緊急事態発生。
しかし今の俺はここで止まる訳にはいかぬのだ。
今年はトラベラーとなるべき年だからである。
運命はいつも行く手を阻もうと悪戯する。
俺が神様に試されてから随分長い時間が経っている。
トラベラー。
俺は自分の歌や楽曲を常に疑っている男だ。
なのにそれを世に問うと云ったアクションを
起こす事は殆ど無い(過去に1度だけあるが)。
それを見かねたのが現マネージャー高橋だ。
彼は少なくとも俺の音楽は信用してくれているようで
仕事の合間を縫って都内のライブスポットに
足を運んでは地道なプロモを続けてくれている。
ありがたい。
しかし当の本人(俺だけど)が自分の才能に
疑問符を打ち続けているのだから呆れもするだろう。
だからトラベラーとなって音の景色や匂いを
色々な町のライブスポットで体感しようと思ってる。
ある人に言われ続けている事がある。
「あなたほど人に評価されることが嫌いな人はいない。」
そうかも知れないな。
若い頃からのコンテスト嫌いもそうだしね。
☆過去、当時のランブリングスのギタリストに懇願され
1度だけ公式に出た事があって酩酊したまま予選を通過
ホールの本選に出場するもアドリブを延々と演り続けて
タイムオーバーで失格になった痛快な思い出があるよ。
トラベラー。
これまでも十分旅をしてきたように思うのだが
本当の旅は五十路をひかえたコレからなんだと思う。
暗がりの道で俺の足元を照らしてくれる
マネージャーやスタッフに最高の音楽を届けよう。
勿論、俺達を信じて待っているリスナーのために。
そして何より自分を疑っている俺のために。