声がそれだった。
自分でも気づいてなかったが、滝本の一件といい、ストレスがあったのかもしれない。
「マリッジブルー」と誤魔化してやると、健児は「この!」ときつく抱きしめてくれた。
帰ってきたのには理由があった。
結婚する前に二人で人間ドッグを受ける約束をしていた。
お互い親を癌で亡くし、そういう家系だということは私も彼も覚悟していた。
ならば将来産まれてくる子供の為に検査は怠らないようにしようとのことだった。
地元の病院には同級生の知り合いがいて、手続きも簡単に済ませてくれた。
「工藤さん、ちょっといい?健児も」
一通り検査を終えて、待合室で会計を待っていた時、白衣の栗原くんが飛んできた。
「こんなケースは本当に稀なんだけど…」
同級生で一番の出世頭、栗原くんの表情はうかなかった。
どうやら私の内臓の一部から異様なモノが見つかったらしい。
しかもそれは動いてるそうだ。
取り除いたほうが良いと、急遽手術となった。
無事終わり、異物の正体に愕然とした。
それは虫だった。体内に寄生することは珍しいと栗原くんは首を傾げた。
「工藤さんの栄養を吸い取ってかなりでかくなってたよ、コイツ」
手を広げて大きさを表現してくれた彼の顔には昔の無邪気な面影が残っていた。
「まあ、早く見つかって良かったんじゃない」
健児はあっけらかんとしていた。
私も最初は気味悪がっていたが、結婚式の準備やら親戚回りで忙殺され、すぐに忘れていった。
「結婚おめでとう」
いつもの給湯室の片隅。中山さんは素っ気なくそう言って、“中山”と書かれたコラーゲンドリンクを冷蔵庫から取り出した。
「マリちゃんがいない間さ、私も滝本に言い寄られてさあ~」
「え!?」
「まあ、でもさすがにアイツは無いから断ってやったけど」
コラーゲンをゴクゴクと体内に流し込む中山さん。
気のせいか、彼女が少し痩せたように思えた。
冷蔵庫を開けると、いつものようにマジックペンで“中山”と書かれたコラーゲン入りの栄養ドリンクが入っていた。
四十を越え、いまだ独身の中山さんはアンチエイジングに余念がない。
「あんた、いつもそれで飽きない?」
心の声が漏れたかと思い、ハッとしたが、それは中山さんの声だった。
給湯室。共同冷蔵庫の片隅が私と中山さんのサボり場所だ。
そこでいつも中山さんはコラーゲンを補給し、私は大好きなヨーグルトを食べる。
「このつぶつぶ食感に飽きは来ません」
中山さんは「あっそ」とコラーゲンを飲み干し、声量を落とした。
「ところで、“あれ”どうなった?」
“あれ”というのは他部署の滝本という男のことだ。
社内では女にしつこいで有名で半年前、ついに目を付けられてしまった。
帰宅時、偶然を装いエントランスやエレベーターで待ち伏せしてきては、「あれ?今、帰り?」と青ヒゲの浮いた顔で微笑みかけられた。
最寄りの改札を出て、「あれ?君もこの駅なの?」とその顔が現れたときは、さすがに身の危険を感じた。
翌日、すぐに上司に報告し、滝本は会議室へ呼ばれた。
それからストーカー行為はなくなったが、今度はデスクに卑猥な言葉で罵るメモ書きが残されるようになった。
私は今朝置いてあったメモを中山さんに見せた。
「“メスブタのヤリマンには神の裁きを”か」
「声に出さないで下さい」
「まあ、でも気持ちは少し分かるなあ」
「ちょっと!どういうことですか!」
「だって来月結婚でしょ?そりゃヘコむって。私だって似たようなことあったし」
「先輩はアイツの味方ですか?」
「そうじゃないけど、さ。まあ只の嫉妬だね」
中山さんはそう言うと、給湯室を出ていった。
私はヨーグルトのフタの裏側をペロリと舐め、表に返した。
そこにはマジックペンで“工藤鞠子”と書いてある。
来月からはここに“中村鞠子”と書くのが少し不思議だった。
私の彼、中村健児は地元の中学の同級生だ。
今はその学校で教師をやっている。
休日、久しぶりに帰郷して健児に会った。
「何か痩せた?」
彼の第一声がそれだった。
自分でも気づいてなかったが、滝本の一件といい、ストレスがあったのかもしれない。
「マリッジブルー」と誤魔化してやると、健児は「この!」ときつく抱きしめてくれた。
帰ってきたのには理由があった。
結婚する前に二人で人間ドッグを受ける約束をしていた。
お互い親を癌で亡くし、そういう家系だということは私も彼も覚悟していた。
ならば将来産まれてくる子供の為に検査は怠らないようにしようとのことだった。
地元の病院には同級生の知り合いがいて、手続きも簡単に済ませてくれた。
「工藤さん、ちょっといい?健児も」
一通り検査を終えて、待合室で会計を待っていた時、白衣の栗原くんが飛んできた。
「こんなケースは本当に稀なんだけど…」
同級生で一番の出世頭、栗原くんの表情はうかなかった。
どうやら私の内臓の一部から異様なモノが見つかったらしい。
しかもそれは動いてるそうだ。
取り除いたほうが良いと、急遽手術となった。
無事終わり、異物の正体に愕然とした。
それは虫だった。体内に寄生することは珍しいと栗原くんは首を傾げた。
「工藤さんの栄養を吸い取ってかなりでかくなってたよ、コイツ」
手を広げて大きさを表現してくれた彼の顔には昔の無邪気な面影が残っていた。
「まあ、早く見つかって良かったんじゃない」
健児はあっけらかんとしていた。
私も最初は気味悪がっていたが、結婚式の準備やら親戚回りで忙殺され、すぐに忘れていった。
「結婚おめでとう」
いつもの給湯室の片隅。中山さんは素っ気なくそう言って、“中山”と書かれたコラーゲンドリンクを冷蔵庫から取り出した。
「マリちゃんがいない間さ、私も滝本に言い寄られてさあ~」
「え!?」
「まあ、でもさすがにアイツは無いから断ってやったけど」
コラーゲンをゴクゴクと体内に流し込む中山さん。
気のせいか、彼女が少し痩せたように思えた。