思惟石

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横山秀夫『64(ロクヨン)』働くオジサンがんばれ!

2019-06-14 11:41:13 | 日記
刑事から広報官へと異動(不本意)したオッサンの葛藤小説。
と言ったら語弊がありますかね。
秀逸な警察小説であり、緻密な推理小説であり、
壮大な中年男性応援小説ですよ!
やっぱり語弊があるかな…。

まあ、なにはともあれ、おもしろいですよ!
文庫で上下巻だけど、一気に読めます。

もちろん主人公は悩める中年の組織人。
相変わらずの横山節で、私的には、
「オジサンってこんなに日々コマゴマ悶々としてるんだなあ…」
という驚きと学びが満載である。
私も良い歳の組織人なので、共感も多々あるけど。

刑事部VS警務部、本庁キャリアVS地方の生え抜き組という対立と、
さらに、マスコミとの共存問題に翻弄される広報部。
って、もう辛いことしかないじゃん。
仕事って大変!

さらに複雑に絡まってくる14年前の未解決誘拐事件「64(ろくよん)」と、
主人公の家庭の事情(娘の家出、って、ヘビー!)。
複雑!
オジサン大変!!

こんなムリゲー感漂う設定の元、主人公のオジサン三上ががんばります。
彼は、ストーリーの端々で色々と推論して前進しますが、
大きな謎解き役ではありません。
最後まで振り回されて、悶々として、言い訳じみた葛藤もします。
でも、自分を騙すような選択だけはしない。
ヒーローのようにかっこよくはないけど、魅力的なオジサンなのである。

この作品は<D県警シリーズ>と呼ばれているシリーズものの
4作目、初の長編とのこと。
前3作『陰の季節』『動機』『顔FACE』は短編集、
主人公やテーマもそれぞれなので『64』前に
必読というものではありませんが、おすすめ。
ちなみに今回、暗躍(?)していた二渡(ふたわたり)は
『陰の季節』表題作の主人公だそうです。

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